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この記事の結論
- 今回実測した51社のうちドイツは7か国で最も多い国ですが、配当利回り中央値は2.29%で7か国のうち最も低い水準でした(2026年9月2〜3日実測)
- 理由の一つとして、8業種のうち利回りが最も低い医薬(1.71%)と資本財(1.80%)にドイツの51社中10社が集中していることが挙げられます。ただし業種構成だけが唯一の原因だと断定はできません
- 一方で利回り4%を超える銘柄も10社あり、BMW7.29%・メルセデス・ベンツ7.50%・フォルクスワーゲン7.03%と自動車株が並びます
- 配当性向は44%と低め、配当の年平均増加率は8.4%で7か国中6番目とやや低い水準でした
当サイトで欧州株のPERを同じ日に全部調べた記事や国と業種の対応関係をまとめた記事で、国別の指標は業種構成の影響を強く受けることをお伝えしてきました。この記事では、今回実測した51社のうち7か国で最も多く取り上げているドイツについて、その中身をもう一段掘り下げます。
「掲載数が最も多い」と聞くと、市場としての厚みや存在感を感じるかもしれません。ですが、2026年9月2〜3日に実測した数字を見ると、ドイツ株は高配当というイメージとは違う姿をしています。数字を1つずつ確認していきます。
51社と最多なのに、配当利回り中央値2.29%は7か国で最も低い
まず、今回実測した5つの指標を1つの表にまとめます。
| 指標 | ドイツ | 7か国での位置 |
|---|---|---|
| PER中央値 | 18.30倍 | 5番目(中位より上) |
| 配当利回り中央値 | 2.29% | 最も低い |
| 配当性向中央値 | 44% | 低め |
| 浮動株比率 | 71.1% | 5番目 |
| 配当の年平均増加率 | 8.4% | 6番目(スイス5.0%に次いで低い) |
ドイツは今回実測した51社と、7か国の中で最も多く取り上げている国です。それにもかかわらず、配当利回り中央値は2.29%と7か国で最も低い水準でした。掲載数の多さと利回りの高さは、必ずしも一致しないということだと思います。
理由は業種構成——医薬と資本財で10社
ドイツで最も多い業種は医薬6社で、次いで自動車5社・資本財4社・保険4社と続きます。当サイトが業種別に配当利回りを実測した別記事によると、8業種のうち利回りが最も低いのは医薬(中央値1.71%)、次いで資本財(1.80%)です。ドイツにはこの2業種で合わせて10社があり、51社のうち約2割を占めます。
利回りが低くなりやすい業種がドイツに多く集まっていることは、国全体の利回り中央値が7か国で最も低い理由として、説明がつく部分があると考えられます。ただし、業種構成だけが唯一の原因だと断定はできません。個々の会社の配当方針や、この記事で扱っていない他の要因も影響している可能性はあります。
ただし利回り4%超は10社ある——自動車が高配当の側にいる
ここまでは「ドイツ株は利回りが低い」という話でしたが、実際には利回りが4%を超える銘柄も10社あります。代表例として、BMW7.29%・メルセデス・ベンツ7.50%・フォルクスワーゲン7.03%という自動車株が挙げられます。医薬・資本財とはまったく逆の性格です。
当サイトが自動車株を実測した別記事によると、欧州の自動車株13社のうち6社がドイツで、自動車のPER中央値12.93倍は8業種の中で最も低い水準でした。PERが低い業種は、同じ利益に対して株価が低めに評価されている分、配当利回りは高く出やすい傾向があります。ドイツの自動車株が軒並み高配当なのは、この構図と符合していると考えられます。
つまり、「ドイツ株」という1つの単位で語ると、医薬と自動車という正反対の性格が混ざってしまいます。研究開発や設備投資に配当を回さない医薬・資本財と、利益を配当として還元する傾向が強い自動車が、同じ「ドイツ」の中央値に含まれているのです。
増配・減配・PER30倍超に見るドイツ株の顔ぶれ
配当性向の中央値は44%と、7か国の中でも低めの水準でした。利益に対して配当に回す割合が低いということで、研究開発や設備投資に資金を回している業種が多いことと符合していると考えられます。配当の年平均増加率も8.4%で、最も低いスイス(5.0%)に次いで6番目という結果でした。
