※この記事の数字は、2026年9月に集計の誤りを直したうえで取り直したものです。経緯は末尾の「この記事の検証方法」に書いています。
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この記事の結論
- 欧州株256銘柄について浮動株比率(発行済株式のうち、市場で実際に売買されている株式の割合)を実測しました(2026年9月3日時点)
- 国別ではイギリス97.6%に対しスペイン46.9%と、50ポイント以上の差がありました
- 浮動株比率が著しく低い銘柄には、創業家や親会社が株式の大半を握るとみられる企業が並びますが、個々の会社の株主構成までは確認していません
- 浮動株が少ないことは良し悪しではなく、長期保有する大株主がいるということでもあります
「欧州企業は創業家や財団が株を握っていて、日本の株のように自由に売買できる部分が少ない」。そう聞いたことがある方もいるかもしれません。よく言われる話ですが、実際にどのくらいの比率なのか、数字で見た記事はあまり見かけません。
そこで今回、当サイトが記事化している欧州株について、浮動株比率(発行済株式のうち、市場で実際に売買されている株式の割合)を実測しました。創業家・政府・親会社などが長期保有している分は、浮動株には入りません。結果、国によってはっきりとした差が出ました。この記事では、その実測データを表で示しながら、浮動株比率という指標をどう読めばよいかを整理します。
欧州株256銘柄の浮動株比率を実測:国別の中央値
2026年9月3日、当サイトが記事化している欧州株について、株価データサイト(stockanalysis.com)の統計ページから発行済株式数と浮動株数(Float)を取得し、浮動株比率=浮動株数 ÷ 発行済株式数を計算しました。今回、浮動株比率を実測できたのは256銘柄です。7か国について、浮動株比率の中央値を並べました。
| 国 | 社数 | 浮動株比率の中央値 |
|---|---|---|
| イギリス | 44社 | 97.6% |
| スイス | 35社 | 90.8% |
| デンマーク | 21社 | 82.2% |
| フランス | 40社 | 74.3% |
| ドイツ | 50社 | 71.1% |
| イタリア | 37社 | 50.0% |
| スペイン | 29社 | 46.9% |
最も高いイギリス(97.6%)と最も低いスペイン(46.9%)で2倍以上の差があります。同じ「欧州株」とひとくくりにされがちですが、株主構成の傾向はまったく違うようです。イギリスやスイスは機関投資家が広く分散して株式を持つ市場とされ、イタリアやスペインは創業家や自治体による所有が根強い文化があるとよく説明されます。ただし、当サイトはこの背景を学術的に検証したわけではないので、「そう説明されることが多い」という位置づけで受け取ってください。
なお、今回の集計はあくまで今回実測した256銘柄に限ったものであり、欧州市場全体を代表する数字ではありません。浮動株の定義と算出方法もデータ提供元による目安であり、厳密な株主構成の開示ではない点にご留意ください。
こうした国ごとの違いを踏まえて銘柄を選びたい場合、日本からはサクソバンク証券であれば主要な欧州の取引所を横断して個別株を取引できます。
浮動株比率が際立って高い銘柄・低い銘柄
今回の実測で、浮動株比率がほぼ100%に近かった銘柄には、アリアンツ・ABB・ウニクレディト・ラインメタル・ネスレがあります。発行済株式のほぼ全てが、市場で売買されている状態です。
反対に、浮動株比率が著しく低かった銘柄は次のとおりです。
| 会社 | 浮動株比率 |
|---|---|
| ポルシェ | 6.1% |
| ヘラ | 6.4% |
| アリストン | 15.9% |
| プロセグール | 18.2% |
| タランクス | 22.9% |
| ゲスタンプ | 23.8% |
これらの銘柄は創業家や親会社が株式の大半を握っているとみられますが、当サイトは個々の会社の株主構成までは確認していないため、誰がどれだけ保有しているかは断定しません。浮動株比率が低いこと自体は良い悪いで採点できるものではなく、後述するとおり長期保有する大株主がいることの裏返しでもあります。
数字の読み方:流動性・指値・株価指標との関係
浮動株比率をどう読めばよいか、実測から見えたことを整理します。
- イギリスとスイスが高い:機関投資家中心の市場で、流動性が高いと読めます
- イタリアとスペインが低い:創業家や自治体が保有し続けている会社が多いという観察です(当サイトは個々の会社の株主構成を確認していないので断定はしません)
- 浮動株比率が低いと、売買が薄くなりやすく、注文が値段を動かしやすくなります。欧州株は日本の夜に取引するため指値が基本になりますが、浮動株が少ない銘柄ほど指値の置き方が効いてきます
- ポルシェの6.1%は際立って低い数値です。別の実測では、ポルシェのPER(株価収益率)は47.57倍と、自動車13社の中で突出して高い数値でした。流通量が少ない銘柄の株価指標は、多い銘柄と同じようには読みにくいと感じていますが、両者の因果関係までは断定しません
浮動株が少ないことは良し悪しではない
浮動株が少ない、つまり創業家や親会社が株式の大半を握っているという状態は、良い悪いで採点できるものではないと筆者は考えています。長期保有する大株主がいるということでもあり、支配株主が短期の株価より長期の事業を優先しやすいとされ、敵対的買収の対象にもなりにくいと言われます。一方で、少数株主の意見が議決権に反映されにくいことや、市場に出回る株式が少ないぶん出来高が薄く、売買したいときにすぐ売買できないことがある点には注意が必要です。
つまり、浮動株比率は「長期安定と引き換えに、流動性と株主としての発言力を差し出す」というトレードオフを映す数字だと思います。どちらが優れているという話ではなく、投資する側がその性格を理解したうえで選ぶかどうかの問題です。
まとめ:浮動株比率は、株価の動き方を左右する
- 欧州株256銘柄を実測すると、浮動株比率の中央値は国によって大きく違う(英97.6%〜西46.9%)
- 浮動株比率が著しく低い銘柄には創業家や親会社が株式の大半を握るとみられる企業が並ぶが、株主構成そのものは確認していない
- 浮動株が少ないことは良し悪しではなく、長期保有する大株主がいるということでもある
- 浮動株比率が低い銘柄を検討するときは、買う前に出来高と指値の使い方を確認する
「誰が持っている会社か」は、業績と同じくらい株価の動き方を決めていると思います。
この記事の検証方法
- 浮動株比率は、2026年9月3日に、当サイトが記事化している欧州株について、株価データサイト(stockanalysis.com)の統計ページから発行済株式数と浮動株数(Float)を取得し、浮動株数 ÷ 発行済株式数で算出しました。対象は256銘柄です
- この記事は公開後に数字を見直したものです。2026年8月29日公開時点の集計(206銘柄)には初期に取り上げた銘柄が含まれておらず、統計ページの読み取り方法にも不備がありました。2026年9月3日に両方を直し、256銘柄で取り直しています
- 浮動株の定義と算出方法はデータ提供元による目安であり、厳密な株主構成の開示ではありません。個々の会社の株主構成そのものは確認していません
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する個別銘柄を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の浮動株比率・分布・各社の数値は本文記載の時点で確認した情報にもとづいており、データ提供元の定義や取得方法によって変動する可能性があります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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