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この記事の結論
- 円建てのリターンは「株価×為替」の掛け算。株価が10%上がっても円高10%なら利益はほぼ消える
- 欧州株の通貨は実質3つ:ユーロ(デンマーククローネ含む)・スイスフラン・ポンド
- ロンドン株はペンス(GBX)表示。「1,542」と出たら15.42ポンド。100倍の誤認に注意
- 両替コストは0.25%(サクソバンク証券)。売買のたびにかかる
「株価は上がったのに、円に戻したら利益がなかった」。外国株投資で最も多い誤算が為替です。
欧州株はさらに一段複雑で、ユーロ・スイスフラン・ポンド・デンマーククローネという4つの通貨が登場します。この記事では、通貨ごとの性格の違いと、知らないと発注額を100倍間違えるロンドン株の表示の罠、そして為替と上手に付き合う考え方を整理します。
円建てリターンは「株価×為替」の掛け算
欧州株を円で買って円に戻すまでのリターンは、株価の変動と為替の変動の掛け算で決まります。
| 株価 | 為替 | 円建てリターン |
|---|---|---|
| +10% | 円安10%(ユーロ高) | +21% |
| +10% | 変化なし | +10% |
| +10% | 円高10%(ユーロ安) | −1% |
為替は敵にも味方にもなります。この10年の円安局面では、欧州株の円建てリターンは為替だけで大きく押し上げられてきました。ただし、これが今後も続く保証はありません。「為替の追い風を前提にしない。逆風でも耐えられる銘柄を選ぶ」が基本姿勢です。
4つの通貨の性格を知る(2026年8月15日実測)
| 通貨 | 対円レート | 主な取引所 | 性格 |
|---|---|---|---|
| ユーロ(EUR) | 約184円 | フランクフルト・パリ・ミラノ・マドリード | 欧州株の基本通貨 |
| スイスフラン(CHF) | 約196円 | SIXスイス | 「安全通貨」。10年で対円約1.8倍 |
| ポンド(GBP) | 約216円 | ロンドン | 株価はペンス表示(後述の罠) |
| デンマーククローネ(DKK) | 約24.7円 | コペンハーゲン | ユーロに固定=実質ユーロ |
スイスフラン:円安が最も効いた通貨。ただし源泉税35%とセット
10年前は1フラン110円前後でしたが、現在は約196円。円はスイスフランに対して10年で約4割下落しました。ネスレやロシュを長く持っていた投資家は、株価に加えて為替でも大きく報われた計算です。ただしスイス株は配当の現地源泉税が35%と欧州最重量級。為替の魅力と税の重さはセットで考えてください(詳細は配当税の国別比較へ)。
デンマーククローネ:見た目はマイナー通貨、中身はユーロ
ヴェスタスやマースクのデンマーク株を見て「マイナー通貨は怖い」と感じる必要はありません。デンマーククローネはERM II(欧州為替相場メカニズム)で1ユーロ=7.46038クローネに固定されており、変動許容幅は±2.25%、実務上はさらに狭い幅で管理されています(デンマーク国立銀行)。中心レートは1987年以降変わっていません。為替リスクとしてはユーロと同じと考えて差し支えありません。
ロンドン株の罠:表示は「ポンド」ではなく「ペンス」
ここが本記事で最も重要な注意点です。ロンドン証券取引所の株価は、ポンドではなくペンス(GBX)=100分の1ポンドで表示されます。
| 画面の表示 | 誤った読み方 | 正しい読み方 |
|---|---|---|
| 1,542.00 | 1,542ポンド(約33万円) | 15.42ポンド(約3,300円) |
「1,542」を1,542ポンドと誤認すると、発注金額の見積もりが100倍ずれます。ロールス・ロイスやテスコなど英国株の記事では毎回注意喚起していますが、初めて英国株の板を見る人は必ずここでつまずきます。「英国株の株価表示は100で割ってポンドにする」——これだけ覚えて帰ってください。
両替コストは0.25%。往復でかかることを忘れずに
サクソバンク証券で円から外貨建ての株式を買う場合、通貨転換手数料は0.25%です(公式ヘルプで確認)。買うときと売るときの両方でかかるため、往復では約0.5%。頻繁に売り買いするほど為替コストが積み上がります。取引回数を絞った長期保有のほうが、手数料面でも為替コスト面でも有利な構造です。
為替リスクとの付き合い方3つ
1. タイミングを当てにいかない
為替の短期予測はプロでも困難です。「円高になってから買う」と待ち続けるより、時期を分けて買うほうが現実的です。買付を数回に分ければ、為替レートも自然に平均化されます。
2. 「円だけで持つこと」も通貨集中だと考える
為替リスクは避けるものではなく、配分するものです。資産のすべてを円で持つことは、円という1つの通貨に集中投資している状態でもあります。米国株を持っている人ならドルに、欧州株を加えればユーロ・フランにも資産が分散します。
筆者メモ:筆者はヨーロッパに住み、ユーロで生活費を払いながら欧州株を保有しています。日本にいた頃は「為替リスク=怖いもの」でしたが、住む場所が変わると「円しか持っていないこと」のほうがリスクに見えてきます。どちらか一方が正解なのではなく、両方に分けておくのが一番落ち着きます。
3. 配当は外貨で入ることを覚えておく
欧州株の配当はユーロやフランなどの外貨で支払われます。受け取るたびに円転するか、外貨のまま次の買付に回すかで、為替コストのかかり方が変わります。再投資するなら外貨のまま回すほうが両替の回数を減らせます。
よくある質問
円高になりそうな時期は買わないほうがいいですか?
為替の転換点を事前に当てることは、プロの機関投資家でも安定してはできていません。買付時期を数回に分散することで、レートを平均化するのが現実的な対処です。
デンマーク株はマイナー通貨だからリスクが高いのでは?
デンマーククローネは1ユーロ=7.46038クローネに固定されており(ERM II)、この中心レートは1987年から変わっていません。為替リスクの実態はユーロと同じです。
為替の損益には税金がかかりますか?
株式の譲渡損益は円換算で計算されるため、為替変動分も譲渡損益に自動的に含まれます。配当や外国税額控除まわりの詳細は確定申告の解説記事を参照してください。
まとめ
- 円建てリターンは「株価×為替」の掛け算。株価+10%でも円高10%ならほぼ帳消し
- 通貨は実質3つ。デンマーククローネはユーロ固定なので恐れる必要なし
- 英国株の株価は100で割ってポンドに直す。1,542表示=15.42ポンド
- スイスフランは10年で対円約1.8倍。ただし配当源泉税35%とセット
- 両替コストは片道0.25%。売買回数を絞った長期保有が有利
| こんな人は | やり方 |
|---|---|
| まず基本の通貨から始めたい | ユーロ建て(独・仏・伊・西+実質ユーロの丁) |
| 通貨としての強さを重視したい | スイスフラン建て(源泉税35%に注意) |
| NISAの非課税で持ちたい | IB証券という選択肢もある(比較記事へ) |
この記事の検証方法
- 為替レートは2026年8月15日に実測した値です(XE.comの仲値ベース)
- デンマーククローネの固定制度はデンマーク国立銀行の公式情報で確認しています
- 両替手数料はサクソバンク証券の公式ヘルプで確認しています
- 筆者はヨーロッパ在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座で欧州株を実際に保有しています
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄や証券会社の利用を推奨するものではありません。記載の為替レート・手数料・制度は2026年8月15日時点で確認した情報に基づいており、変更される場合があります。為替相場の過去の推移は将来の値動きを保証するものではありません。税務の取扱いは個々の状況により異なるため、税務専門家にご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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