MENU

国を選ぶと業種が決まる|欧州7か国の顔ぶれを実測した【2026年】

国を選ぶと業種が決まる|欧州7か国の顔ぶれを実測した【2026年】

※本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれます。

この記事の結論

  • 欧州7か国のPER・浮動株比率・配当の年平均増加率を並べると、国ごとにかなり違う顔ぶれが見えます。PER中央値は最安のイタリア15.01倍から最高のスイス25.97倍まで約1.7倍の差があります
  • この差は、国そのものというより、その国に多い業種で説明がつく部分があると考えられます。イタリアは銀行7社・公益6社が最多で、この2業種はPERが低い業種です。スイスは医薬3社・保険3社・資本財2社が多く、医薬と資本財はPERが高い業種です
  • スペインの配当の年平均増加率15.4%が7か国で最も高い背景にも、銀行3社という業種構成があります。銀行は出発点の低さを含んだ増加率になりやすい業種です
  • 国で分散したつもりが、業種で偏っていることがあります。国を選ぶことは、実質的に業種を選ぶことでもあると思います

欧州株を国別に見比べていると、「イタリアは安い」「スイスは高い」「スペインは増配率が高い」といった印象を持つことがあります。当サイトでは、欧州株のPERを国別に実測した記事と、業種別に実測した記事を別々に公開してきました。この2本を突き合わせると、「国の違い」だと思っていた数字の差が、実は「その国に多い業種の違い」で説明がつく部分があることが見えてきます。

この記事では、当サイトが取り上げてきた欧州7か国(イタリア・スペイン・フランス・ドイツ・イギリス・スイス・デンマーク)について、各国で最も多い業種と、PER・浮動株比率・配当の年平均増加率の実測値を1つの表にまとめます。国と業種の対応が見えると、「国で分散する」ことと「業種で分散する」ことが、必ずしも同じ結果にならないことが分かると思います。

目次

7か国の実測結果——PER・浮動株比率・配当の年平均増加率

まず、当サイトが実測してきた数値を国別に並べます。PERは2026年9月2日実測の記事、浮動株比率と配当の年平均増加率はそれぞれ別記事の集計によるものです。

PER中央値浮動株比率配当の年平均増加率最も多い業種
イタリア15.01倍50.0%12.9%銀行7社・公益6社
スペイン16.18倍46.9%15.4%公益5社・銀行3社
フランス17.68倍74.3%11.9%資本財3社・自動車3社
デンマーク18.06倍82.2%8.4%医薬3社
ドイツ18.30倍71.1%7.0%自動車6社・医薬6社
イギリス22.33倍97.6%10.0%小売・外食8社・公益5社
スイス25.97倍90.8%5.0%医薬3社・保険3社
当サイトが実測した各記事の集計を国別に並べたもの。PERは2026年9月2日時点、浮動株比率・配当の年平均増加率はそれぞれの実測記事の集計日時点

こうして並べると、国ごとにばらつきがあることが分かります。ただ、この表を見て「イタリアが割安で、スイスが割高」と読むのは早いと思います。次の章で、この差がどこから来ているのかを見ていきます。

PERの差は業種構成で説明がつく部分がある——イタリアの銀行と公益、スイスの医薬と資本財

イタリアで最も多いのは銀行7社・公益6社です。当サイトが業種別に実測した記事によると、銀行のPER中央値は13.42倍、公益は16.57倍で、どちらも8業種のなかで低いグループに入ります。イタリアの国別PER中央値が7か国で最も低い15.01倍になっている背景には、この2業種の多さがあると考えられます。

一方、スイスで最も多いのは医薬3社・保険3社・資本財2社です。医薬・ヘルスケアのPER中央値は23.58倍、資本財・機械は25.24倍で、どちらも8業種のなかで最も高いグループに入ります。スイスの国別PER中央値が7か国で最も高い25.97倍になっている背景にも、この業種構成があると考えられます。

もちろん、国別のPERを決める要素は業種構成だけではありません。同じ業種の中でも個別企業ごとに成長期待や財務内容は違いますし、市場全体の資金の向き方も影響します。ただ、イタリアとスイスという両極端な2か国について、最も多い業種のPERを確認すると、国別の差と同じ方向に数字が動いていることは、説明がつく部分があると言えると思います。

