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この記事の結論
- 日本から欧州の個別株を現物で買えるのは、実質サクソバンク証券とインタラクティブ・ブローカーズ証券(IB証券)の2社です
- サクソバンク証券は欧州株1,700銘柄以上を扱い、特定口座にも対応していますがNISAは使えません
- IB証券はNISAの成長投資枠で欧州株に対応しているとされます。ただし課税口座に特定口座がなく、確定申告はご自身で行う必要があります
- 手数料は「料率」より最低手数料が効きます。1回の約定を4万〜11万円以上にすると、手数料負担は1%以内に収まります(取引所ごとの金額は本文の表をご覧ください)
当サイトでは、ラインメタル・LVMH・ネスレなどSBI証券・楽天証券・マネックス証券では買えない欧州株を、国別・業種別に取り上げてきました。どの記事でも「サクソバンク証券なら買えます」とご案内していますが、選択肢はもう1つあります。
この記事では、日本から欧州の個別株を買える証券会社を横並びで比べます。結論を先に申し上げると、「非課税で持ちたいか」「確定申告を自分でやりたくないか」で答えが変わります。
先に、筆者の立場をお伝えします
比較記事を読むときに気になるのは「この人は本当に使っているのか」だと思いますので、先にお伝えしておきます。
筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座からVanguard FTSE Developed Europe UCITS ETF(VEUR)を中心に保有しています。つまり、日常的に使っているのはIB証券のほうです。
なお、VEURはアイルランド籍のUCITS ETFで、サクソバンク証券を含む日本の証券会社では原則購入できません。そのため当サイトでは、日本の読者の方向けにVEURと似た性格を持つ米国上場ETF(VGKなど)を別記事でご紹介しています。「筆者が持っているもの」と「日本から買えるもの」が違う点は、あらかじめお伝えしておきます。
そのうえで、当サイトの銘柄記事ではサクソバンク証券をご案内しています。理由は「筆者の使い勝手」ではなく「日本にお住まいの方の使い勝手」で選んでいるからです。日本在住の方にとっては、特定口座があるかどうか、日本語で完結するかどうかが、実際の負担に直結します。ここは筆者の環境とは条件が違います。
裏を返すと、日本での口座開設の画面や、NISA口座での実際の使い勝手について、筆者は自分の体験としてお伝えできません。この記事の比較は、各社が公開している条件と、当サイトで計算した手数料にもとづくものです。体験談として書けない部分は書かない方針ですので、その前提でお読みいただければと思います。
日本から欧州の個別株を現物で買える証券会社は2社
| サクソバンク証券 | インタラクティブ・ブローカーズ証券 | |
|---|---|---|
| NISA | × 非対応 | ○ 成長投資枠で対応とされる |
| 特定口座 | ○ あり(源泉徴収あり) | × なし(課税口座は確定申告が必要) |
| 欧州株の取扱い | 1,700銘柄以上 | 取扱いあり(銘柄数は非公表) |
| 取扱取引所(当サイト確認分) | 独・仏・瑞・英・伊・西・丁の7市場 | 上記に加え蘭・白・北欧などより広い |
| 初回入金の目安 | 公式サイトでご確認ください | まとまった金額が必要とされる |
| 手数料 | 約定金額の0.088〜0.132%(最低手数料あり) | 公式サイトでご確認ください |
両社とも条件は変更されます。口座開設の前に、必ず公式サイトで最新の内容をご確認ください。特にNISAで買える銘柄・市場の範囲は変わりやすい部分です。
手数料は「料率」より最低手数料で決まります
欧州株の手数料でつまずきやすいのは、表示されている料率(0.088%など)だけを見て判断してしまうことです。実際には最低手数料が設定されているため、少額で買うと料率どおりにはなりません。
サクソバンク証券クラシックの料率と最低手数料(7取引所)
| 取引所 | 国 | 料率 | 最低手数料 |
|---|---|---|---|
| Xetra(フランクフルト) | ドイツ | 0.088% | 3.30ユーロ |
| ユーロネクスト・パリ | フランス | 0.088% | 2.20ユーロ |
| ロンドン証券取引所 | イギリス | 0.088% | 3.30ポンド |
| イタリア証券取引所(ミラノ) | イタリア | 0.132% | 5.50ユーロ |
| マドリード証券取引所 | スペイン | 0.132% | 5.50ユーロ |
| SIXスイス証券取引所 | スイス | 0.132% | 5.50フラン |
| ナスダック・コペンハーゲン | デンマーク | 0.132% | 38.50クローネ |
パリが最も軽く、コペンハーゲンが最も重いという差があります。同じ「欧州株」でも、上場している取引所によって最低手数料は倍以上変わります。
手数料負担を1%以内に収めるには、いくらから買えばよいか
ここが実際に役に立つ数字だと思いますので、当サイトで計算しました。最低手数料 ÷ 1%で、手数料負担率が1%ちょうどになる約定金額が出ます。この金額以上で買えば、手数料の負担は1%を下回ります。
