※この記事の数字は、2026年9月に集計の誤りを直したうえで取り直したものです。経緯は末尾の「この記事の検証方法」に書いています。
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この記事の結論
- 2026年9月3日、株価データサイト(stockanalysis.com)の配当ページから権利落ち履歴を取得し、253銘柄について連続増配年数を数え直しました
- 取得できる履歴が5年分ほどのため、この集計では「4年連続」が上限になります。実際にはもっと長く増配を続けている会社があっても、区別できません
- 4年以上連続で増やした会社は51社。一方で78社は直近の年で増配が止まっています
- 4年連続組を国別に見るとイギリスとイタリアが11社ずつで同数です。掲載数に対する比率ではイタリアが31%で最も高く、英仏は25%でした
「配当貴族」という言葉を聞くと、何十年も増配を続けてきた会社を思い浮かべる方が多いと思います。当サイトでも欧州に配当貴族はいるのかという記事で、米国の25年基準に対して欧州の制度が10年基準であることを書きました。ただあの記事は「制度上そう呼べるか」という話で、実際に何年増配を続けている会社が多いのかは、まだ数えていませんでした。
今回は253銘柄について、暦年ごとの配当合計を作り、前年より増えた年が何年続いているかを機械的に数え直しました。2025年までの完全な年で判定し、途中である2026年は数えていません。数えてみると、増配の続き方には偏りがあり、しかもデータには数え切れない上限があることも分かりました。その上限を含めて、正直にお伝えします。
全体像:4年連続は51社、直近で止まっているのは78社
まず全体の分布です。253銘柄について連続増配年数を集計すると、内訳は次のようになりました。
| 連続増配年数 | 社数 |
|---|---|
| 0年(前年より減ったか横ばい) | 78社 |
| 1年 | 29社 |
| 2年 | 38社 |
| 3年 | 57社 |
| 4年(今回の集計の上限) | 50社 |
| 5年 | 1社 |
ここで一番大事な但し書きを先にお伝えします。今回の集計で取得できる配当履歴は5年分ほどしかないため、連続増配年数は「4年」までしか数えられません。4年連続の50社と5年連続の1社を合わせた51社は、データ上「4年以上連続」ですが、この中には実際には10年でも20年でも増配を続けている会社が含まれている可能性があります。データだけでは、4年より先を区別できないということです。この上限を踏まえたうえで読んでいただければと思います。
もう一つ目を引くのが0年の78社です。直近の年で配当合計が前年より減ったか横ばいだった会社で、253社中で最も多い層になります。連続増配というと右肩上がりの会社ばかりを想像しがちですが、実際に数えてみると、直近で足踏みしている会社のほうが多いというのがこの分布から見える実態です。
4年連続組を国別に見ると、英国とイタリアが同数
4年以上連続で増配している51社を国別に集計すると、次のようになりました。掲載数に対する比率もあわせて見ています。
| 国 | 社数 | その国の掲載数に対する比率 |
|---|---|---|
| イギリス | 11社 | 25% |
| イタリア | 11社 | 31% |
| フランス | 9社 | 23% |
| スイス | 7社 | 18% |
| スペイン | 6社 | 21% |
| ドイツ | 4社 | 8% |
| デンマーク | 3社 | 18% |
社数だけを見るとイギリスとイタリアが11社ずつで並び、以前の記事で書いた「英国に集中している」という見方は正しくありませんでした。しかも国ごとの掲載数に対する比率で見ると、最も高いのはイタリアの31%で、イギリスとフランスは25%止まりです。イギリスに目立って多いとは言えず、イタリアのほうがむしろ比率としては高いというのが今回数え直した結果です。
顔ぶれを一部挙げると、イギリスはバンズル(業務用消耗品の流通)、インターテック(検査・認証)、セバーン・トレントとユナイテッド・ユーティリティーズ(いずれも水道)、ライトムーブ(不動産情報)など。イタリアはイタルガス(ガス配給)、テルナ(送電インフラ)、ヘラ(総合公益)、モンクレール(ラグジュアリー)、プリズミアン(電線)などが並びます。フランスもエルメスやサフラン、ヴァンシなど業種の幅が広く、一国に偏った顔ぶれというより、複数の国にわたって水道・ガス・送電のような公益銘柄とラグジュアリーが混ざっている、というのが253銘柄を数え直して見えてきた姿です。
顔ぶれに見える傾向:公益とラグジュアリー
