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欧州株のADRとは|原株とズレることがある実例つき【2026年】

欧州株のADRとは|原株とズレることがある実例つき【2026年】

※本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれます。

この記事の結論

  • ADR(米国預託証券)とは、米国外の企業の株式を米国の預託銀行が預かり、それを裏づけに米国市場で売買できるようにした証券です。原株そのものではなく「預り証」で、取引通貨は米ドルになります
  • 当サイトは、チャートツールのTradingViewがフランス(ユーロネクスト・パリ)とイギリス(ロンドン)の原株を表示できないため、この2か国の記事ではADRのチャートを使っています
  • ADRと原株の1年騰落率を実測すると、ルノーとレキットは1〜2ポイント程度の差でしたが、SEB(ティファールの会社)はADRが−54.49%、原株が−12.35%と約42ポイントもの差がありました。当サイトはこの乖離を理由に、SEBを記事の対象から外しています
  • ADRのティッカーは末尾が「〜Y」と「〜F」の2系統あることが多く、片方がチャートツールで無効なシンボルと表示されることがあります

欧州株の記事を読んでいると、銘柄コードの前に「OTC:」という表記や、「ADR」という単語が出てくることがあります。原株の話をしているはずなのに、なぜかアメリカの取引所の記号が出てくる。ここで引っかかる方は多いと思います。

結論から言うと、ADRとは原株そのものではなく、原株を裏づけにした「預り証」です。当サイトもフランス株とイギリス株のチャートではADRを使っていますが、原株とADRの値動きは必ずしも一致しません。この記事では、ADRの仕組みと、実際に確認したズレの実例、ティッカーの見分け方までをまとめます。

目次

ADRとは何か——原株ではなく預り証

ADRとは、American Depositary Receipt(米国預託証券)の略です。米国外の企業の株式を、米国の預託銀行が現地で預かり、それを裏づけとして米国市場で売買できるようにした証券を指します。

ここで押さえておきたいのは、ADRは原株そのものではないという点です。あくまで「原株を預かっていることを証明する紙(預り証)」であり、実際の株式はロンドンやパリなど現地の取引所に上場したままになっています。1枚のADRが原株の何株分にあたるか(比率)は銘柄ごとに異なり、この比率のぶんだけ、ADRの株価と原株の株価は単純には一致しません。

もう1つの違いが取引通貨です。ADRは米ドルで取引されますが、原株はユーロやポンド、スイスフランなど現地通貨で取引されます。同じ企業の株式であっても、見ている通貨が違うということになります。

当サイトがフランス株とイギリス株でADRのチャートを使う理由

当サイトは記事のチャートにTradingViewを使っていますが、このツールはユーロネクスト・パリ(フランス)とロンドン(イギリス)の原株のシンボルを表示できません。そのため、フランス株とイギリス株の記事に限っては、米国上場のADRのチャート(表記は「OTC:〜」)を代わりに使っています。一方で、他の欧州の取引所は原株のチャートをそのまま表示できます。当サイトが対象としている7か国の状況を整理すると、次のようになります。

国・取引所TradingViewでの表記原株のチャート
フランス(ユーロネクスト・パリ)表示できないため、ADRのチャートを使用
イギリス(ロンドン証券取引所)表示できないため、ADRのチャートを使用
ドイツXETR:原株のチャートを表示できる
スイスSIX:原株のチャートを表示できる
イタリアMIL:原株のチャートを表示できる
スペインBME:原株のチャートを表示できる
デンマークOMXCOP:原株のチャートを表示できる
2026年8月に当サイトで確認したTradingViewでの表示可否

つまり、当サイトの記事でフランス株やイギリス株のチャートにADRが使われているのは、銘柄そのものの性質というより、チャートツールの都合によるものです。この点を先にお伝えしておきます。

ADRと原株はズレることがある——実測3例

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい内容です。ADRと原株は同じ企業の株式を裏づけにしていますが、値動きが完全に一致するとは限りません。当サイトで実際にいくつかの銘柄のADRと原株の1年騰落率を比較したところ、次のような結果になりました。

銘柄ADRの1年騰落率原株の1年騰落率
ルノー(仏)−12.84%−14.72%約1.9ポイント
レキット(英)−10.57%−11.79%約1.2ポイント
SEB(ティファールの会社・仏)−54.49%−12.35%約42ポイント
当サイトが確認した1年騰落率の比較(実測時点は2026年8月)

ルノーとレキットのように、数ポイント程度の差は為替(ドルとユーロ、ドルとポンドの動き)で説明がつく範囲だと考えられます。ADRは米ドル建て、原株は現地通貨建てのため、この程度のズレが出ること自体は自然なことです。

問題は、SEBのように数十ポイント単位で離れてしまうケースがあることです。ADRだけを見ていると1年で半分近くまで下がったように見える一方、原株ベースでは下落幅はその4分の1程度にとどまっていました。為替だけでは到底説明のつかない差です。

当サイトでは、この乖離を理由にSEBを記事の対象から外しました(2026年8月)。記事の数値とチャートの見え方が矛盾してしまい、読者の方を混乱させてしまうと判断したためです。なお、なぜこれほど大きくズレたのか、その原因までは当サイトでは確定できていません。ADRの比率変更などが影響している可能性はありますが、推測の域を出るものではないため、ここでは「原因不明の乖離があった」という事実の記述にとどめます。