| 取引所 | 負担率1%になる約定金額 | 円換算の目安 |
|---|---|---|
| ユーロネクスト・パリ | 220ユーロ | 約40,800円 |
| Xetra(フランクフルト) | 330ユーロ | 約61,300円 |
| ロンドン証券取引所 | 330ポンド | 約71,500円 |
| ナスダック・コペンハーゲン | 3,850クローネ | 約95,600円 |
| イタリア証券取引所(ミラノ) | 550ユーロ | 約102,100円 |
| マドリード証券取引所 | 550ユーロ | 約102,100円 |
| SIXスイス証券取引所 | 550フラン | 約109,200円 |
つまり1回の注文を4万円〜11万円くらいにまとめると、手数料の負担率は1%以内に収まります。フランス株は約4万円から、スイス株は約11万円から、というイメージです。
逆に、株価が数百円の銘柄を1株だけ買うと、負担率が数十%から百%を超えることもあります。当サイトの銘柄記事では、その銘柄ごとに1株買いの負担率と推奨ロットを載せていますので、購入前にご確認いただければと思います。
表示料率で計算できるようになる金額
反対に、約定金額が一定額を超えると最低手数料ではなく料率のほうが効くようになります。最低手数料 ÷ 料率で計算した境目は次のとおりです。
| 取引所 | この金額を超えると料率で計算される | 円換算の目安 |
|---|---|---|
| ユーロネクスト・パリ | 2,500ユーロ | 約464,200円 |
| Xetra(フランクフルト) | 3,750ユーロ | 約696,200円 |
| ナスダック・コペンハーゲン | 29,167クローネ | 約724,500円 |
| イタリア・マドリード | 4,167ユーロ | 約773,600円 |
| ロンドン証券取引所 | 3,750ポンド | 約812,700円 |
| SIXスイス証券取引所 | 4,167フラン | 約827,100円 |
多くの個人投資家にとっては、実際に効いてくるのは料率ではなく最低手数料のほうだと思います。1回あたりいくら買うかを先に決めておくと、コストの見通しが立てやすくなります。
サクソバンク証券:日本語で完結し、特定口座が使えます
当サイトの銘柄記事でご案内している証券会社です。欧州株を1,700銘柄以上扱い、手数料はクラシック・プラチナ・VIPの3段階に分かれています。日本の金融商品取引業者として登録されており、手続きも日本語で完結します。
特定口座(源泉徴収あり)に対応している点は、実務上かなり大きいと思います。売買のたびに損益を計算して確定申告する手間が省けます。
一方で、最大の弱点はNISAに対応していないことです。利益には約20.315%の課税があり、非課税の恩恵は受けられません。このほか、少額買付では最低手数料に負けること、出金回数に制限があること、円口座からの取引には両替手数料がかかることなど、先に知っておいたほうがよい点がいくつかあります。詳しくはサクソバンク証券の評判とデメリットにまとめました。デメリットも含めて確認したうえで判断していただくのがよいと思います。
インタラクティブ・ブローカーズ証券:NISAで持てる可能性があります
米国発の大手ネット証券で、日本法人が2025年にNISA口座の提供を開始しました。NISAの成長投資枠は「日本株にしか使えない」と誤解されがちですが、制度上そのような制限はなく、証券会社が対象商品として用意していれば外国株にも使えます。
もし欧州株を非課税で保有できるのであれば、これは他の方法にはない利点です。ただし次の点はご確認ください。
- 初回入金にまとまった資金が必要とされています。少額から試したい方には向かない可能性があります
- 課税口座には特定口座がありません。売買・配当を自分で計算して確定申告する必要があります(NISA口座内の利益は非課税なので、この手間は生じません)
- 取引ツールや口座開設の手続きは、サクソバンク証券よりやや上級者向けという評判があります
- NISAの対象になる銘柄・取引所の範囲は変わります。口座開設の前に必ず公式サイトか窓口でご確認ください
なお、当サイトはIB証券とは提携していません。それでもご案内しているのは、非課税で持てるかどうかは読者の方にとって大きな差になるためです。NISAでの扱いについては欧州株はNISAで買えるのかも参考にしていただければと思います。
IG証券はCFDで、株式そのものは持てません
証券会社比較でよく名前が挙がるIG証券ですが、日本法人が提供しているのはCFD(差金決済取引)です。株主として株式そのものを保有する方法ではありません。配当の代わりに調整金を受け取る形になり、ポジションを持ち越すと金利相当のコストが発生します。
値幅だけを狙いたい場合の選択肢にはなりますが、「株を持ちたい」という目的であれば、現物取引ができるサクソバンク証券かIB証券が候補になります。
SBI・楽天・マネックスがなぜ選択肢に入らないのか