当サイトが配当の増減を実測した別記事でも、ドイツの傾向は一貫しています。配当が減っていた銘柄を数えた記事では、対象230社中39社が減配していましたが、そのうちドイツは10社と最も多い国でした(バイエル・ザルツギッターなど。個別の減配理由についてはこの記事では扱いません)。逆に4年連続増配を実測した記事では、51社中ドイツは4社にとどまり、各国の掲載数に対する比率で見ると8%と7か国で最も低い数字でした。
一方で、成長期待の高さを示すPERの面では違う顔も見えます。PER30倍超の銘柄を集めた記事では、42社の上位12社中7社がドイツで、ザルトリウス78倍・ツァランド66倍・インフィニオン61倍といった銘柄が並びます。配当は低いが成長期待は高い会社と、配当が高く成長期待は控えめな自動車会社が、同じ「ドイツ」に共存しているということだと思います。
取引コストの面では、証券会社の手数料を比較した別記事によると、10万円あたりの片道手数料負担率はドイツ0.61%で、フランス0.41%に次いで7か国で2番目に安い水準でした。また、配当税を国別に比較した記事のとおり、ドイツ株の配当には現地源泉26.375%が課税され、日本との租税条約により約11.375%が還付対象外として戻りません。この仕組みは一般的な制度の説明であり、個別の申告については税理士や税務署にご確認ください。
まとめ:「ドイツ株」は一つの性格でくくれない
- 今回実測した51社は7か国で最多だが、配当利回り中央値2.29%は7か国で最も低い
- 理由の一つは医薬と資本財という利回りの低い業種で10社を占めること。ただし業種構成だけが唯一の原因とは断定できない
- 一方で利回り4%超が10社あり、BMW7.29%・メルセデス7.50%・VW7.03%と自動車が高配当の側にいる
- 配当性向44%・増配率8.4%は低め。減配していた銘柄は10社と最多だが、PER30倍超の成長株も7社ある
「ドイツ株」という国の単位で考えると、実態が見えにくくなると思います。医薬なのか自動車なのかで、利回りもPERもまったく違う投資になります。国名だけで判断せず、どの業種の会社を見ているのかを確認したほうが、実態に近づけるはずです。
この記事の検証方法
- PER中央値・配当利回り中央値・配当性向・浮動株比率・配当の年平均増加率は、2026年9月2〜3日に今回実測した51社の数値です
- PER・配当利回りの国別実測は別記事、業種別の配当利回りは別記事、自動車株の実測は別記事の集計によるもので、それぞれ集計対象・集計日が異なります。この記事単独の集計ではありません
- 減配銘柄の集計は別記事、連続増配の集計は別記事、PER30倍超の集計は別記事、証券会社の手数料負担率は別記事、配当税の比較は別記事の実測によるものです
- 業種構成は利回りが低い理由の一つとして説明がつく部分がありますが、唯一の原因だと断定するものではありません
- 個別企業の減配・増配の理由については、この記事では推測していません
- ドイツ株の配当課税に関する記述は一般的な仕組みの説明であり、個別の申告は税理士や税務署にご確認ください
- この記事の数値は当サイトが取り上げた銘柄に限った集計であり、ドイツ市場全体を代表するものではありません
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する銘柄を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載のPER・配当利回り・配当性向等は2026年9月2〜3日時点で当サイトが実測した情報にもとづいており、市場の変動により変更される場合があります。特定の銘柄・国が割安・割高であることを示すものではありません。配当にかかる税制の記述は一般的な仕組みの説明であり、個別の申告については税理士や税務署にご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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