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この記事の結論
- 当サイトが銘柄を記事にするかどうかを決めているのは、「良い銘柄かどうか」ではなく「数字の理由を説明できるかどうか」です
- 実際に検討して見送った実例を、5つの基準に沿って公開します
- 見送った銘柄は「ダメな会社」ではなく、当サイトが数字の理由を確認しきれなかったというだけです
- この基準は優良株の発掘法ではなく、事故を減らすふるいです。通った銘柄が上がる保証はありません
「おすすめ銘柄」を紹介するサイトは数多くあります。一方で、「なぜこの銘柄を載せなかったか」を実例つきで語るサイトはあまり見かけません。欧州株は1銘柄ずつ調べて記事にしていますが、その過程では調べたのに載せなかった銘柄のほうが実は多くあります。
この記事では、当サイトが銘柄を記事にするかしないかを判断している5つの基準を、実際に見送った銘柄の実例つきで公開します。先に結論を言うと、この基準は「良い銘柄を見つける方法」ではありません。説明できない数字を持つ銘柄を外すための、地味なふるいです。読者の方が自分で銘柄を調べるときのチェックリストとして使っていただければと思います。
基準1:数字の理由を説明できない銘柄は書かない
いちばん基本の基準です。純利益がマイナス(純損失)、配当性向が100%を超えている、PERが極端に高い・低い——こうした数字自体は珍しくありませんが、「なぜその数字になっているのか」を確認できないまま記事にはしないと決めています。
たとえば検討した時点で純損失だった銘柄には、ワッカーケミー、WHスミス、タルゴなどがありました。配当性向が100%を超えていた例としては、ペノンが146%、ゲットリンクが133%(いずれも検討時の実測値)。PERが極端だった例としては、ヘンソルトが86倍、アルケマが247倍(同じく検討時の実測値)でした。
ここで強調しておきたいのは、「数字が悪い=ダメな会社」ではないという点です。一時的な減損や大型投資、業界特有の会計処理が理由になっていることは珍しくありません。当サイトの基準はもっと単純で、その理由を当サイトが確認しきれなかったら書かない、というだけです。理由を説明できる自信がない記事は、読者にとって何の役にも立たないと思っています。
基準2:低PERの「見かけ」を疑う
PERが低い銘柄は「割安」に見えます。ただし、低PERには「本当に稼いでいて割安」なものと、「利益が一時的に膨らんでいるだけ」の見かけの低PERが混ざっています。当サイトはこの2つを区別できないときは書きません。
実例が、独のLEGイモビリエンです。検討した時点のPERは3.27倍と極端に低かった一方、配当性向はわずか9.64%でした。稼いだ利益をほとんど配当に回していないのにPERが低いというのは不自然で、調べると不動産の評価益で利益がかさ上げされていたことが確認できました。同じ理由で、英3iグループや英メルリン・プロパティーズも見送っています。
教訓は単純です。PERが低すぎるときほど、利益の中身(評価益や一時益が混ざっていないか)を先に見る。それを確認できないうちは「割安」とは書かないようにしています。
基準3・4:説明できない値動きと、買収・上場廃止の渦中は書かない
数字自体は健全でも、株価の動きの理由が説明できない銘柄も見送ります。伊ウェブイルドは、PER8.98倍・配当利回り3.64%と数値だけ見れば悪くありませんでしたが、株価が1年で−45%下がった理由を、報道を調べても確認できませんでした。読者が最初に抱くはずの「なぜこんなに下がったのか」という疑問に答えられない記事は出さない、という判断です。
逆に、急騰の理由がはっきり分かった例もあります。英ロトルクは1年で+37.78%でしたが、これはABBによる買収提案のプレミアムでした(2026年7月に買収提案・上場廃止見込みが報じられています)。急騰銘柄はまず買収を疑うというのが実務上のクセになっています。
買収や上場廃止、上場移管の渦中にある銘柄も、そのまま見送ります。ロトルクのほか、TOBで上場廃止が見込まれる伊メディオバンカ、統合の渦中にある英シュローダー、NYSEへの主上場移管が報じられた英アシュテッドなどが該当します。理由は単純で、買い方や特徴を解説しても、その前提が近いうちに崩れることが分かっているからです。
基準5:データの土台が用意できない銘柄は書かない
最後は少し実務的な基準です。数字も値動きも問題なくても、読者に見せられる形でチャートやデータを用意できない銘柄があります。
英クランズウィックは、数字自体は健全でしたが米国ADR(現地株を米国市場で売買できる預託証券)が存在せず、当サイトが使っているチャートを用意できませんでした。仏SEB(ティファール等を展開)は、ADRと現地株の1年騰落率が数十ポイントも乖離しており、どちらの数字を出しても読者を混乱させると判断して見送りました。英IAG(ブリティッシュ・エアウェイズの親会社)は、株価がユーロ建て、配当はポンド建てという通貨の混在があり、説明しきれないため見送っています。
この基準は銘柄そのものの良し悪しとは関係ありません。当サイトの説明の土台が用意できるかどうかだけの話です。
ここまでの5つの基準は、どれも特別な情報源を使っているわけではありません。stockanalysisのような無料の株価データサイトの実測値と、報道の検索だけで、読者ご自身でも確認できる基準です。決算の読み方をまとめた記事もあわせて使うと、数字の理由を自分で確認する作業がやりやすくなると思います。
この基準で「残る」銘柄は、優良株とは限らない
正直に書いておきたいことがあります。この5つの基準は、優良株を発掘する方法ではありません。あくまで「事故を減らすためのふるい」であり、この基準を通って記事になった銘柄が値上がりする保証はまったくありません。
むしろこの基準を通すと、話題になりやすい急騰株や、見かけだけの低PER株ほど弾かれていく傾向があります。残るのは、地味で説明のつく数字を持った銘柄です。派手さを求めて記事を探している方には、物足りなく映るかもしれません。それでも、説明できるものだけを積み上げるほうが、あとで後悔しにくいというのが、この基準を使い続けている理由です。
まとめ:説明できないものは書かない・買わない
- 当サイトが銘柄を見送る基準は、「数字の理由を説明できるか」の1点に集約されます
- 見送った銘柄は「ダメな会社」ではなく、当サイトが説明しきれなかったというだけです
- 基準は5つ:①数字の理由が説明できない②低PERの見かけ③説明できない急騰急落④買収・上場廃止の渦中⑤データの土台がない
- この基準は事故を減らすふるいであり、優良株の発掘法ではありません。通った銘柄が上がる保証はありません
- 5つの基準はいずれも、読者ご自身でも確認できるものです
華やかな理由ではありませんが、分からないものは書かない・買わない、は地味ですが一番効く基準だと思います。銘柄を選ぶときは、良いところを探す前に、まず「説明できない部分がないか」を確認してみてください。
この記事の検証方法
- 本文で挙げたPER・配当性向・騰落率は、いずれも当サイトが各銘柄を検討した時点の実測値です。現在の数値とは異なる場合があります
- 買収・上場廃止・上場移管に関する情報は、各社の適時開示および報道を出典としています
- 実測値の取得にはstockanalysisなどの無料株価データサイトを使用しています
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事で挙げた見送り銘柄を保有・検討しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。本文中の数値は、当サイトが各銘柄を検討した時点の実測値であり、現在の数値とは異なる場合があります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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