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この記事の結論
- 欧州株だけで「毎月配当」を作るのは構造的に無理があり、無理をすると銘柄選びが業種に歪みます
- 年4回払いは実測201銘柄中わずか6社で、業種はたばこ・海運・損保などに偏っています
- 現実解は「春の山を受け入れる」+「イギリス株とETFで秋を作る」の2段まで、というのが筆者の意見です
- 配当月は設計の従属変数であり、主役は企業の質です
前回の記事で、欧州株の配当は「年1回・春にまとめて」が基本形だと実測データで示しました。年1回払いが119社で最多、権利落ちは4〜6月に集中し、なかでも5月が突出していました。では、この偏りを少しでも減らして、入金の空白月を埋めるにはどう組み合わせればよいのか。今回はその続きとして、実測データをもとに「部品」の性質を整理します。
先に結論を言うと、欧州株だけで毎月配当を作るのは構造的に無理があります。無理に埋めようとすると、配当月のために業種を歪めることになりやすい、というのが実測して見えた正直な実態です。以下、部品ごとに見ていきます。
土台は春に寄る|独・仏・瑞の年1回組は4〜6月に集中する
まず動かせない土台があります。ドイツとスイスは、今回実測した銘柄の全社が年1回払いで、時期は4〜5月に集中していました。フランスも年間平均1.46回で、5月に権利落ちが偏ります。月別ののべ社数で見ると、4月51社・5月66社・6月35社に対し、2月はわずか8社、9月も13社しかありません。ポートフォリオをどう組んでも、独・仏・瑞の企業を中心に持つ限り、入金は春の3か月に寄るということです。これは銘柄選びの巧拙ではなく、年次株主総会で配当を承認してから支払うという、欧州企業に共通する仕組みによるものです。
つまり、独・仏・瑞の優良企業を中心に据えるなら、春に山ができることは前提として受け入れるしかありません。ここを「毎月配当」のために崩そうとすると、次に見るように無理が出てきます。
秋を足せるのはイギリス株|中間配当が8〜10月にできる部品
春の山だけでは1年の半分近くが空白になります。ここで使える部品がイギリス株です。イギリスは中間配当と期末配当の年2回払いが慣行で、年間平均支払回数は2.35回と実測した国のなかで唯一2回を超えていました。権利落ちの時期は4月に加えて8〜10月に分かれており、ここが「秋」を作る主力の部品になります。
もう一つの部品がスペインです。年間平均は2.15回で、7月と1月に権利落ちが偏ります。ドイツ・スイス・フランスとは違う月に配当が来るため、春の山とは別の月を埋める役割を果たします。「土台は独・仏・瑞、秋はイギリス、すき間をスペインで」という組み方をすれば、1年のうち埋まる月は確かに増えます。ただし、これでもまだ2月や9月のような谷は残ります。
すき間を埋める年4回組はたった6社|業種はたばこ・海運・損保に偏る
残る谷を埋めるには、年4回払いの銘柄を使う方法もあります。ただし今回の実測で年4回払いだったのは、201銘柄のうちわずか6社でした。
| 銘柄 | 国 | 業種 |
|---|---|---|
| トリグ | デンマーク | 損害保険 |
| インペリアル・ブランズ | イギリス | たばこ |
| エブロ・フーズ | スペイン | 食品 |
| D/Sノルデン | デンマーク | 海運 |
| ゲームズワークショップ | イギリス | ミニチュアゲーム |
| ミケル・イ・コスタス | スペイン | 特殊紙 |
見ての通り、業種は損害保険・たばこ・海運・食品・特殊紙とばらばらで、共通点は「たまたま年4回払っている」ことだけです。「配当月のために業種を歪める」という言い方をしたのは、この6社に偏りが表れているからです。すき間の月を埋めたいという理由だけでこの6社を組み込むと、ポートフォリオはたばこや海運といった、本来なら選ばないかもしれない業種に傾きます。加えて、ゲームズワークショップは配当が不定期・変動制であり、年4回という回数も今後の決算次第で変わりうる点は必ず添えておきます。この記事は、この6社を組み合わせて買うことを勧めるものではありません。あくまで「年4回払いの部品は数が少なく、業種も選べない」という実態を示すものです。
部品を並べてみる|月×国の入金マップとETFという選択肢
ここまでの部品を、月ごとにどう並ぶかで整理し直したのが次の表です。
| 時期 | 主な部品 | 性質 |
|---|---|---|
| 4〜6月(春の山) | 独・仏・瑞の年1回組 | のべ150社超が集中。土台として受け入れるしかない |
| 7月・1月 | スペイン株(年2.15回) | 春の山とは別の月に配当が来る、数少ないすき間の部品 |
| 8〜10月(秋) | イギリス株(年2.35回) | 中間・期末の慣行で秋を作る主力部品 |
| 通年・四半期ごと | 欧州ETF(米国上場) | 個別株で月を埋めるより素直な、分散された部品 |
| 2月・9月(谷) | 年4回組6社のみ | 社数が少なく業種も偏るため、埋めきれない |
この表からわかるのは、個別株だけで空白月を完全に埋めるのは難しいということです。2月や9月のような谷は、年4回組6社に頼るしかなく、その6社は業種が選べません。ここで思い出したいのが、米国上場の欧州ETF(VGKなど)という部品です。多くは年4回分配され、個別株のように業種を気にして無理に組み込む必要がありません。個別株で月を埋めようとするより、欧州ETFを1本足すほうが素直だと筆者は考えています。
まとめ:配当月は従属変数、主役は企業の質
- 独・仏・瑞の年1回組は4〜6月に集中。ここは土台として受け入れる
- イギリス株(年2.35回)は秋を作る主力部品、スペイン株(年2.15回)は7月・1月のすき間を埋める
- 年4回払いは実測201銘柄中わずか6社で、業種はたばこ・海運・損保などに偏る。ゲームズワークショップは不定期・変動制
- 個別株で月を埋めるより、欧州ETFを1本足すほうが素直な選択肢
- 現実解は「春の山を受け入れる」+「イギリス株とETFで秋を作る」の2段まで
欧州株だけで毎月配当を作ろうとすると、業種の偏った少数の銘柄に頼ることになり、無理が出ます。配当月をそろえるために企業を選ぶのではなく、企業の中身で選んだ結果として配当月が決まる。この順番を保つほうが、長い目で見て素直なやり方だと思います。
この記事の検証方法
- 本記事の年1回〜年4回の社数、月別のべ社数、国別の年間平均支払回数は、前回の実測記事と同じ2026年8月28日の集計データを用いています
- 集計方法は、記事化している欧州株のうち今回データを取得できた201銘柄について、stockanalysis.comの権利落ち日履歴から直近12か月(2025年9月〜2026年8月)の支払回数と月を集計したものです
- この集計は当サイトが取り上げた銘柄に限った独自調査であり、欧州市場全体を代表するものではありません
- 年4回払いの6社の業種は、各社の公式サイト・決算資料に基づく表記です。配当の継続や回数は保証されるものではなく、とくにゲームズワークショップは不定期・変動制である点にご注意ください
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する個別株を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の権利落ち日・支払回数・業種の集計は、本文記載の日時に当サイトが独自に取得したデータに基づくものであり、将来の配当の継続・回数・金額を保証するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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