増配率の高さも、業種構成で説明がつく部分がある——スペインの銀行

配当の年平均増加率を見ると、スペインの15.4%が7か国で最も高くなっています。スペインで最も多いのは公益5社・銀行3社で、このうち銀行3社の存在が、増加率の高さに関わっている部分があると考えられます。当サイトが配当の増加率を実測した記事で書いたとおり、銀行はもともとの配当水準が低い時期を経てから増配してきた業種で、増加率の計算では出発点が低いほど数字が大きく出やすい性質があります。

つまり、「スペインは増配意欲が高い国」と読むよりも、「増加率が大きく出やすい業種がスペインに含まれている」と読んだほうが実態に近いと思います。増加率の数字だけを国別に比べるときは、その国にどの業種が含まれているかを確認したほうがよいと考えています。

国で分散したいのか、業種で分散したいのかを決める

ここまで見てきたことをまとめると、国を1つに絞ると、業種もある程度絞られるということです。たとえばイタリア株だけに集中すると、銀行と公益の比率が自然と高くなりますし、スイス株だけに集中すると、医薬と資本財の比率が高くなります。国で分散したつもりでも、業種では偏りが生じている可能性があります。

逆に、業種で分散したい場合は、国をまたぐ必要が出てきます。今回の実測でいうと、銀行・公益を持ちたければイタリアやスペインに、医薬を持ちたければドイツ・スイス・デンマークに、自動車を持ちたければドイツに、小売・外食を持ちたければイギリスに、それぞれ多く含まれています。特定の業種を持ちたいときは、その業種が多い国を確認するところから始めるとよいと思います。ポートフォリオ全体でどのくらい欧州を組み入れるかという配分の考え方は、別記事でも書いています。

国で選ぶか、業種で選ぶか、どちらが正しいというものではないと思います。ただ、どちらの軸で分散したいのかを先に決めてから国や銘柄を選ぶほうが、後から「思っていたより偏っていた」と気づくことは少なくなるはずです。

まとめ:国の名前で選ぶと、気づかないうちに業種を選んでいる

  • PER中央値は伊15.01倍〜瑞25.97倍で約1.7倍の差。この差は、それぞれの国に多い業種のPERと同じ方向に動いており、業種構成で説明がつく部分があると考えられます
  • イタリアは銀行7社・公益6社が多く、銀行13.42倍・公益16.57倍とどちらもPERが低い業種です。スイスは医薬3社・保険3社が多く、医薬23.58倍とPERが高い業種です
  • スペインの配当の年平均増加率15.4%が最も高いのも、銀行3社という業種構成が関わっている部分があります
  • 国を1つに絞ると業種も絞られやすく、業種で分散したいときは国をまたぐ必要があります

国の名前で選ぶと、気づかないうちに業種を選んでいることになります。どちらの軸で分散したいのかを決めてから選ぶと、後から偏りに驚かずに済むと思います。

この記事の検証方法

  • この記事の数値は当サイトの実測記事からの引用であり、この記事単独の集計ではありません。調査日は2026年9月3日です
  • PER中央値・国別の業種構成2026年9月2日実測の記事の集計によるものです
  • 業種別のPER中央値(銀行13.42倍・公益16.57倍・医薬23.58倍・資本財25.24倍)業種別に実測した別記事の集計によるものです
  • 配当の年平均増加率配当の増加率を実測した別記事の集計によるものです
  • 浮動株比率は、当サイトが別記事で実測した集計によるものです
  • 国別の「最も多い業種」は、各記事の集計時点での銘柄数にもとづく単純な社数比較です。業種分類は機械的な区分であり、複数事業を持つ企業は主力事業で1業種に分類しています
  • この記事は、国別の数字の差と業種構成の間に見られる対応関係を示すものであり、業種構成が数字の差の唯一の原因であることを証明するものではありません
  • この記事の数値は当サイトが取り上げた銘柄に限った集計であり、欧州市場全体を代表するものではありません
  • 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する銘柄を保有しているとは限りません)

この記事を書いた人:Kawa

ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール

あわせて読みたい

免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載のPER・浮動株比率・配当の増加率は各実測記事の集計時点の情報にもとづいており、市場の変動により変更される場合があります。特定の国や業種が有利・不利であることを示すものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

Kawa
サイドFIRE生活中
ヨーロッパ在住30代。兼業投資家として株式投資、FX、不動産投資を行う。株式投資やFX取引では、ダウ理論とグランビルの法則を用いたテクニカル分析メインで、ファンダメンタルズ分析も組み合わせて投資判断を行う。欧州の不動産市場にも注力し、賃貸収入やキャピタルゲインを狙った長期的な投資を狙う。夢はボルゾイを飼うこと。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次