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この記事の結論
- 大型株と中型株の違いは情報量・ADRの有無・株主構成に表れます。企業の質の差ではありません
- 中型株はADRが存在しない・原株と乖離しているために当サイトが記事化を見送った例があります(英クランズウィック、仏SEB)
- 中型株には創業家が過半を持つ会社が珍しくありません(シクスト58.3%、ロビ一族58.19%、カルタジローネ家72.26%など)
- 結論として、最初の1銘柄は大型株が無難だと思います。大型か中型かは「企業の質」ではなく「必要な調査量」の違いです
「有名なLVMHやネスレから始めるべきか、それとも知られていない優良な中型株を狙うべきか」。欧州株を始めようとすると、多くの人がこの迷いにぶつかります。当サイトはこれまで大型株・中型株の両方を実際に調べて記事にしてきました。その過程で見えてきたのは、大型株と中型株の違いは企業の優劣ではなく、投資家に求められる調査量の違いだということです。この記事では、当サイトが実際に記事化する・見送るを判断した実例をもとに、両者の性格の違いと、最初の1銘柄をどちらから選ぶべきかを整理します。
大型株の性格:情報が多く、チャートやADRの用意もしやすい
ネスレ・LVMH・アリアンツといった、目安として時価総額が数百億ユーロ級の大型株には、共通する特徴があります。まず情報が多いことです。英語の報道や証券アナリストの分析が豊富で、日本語の報道が出ることもあります。決算発表があれば、ロイターやブルームバーグが即日で記事にするような規模感です。
次に、米国ADR(現地株を米国市場で売買できる預託証券)の流動性が高いことです。ADRの出来高が多いということは、チャートや株価データを確認しやすいということでもあります。当サイトが記事を書くうえでも、大型株はデータの土台を用意しやすい部類に入ります。
ただし、大型株だから株価が手ごろとは限りません。リンツ株は当サイトの記事の記録で1株が数百万円〜1千万円級に達していた時期があり(正確な現在値は変動するため本記事では書きません)、ゲームズワークショップ株も1株4万円台と、日本の感覚では高株価な銘柄が大型株の中にも存在します。情報量と株価の手ごろさは、必ずしも一致しません。
中型株の性格:情報は薄く、同族支配と浮動株の少なさが独特
ボサード・インターロール・ラショナルのような、目安として時価総額が数十億ユーロ級の中型株になると、様相が変わります。報道が薄く、公式のIR資料と数値データサイトを自分で当たるしかない場面が増えます。決算資料を読み解く手順を自分で回せることが前提になります。
さらに、ADRが存在しない、または現地株との値動きが乖離していることがあります。当サイトは英クランズウィックを、米国ADRが存在せずチャートを用意できないという理由で記事化を見送りました。仏SEB(ティファール等を展開)も、ADRと現地株の1年騰落率が数十ポイント乖離しており、どちらの数字を出しても読者を混乱させると判断して見送っています。中型株では「買いたくても、日本から確認できる形でデータが揃わない」ことが実際に起こります。
もう一つの特徴が、株式の種類や同族支配の多さです。当サイトが記事化した中型株の実測では、独レンタカー大手シクストは創業家が普通株の58.3%を保有、スペインの製薬CDMOロビは一族が58.19%を保有、伊セメント大手チェメンティールはカルタジローネ家が72.26%を保有していました。創業家が過半を持つこと自体は悪ではなく、長期経営の安定につながるとも言われます。ただし、実測が示すとおり浮動株が少ないということは、出来高も薄くなるということです。少数株主として持つ株数が経営方針に与える影響力は小さい、という事実は知ったうえで買う必要があります。
大型株と中型株を当サイトの実例で比べると
ここまでの内容を、当サイトが実際に記事化してきた実例をもとに整理すると、次のようになります。
| 大型株(数百億ユーロ級) | 中型株(数十億ユーロ級) | |
|---|---|---|
| 情報量 | 英語報道・分析が豊富 | 公式IRと数値サイトが頼り |
| ADR | 流動性が高く確認しやすい | 存在しない・乖離することがある |
| 株主構成 | 浮動株が多い銘柄が中心 | 創業家が過半のことが珍しくない |
| 当サイトの実例 | ネスレ・LVMH・アリアンツ | シクスト・ロビ・チェメンティール |
| 必要な調査量 | 少なくて済む | 自分で決算・IRを読む手順が要る |
並べてみると分かるのは、大型株と中型株の差は「どちらが優れているか」ではなく、投資家側にどれだけの調査の手間を求めるかという一点だということです。決算やIR資料を英語で読み解く手順は、欧州企業の決算の読み方で扱った内容がそのまま中型株にも当てはまります。
最初の1銘柄はどちらが無難か
結論として、最初の1銘柄は大型株が無難だと思います。理由は、情報・ADRの流動性・チャートの確認しやすさの全部が、大型株のほうが揃っているからです。慣れないうちから、報道の少ない中型株の決算を自分で読み解くのは負担が大きすぎます。
一方で、中型株の魅力は「自分で調べた分だけ差がつく」ことにあります。報道が薄い分、情報を自分で取りに行けば、周囲との差になります。欧州株の情報をどこで調べるかで書いた無料の情報源を使い、決算とIRを自分で読む手順を回せるようになったら、中型株は次に進む第2段階として向いていると思います。同族支配や浮動株の薄さを理由に避ける必要はありませんが、少数株主としての影響力が小さいことは、買う前に知っておくべき事実です。
日本からサクソバンク証券を使えば、大型株・中型株のどちらも同じ口座から売買できます。まずは情報が揃っている大型株から始め、慣れてきたら中型株にも目を向ける、という順番が現実的だと思います。
まとめ:企業の質ではなく、必要な調査量で選ぶ
- 大型株は情報量・ADRの流動性が高く、最初の1銘柄に無難
- 中型株は報道が薄く、ADRが無い・乖離することがあり、公式IRを自分で読む手順が要る
- 中型株には創業家が過半を持つ会社が珍しくなく、浮動株の少なさ=出来高の薄さを知っておく
- 大型か中型かは「企業の質」ではなく「必要な調査量」の違いだと思います
- 調べる手順を回せるようになったら、中型株は次に進む第2段階として向いています
どちらが正解ということはありません。いま自分がどれだけ調査に手間をかけられるかで、大型株か中型株かを選べば十分だと思います。
この記事の検証方法
- 大型株・中型株の性格の違いは、当サイトが個別に記事化してきた実測データにもとづいています
- シクスト(創業家58.3%)・ロビ(一族58.19%)・チェメンティール(カルタジローネ家72.26%)の株主構成は、各社の記事執筆時に確認した発行済株数・浮動株数の実測によるものです
- 英クランズウィックのADR不在、仏SEBのADRと現地株の乖離は、当サイトが記事化を判断した際の実測・確認結果です
- リンツ・ゲームズワークショップの株価水準は、各社の記事執筆時点の記録にもとづきます(本記事では現在値を書いていません)
- 時価総額は変動するため、本記事では具体的な現在値を書かず「級」の幅で表現しています
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の株主構成・浮動株数・株価水準は本文記載の各時点で確認した情報に基づいており、変更される場合があります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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