4年以上連続で増配している51社の業種を見ると、いくつか目につく傾向があります。一つは公益・インフラ系が目立つことです。イギリスの水道2社、イタリアのガス配給・送電・総合公益、スペインの電力、デンマークの洋上風力など、規制で収益がある程度読める商売は増配を続けやすい構造なのだろうと思います。もう一つはラグジュアリー系も入っていることです。エルメスやモンクレールのように、値段を自分で決められる商売は、景気に業績が振られにくいのかもしれません。
一方で気になるのがドイツの比率が8%と、7か国の中で最も低いことです。以前欧州株の減配はどう起きるかという記事でも取り上げたとおり、業績の振れが大きい業種の比重が高い国では、増配を続けにくいのかもしれません。ただし、これはあくまで観察であり、当サイトはドイツが低い理由を確かめたわけではありません。断定はせず、一つの見方として受け止めていただければと思います。
利回りランキングとは別の顔ぶれになる
欧州株の減配はどう起きるかという記事では、利回りが高い銘柄ほど減配リスクを抱えていることがある事例を紹介しました。今回の連続増配の顔ぶれを見ても、それを裏づけるように、高い利回りで名前が挙がるような銘柄はほとんど入っていません。増配を続けている会社は、利回りの数字だけを見ていると目立たないことが多いというのが実感です。
利回りランキングと増配ランキングは、見ている軸がそもそも違います。利回りは「今いくら配当をもらえるか」という一時点の数字で、連続増配は「配当を増やし続けているかどうか」という経営の姿勢に近い数字です。どちらが優れているという話ではなく、両方を見て初めて、その会社の配当政策が見えてくるのだと思います。
もう一つ付け加えると、0年(増配が止まっている)が悪いことだとは限りません。特別配当の反動で前年が高すぎただけの場合もありますし、成長投資を優先して配当を据え置く局面もあります。ただ、増配が止まったこと自体は数字として分かりますので、年1回のポートフォリオ点検の記事で書いた確認項目の一つに加えるとよいと思います。
まとめ:高い利回りより、増やし続けている会社を探す
- 2026年9月3日に253銘柄で数え直した結果、4年以上連続増配が51社、直近で止まっているのが78社
- 取得できる履歴が5年分ほどのため、この集計の上限は「4年以上連続」です。実際にはもっと長く増配している会社がある可能性があります
- 4年連続組を国別に見るとイギリスとイタリアが11社ずつで同数。比率で見るとイタリアが31%で最も高く、「英国に集中」とは言えません
- 公益・インフラとラグジュアリーが目立つ一方、ドイツの比率は8%で最も低く、理由は断定していません
- 利回りランキングと連続増配ランキングは別の顔ぶれになります
高い利回りを探すよりも、増やし続けている会社を探すほうが、実測を見るかぎり静かで確実な作業だと思います。今回数え直した結果が、その探し方の一つの手がかりになれば嬉しいです。
この記事の検証方法
- 2026年9月3日に、株価データサイト(stockanalysis.com)の配当ページから権利落ちの履歴を取得し、暦年ごとの配当合計を作り直しました
- この記事は公開後の訂正版です。初期に取り上げたエルメス・ロシュ・サフラン・ドイツテレコムなどの銘柄が当初の集計に含まれておらず、対象を253銘柄に広げて数え直しました
- 連続増配年数は「前年より年間合計が増えた年が何年続いているか」で数えました。2025年までの完全な年で判定し、途中である2026年は数えていません
- 対象は253銘柄です
- 【重要】取得できる配当履歴は5年分ほどのため、この集計では「4年以上連続」が上限になります。実際にはもっと長く増配を続けている会社があっても、区別できません
- この記事の数値は、当サイトが取り上げた銘柄に限った集計であり、欧州市場全体を代表するものではありません
- 4年以上連続増配の顔ぶれは、51社のうち一部を掲載しています。配当額・利回りは記載していません
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する銘柄を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の連続増配年数は2026年9月3日時点で取得したデータにもとづく当サイト独自の集計であり、取得できる履歴が5年分ほどのため4年以上連続を上限としています。実際の増配年数がこれより長い会社が含まれる可能性があります。本記事は公開後に集計の誤りが判明したため数字を全面的に見直した訂正版です。将来の増配や株価の推移を保証するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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