ADRのティッカーは2系統ある——ライトムーブの実例

ADRを調べるときに、もう1つ注意したいことがあります。それは、ティッカー(銘柄コード)が「あるように見えて実際には使えない」ことがあるという点です。

当サイトがイギリスの通販会社ライトムーブのADRを確認した際、「OTC:RTMVY」というティッカーをTradingViewに入力すると「無効なシンボル」と表示されました。一方、末尾を変えた「OTC:RTMVF」であれば、問題なく表示できました(2026年8月23日に確認)。

ややこしいのは、株価データサイトのstockanalysis.comで調べると、RTMVYとRTMVFの両方とも応答が返ってくることです。データが取得できるからといって、そのティッカーがどのチャートツールでも表示できるとは限りません。実際に目で見て確かめないと気づけない部分です。

ADRのティッカーは、末尾が「〜Y」と「〜F」の2系統に分かれていることが多く、同じ企業を指していても、どちらか一方しか使えるツールで表示できないという場合があります。ADRのティッカーで銘柄を探すときは、末尾のアルファベットが違う候補がないか、あわせて確認しておくと安心です。

ADRを買うという選択肢をどう考えるか

ここまで読んで、「ADRを買えば、日本の証券会社からでも欧州株を持てるのではないか」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。ADRは米国市場に上場している証券のため、仕組みのうえでは日本の証券会社からも取引できる可能性があります。

ただし、この点について当サイトで断定はできません。当サイトは、日本の各証券会社が個別のADR銘柄を取り扱っているかどうかまでは確認しておらず、証券会社ごとに取扱いの有無は異なります。買いたい銘柄のADRがご自身の口座で取引できるかどうかは、お取引されている証券会社に個別にご確認いただくことをおすすめします。

また、ADRが原株より優れている、あるいは劣っているという判断も、この記事ではしません。ここまで見てきたとおり、通貨が異なること、比率という変数が加わること、そしてSEBのように大きく乖離する場合があること。これらは事実として並べられますが、それをもって良し悪しを決めるものではないと考えています。

まとめ:ADRは仕組みを理解したうえで付き合うもの

  • ADRとは、米国外の企業の株式を米国の預託銀行が預かり、米国市場で売買できるようにした「預り証」で、原株そのものではない
  • 取引通貨は米ドルで、原株の現地通貨(ユーロ・ポンドなど)とは異なる。1ADRあたりの原株の比率も銘柄ごとに違う
  • 当サイトは、TradingViewがフランスとイギリスの原株を表示できないため、この2か国のみADRのチャートを使用している
  • ADRと原株の1年騰落率は、ルノー・レキットで1〜2ポイント程度の差だったが、SEBは約42ポイントもの差があり、当サイトはSEBを対象から外した
  • ADRのティッカーは末尾「〜Y」「〜F」の2系統があり、片方がチャートツールで無効になる場合がある
  • ADRを日本の証券会社で取引できるかは証券会社ごとに確認が必要

ここまで見てきたように、ADRには通貨の違い、比率という変数、そして時に大きくなる乖離という、原株にはない要素が加わります。筆者自身は、こうした要素が増えるほど、後から振り返ったときに値動きの理由を追いづらくなると感じています。チャートの都合でADRを使うことはあっても、実際に買うのであれば、まずは原株を素直に持つほうが、値動きの理由をシンプルに追いやすく、分かりやすいのではないかと思います。

もちろん、日本の証券口座からADRのほうが手軽に注文できるという事情がある方もいらっしゃると思いますし、どちらを選ぶかはご自身の環境や考え方次第だと思います。ただ、SEBのように大きくズレる銘柄が実際に存在した以上、ADRだけを見て値動きを判断するのは避けたほうがよいというのが、当サイトの立場です。

この記事の検証方法

  • ADRと原株の1年騰落率(ルノー・レキット・SEB)は、当サイトが2026年8月に実測したものです
  • TradingViewでの原株チャートの表示可否(7か国)は、当サイトが同時期に確認した結果にもとづきます
  • ライトムーブのADRティッカー(RTMVY・RTMVF)の表示可否は、2026年8月23日にTradingViewで確認しました
  • SEBがなぜ大きく乖離したのか、原因までは当サイトでは確定できていません。ADRの比率変更などが疑われますが、推測にとどまります
  • ADRを日本の証券会社で取り扱っているかどうかは、当サイトでは確認していません。お取引される証券会社に個別にご確認ください
  • この記事の数値は、当サイトが確認した範囲の銘柄・取引所に限った内容であり、すべてのADRに当てはまるとは限りません
  • 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する銘柄を保有しているとは限りません)

この記事を書いた人:Kawa

ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール

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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載のADRと原株の騰落率などは2026年8月時点で確認した情報にもとづいており、市場の変動により変更される場合があります。特定の銘柄の将来の値動きを示唆・保証するものではありません。ADRの日本国内の証券会社での取扱いの有無については証券会社に個別にご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

Kawa
サイドFIRE生活中
ヨーロッパ在住30代。兼業投資家として株式投資、FX、不動産投資を行う。株式投資やFX取引では、ダウ理論とグランビルの法則を用いたテクニカル分析メインで、ファンダメンタルズ分析も組み合わせて投資判断を行う。欧州の不動産市場にも注力し、賃貸収入やキャピタルゲインを狙った長期的な投資を狙う。夢はボルゾイを飼うこと。
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