MENU

浮動株比率を業種別に実測した|資本財91.6%と医薬49.8%の差【2026年】

浮動株比率を業種別に実測した|資本財91.6%と医薬49.8%の差【2026年】

※本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれます。

この記事の結論

  • 2026年9月3日、当サイトが記事化している欧州株の浮動株比率を業種別に集計し直しました。最も高い資本財・機械が91.6%、最も低い医薬が49.8%で、約2倍の差があります
  • 低い3業種(医薬49.8%・ラグジュアリー50.0%・自動車53.7%)には、創業家や財団が大株主として残っている会社が多いという観察ができます。ただし個々の会社の株主構成そのものは確認していないため、誰が持っているかは断定しません
  • 国別の浮動株比率が低いイタリア・スペインは、業種構成だけでは説明しきれません。この2国に多い銀行・公益はむしろ浮動株比率が高い業種で、そこから先は当サイトのデータでは分かりません

以前、欧州株の浮動株比率を国別に実測した記事で、イギリスが97.6%と高く、スペインが46.9%と低いことを書きました。あの記事では「国によって差がある」ところまでしか見せられていません。今回は同じデータを業種で切り直し、差の正体がどこにあるのかを確認しました。

結論から言うと、業種による差はかなりはっきりしています。ただ、業種だけでは説明しきれない部分も残りました。都合の悪い部分も含めて、分かったことと分からなかったことを分けて書きます。

目次

業種別に実測した結果——資本財91.6%と医薬49.8%で約2倍の差

2026年9月3日、当サイトが記事化している欧州株について、業種ごとに浮動株比率の中央値を計算しました。結果は次のとおりです。

業種社数浮動株比率の中央値
資本財・機械1491.6%
小売1183.2%
銀行1879.5%
保険1578.7%
公益2175.9%
自動車1353.7%
ラグジュアリー1350.0%
医薬1449.8%
2026年9月3日、当サイトが機械的に取得した浮動株比率の業種別中央値

最も高い資本財・機械の91.6%と、最も低い医薬の49.8%では、約2倍の差があります。上位は資本財・機械、小売、銀行、保険、公益と続き、いずれも中央値は75%を超えています。下位は自動車、ラグジュアリー、医薬の3業種で、こちらは50%台か50%を下回る水準です。上位と下位のあいだに、はっきりした境目があるように見えます。

低い業種に共通すること——創業家や財団が残っている会社が多いという観察

下位3業種、医薬49.8%・ラグジュアリー50.0%・自動車53.7%を見ると、共通点があるように思います。これらの業種には、創業家や財団が大株主として残っている会社が多いという観察ができます。国別の記事で取り上げたポルシェ6.1%・ヘラ6.4%も自動車業種の銘柄で、突出して低い水準でした。

ここで断っておきたいのですが、これはあくまで業種全体の傾向としての観察です。当サイトは個々の会社の株主構成そのものを確認していないため、実際に誰が何%を保有しているかは断定しません。医薬・ラグジュアリー・自動車という業種の顔ぶれから見て取れる傾向、という以上のことは言えないと考えています。

逆に資本財・機械が91.6%と高いのは、業種別の配当利回りを実測した別記事でも見たとおり、顧客企業の設備投資で稼ぐ商売が多い業種だからではないかと思います。創業家が支配権を握り続ける形になりにくいのかもしれません。ただ、これも観察の域を出るものではなく、断定はできません。

国の低さは業種構成だけでは説明しきれない

国別の実測では、イタリア50.0%とスペイン46.9%が最も低い結果でした。業種の差がここまではっきりしているなら、「イタリアとスペインは浮動株比率の低い業種が多いのだろう」と考えたくなります。

ところが、業種別の実測によると、イタリアとスペインに多いのは銀行と公益です。そして今回の集計では、銀行79.5%・公益75.9%はむしろ浮動株比率が高いほうの業種でした。つまり、「浮動株比率の低い国には、浮動株比率の低い業種が多いから」という単純な説明は、この2国には当てはまりません。