大手3社は、米国のニューヨーク証券取引所・ナスダックに上場していない欧州企業を扱っていません。ASMLやノボノルディスクのように米国にも上場している一部の欧州企業は買えますが、当サイトで取り上げているラインメタル・LVMH・エルメスなどの多くは、この条件を満たしません。
米国ADR(OTC市場)で取引されている銘柄もありますが、楽天証券は「OTC市場の銘柄は新規の買付けを受け付けておりません」と明記しています。詳しい理由はなぜSBI・楽天では欧州株が買えないのかにまとめています。
あなたの場合はどちらを選ぶとよいか
| こんな方には | 候補 |
|---|---|
| 確定申告の手間を増やしたくない | サクソバンク証券(特定口座あり) |
| まず少額から試してみたい | サクソバンク証券(1回4万円前後から負担率1%以内) |
| 手続きを日本語で完結させたい | サクソバンク証券 |
| 非課税での保有を最優先したい | IB証券(対象銘柄は事前確認) |
| まとまった資金があり、確定申告も自分でできる | IB証券 |
| 株は持たず値幅だけ取りたい | IG証券(CFD) |
当サイトの銘柄記事では、特定口座があり日本語で完結するサクソバンク証券を軸にご案内しています。非課税での保有を重視される方は、IB証券を候補に、対象銘柄と条件を直接ご確認ください。どちらが正解ということではなく、優先したいものが違うだけだと思います。
よくある質問
結局、いくらから買えばよいですか?
手数料の負担率を1%以内に収めたい場合は、フランス株なら約40,800円、ドイツ株なら約61,300円、スイス株なら約109,200円が目安です。取引所ごとの金額は本文の表をご覧ください。これは手数料の観点だけの目安で、投資金額を推奨するものではありません。
サクソバンク証券でNISAは使えますか?
使えません。NISA・新NISAには対応していないため、利益には約20.315%が課税されます。非課税での保有を優先される場合は、IB証券をご確認ください。
配当にかかる税金はどうなりますか?
現地の源泉税が引かれたあと、日本側でさらに20.315%がかかります。現地の税率は国ごとに違い、ドイツは26.375%、フランスは10%、スイスは35%です。証券会社を変えても現地の源泉税は軽くなりません。詳しくは欧州各国の配当源泉税の比較をご覧ください。
口座は2つ持ってもよいのでしょうか?
制度上は問題ありません。ただしNISA口座は1人1金融機関のみです。管理の手間も増えますので、まずはどちらか一方から始める方が多いように思います。
筆者はどちらを使っていますか?
筆者はポルトガル在住で、IBKRの口座からVEUR(Vanguard FTSE Developed Europe UCITS ETF)を中心に保有しています。ただし居住地が違うため、日本のNISAや特定口座を使う前提での比較はできません。この記事の内容は、各社が公開している条件と、当サイトで計算した手数料にもとづくものです。
まとめ
- 日本から欧州の個別株を現物で買えるのは、実質サクソバンク証券とIB証券の2社
- 特定口座と日本語対応を取るならサクソバンク証券。ただしNISAは使えず、利益には約20.315%が課税される
- 非課税での保有を取るならIB証券。ただし課税口座に特定口座がなく、確定申告は自分で行う必要がある
- 手数料は最低手数料が効く。1回の約定を4万〜11万円以上にすると負担率は1%以内に収まる
- 現地の配当源泉税は、どちらの証券会社を選んでも変わらない
この記事の検証方法
- 手数料の料率と最低手数料はサクソバンク証券の公式手数料表から取り、負担率1%になる金額と料率が効き始める金額は当サイトで計算しています(計算式は本文に記載)
- 円換算は2026年8月23日のECB参照レート(1ユーロ185.66円/1フラン198.50円/1ポンド216.72円/1クローネ24.84円)を使っています
- NISAの対応状況・初回入金・特定口座の有無は各社の公開情報にもとづきます。変更されることがあるため、本文中でも都度ご確認をお願いしています
- 筆者はポルトガル在住で、IBKRの口座からVEUR(Vanguard FTSE Developed Europe UCITS ETF)を中心に保有しています。日本での口座開設やNISA口座の使い勝手については、筆者自身の体験としては確認できていません
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項:本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の証券会社や金融商品の利用を保証するものではありません。記載の手数料・取扱商品・NISA対応状況・入金条件は2026年8月23日時点で確認できた情報にもとづく概算であり、各社の規定変更により内容が異なる場合があります。特にNISA口座で購入できる具体的な銘柄・市場の範囲は証券会社ごとに異なり、変更される可能性があるため、口座開設および取引の前に必ず各社の公式サイトで最新の情報をご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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