正直に書くと、国の低さを業種構成だけでは説明しきれませんでした。銀行・公益以外の何かが効いているのか、それとも銘柄ごとの個別事情の積み重ねなのか、当サイトが持っているデータでは、そこから先は分かりません。分からないことを分かったかのように書くよりは、ここまでで止めておくのが誠実だと考えています。

浮動株比率を実務でどう使うか

浮動株比率が低い銘柄は、市場に出回っている株数そのものが少ないため、売買が薄くなりやすいと感じています。欧州株の注文方法についての記事で書いたとおり、欧州株は日本の夜間に取引することになるため指値注文が基本になりますが、浮動株比率が低い銘柄ほど、この指値の置き方が効いてくると思います。

株価指標の読み方にも注意が要ります。PER30倍超の欧州株を集めた記事で取り上げたポルシェは、PERが47.57倍と自動車13社の中で突出して高い数値でした。浮動株比率が6.1%と低い銘柄でもあり、流通量が少ない銘柄の指標は、多い銘柄と同じようには読みにくいのではないかと感じています。ただし、浮動株比率とPERの因果関係までは断定できません。

もうひとつ言っておきたいのは、浮動株比率が低いこと自体は、悪いことではないという点です。市場に出回る株数が少ないのは、裏を返せば、長期で保有し続けている大株主がいるということでもあります。「浮動株比率が低い銘柄は避けたほうがよい」という結論には、当サイトは至っていません。

まとめ:浮動株比率は業種で大きく違う、国の差は業種だけでは説明できない

  • 業種別の浮動株比率は資本財・機械91.6%から医薬49.8%まで約2倍の差(2026年9月3日実測)
  • 低いのは医薬・ラグジュアリー・自動車。創業家や財団が大株主として残っている会社が多いという観察はできるが、個々の株主構成は断定しない
  • 国別の低さ(イタリア・スペイン)は業種構成だけでは説明しきれない。この2国に多い銀行・公益はむしろ浮動株比率が高い業種であり、そこから先は当サイトのデータでは分からない
  • 浮動株比率が低いこと自体は悪いことではなく、長期保有の大株主がいるという見方もできる

浮動株比率は、買う前に一度見ておくと納得しやすい数字だと思います。同じ「欧州株」でも、売買のしやすさは業種でかなり違います。

この記事の検証方法

  • 浮動株比率は、2026年9月3日に、当サイトが記事化している欧州株について、株価データサイト(stockanalysis.com)の統計ページから発行済株式数と浮動株数(Float)を取得し、浮動株数 ÷ 発行済株式数で業種ごとに中央値を算出しました
  • 業種の分類は機械的に振り分けたのち、目視で1回確認しています(保険業を自動車や小売に誤分類していないかなど)
  • 浮動株の定義と算出方法はデータ提供元による目安であり、厳密な株主構成の開示ではありません。個々の会社の株主構成そのものは確認していません
  • 国別の浮動株比率は別記事、業種別のPER・配当利回りは別記事の集計によるもので、この記事単独の集計ではありません
  • 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する個別銘柄を保有しているとは限りません)

この記事を書いた人:Kawa

ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール

あわせて読みたい

免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の浮動株比率は2026年9月3日時点で取得した情報にもとづいており、市場の変動により変更される場合があります。特定の銘柄が割安・割高であることを示すものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

Kawa
サイドFIRE生活中
ヨーロッパ在住30代。兼業投資家として株式投資、FX、不動産投資を行う。株式投資やFX取引では、ダウ理論とグランビルの法則を用いたテクニカル分析メインで、ファンダメンタルズ分析も組み合わせて投資判断を行う。欧州の不動産市場にも注力し、賃貸収入やキャピタルゲインを狙った長期的な投資を狙う。夢はボルゾイを飼うこと。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次