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イタリア株はなぜ安いのか|PER15.01倍・浮動株50%という数字【2026年】

イタリア株はなぜ安いのか|PER15.01倍・浮動株50%という数字【2026年】

※本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれます。

この記事の結論

  • 2026年9月2〜3日の実測で、イタリアのPER中央値は15.01倍と7か国で最も低い値でした。ただしこれは、PERが低くなりやすい銀行(7社)と公益(6社)がイタリアに最も多いことで説明がつく部分があると考えられます
  • イタリアの配当の年平均増加率12.9%は7か国で2番目に高い数字ですが、これは銀行の増加率が出発点の低さを含んでいるためだと考えられます。ECBは2020年3月から2021年9月まで、域内銀行に配当の自粛を求めていました
  • イタリアの浮動株比率は50.0%で7か国中2番目に低い水準です。創業家や自治体が保有し続けている会社が多いという観察はできますが、個々の会社の株主構成までは確認していません
  • 10万円あたりの片道手数料負担率はイタリアが1.02%で、仏0.41%・独0.61%・英0.71%より高い水準です。PERが低いことと手数料が安いことは別の話です

当サイトで欧州株のPERを同じ日に全部調べた記事で、イタリアのPER中央値が7か国で最も低い15.01倍だったことをお伝えしました。続けて国と業種の対応関係をまとめた記事で「イタリアが安いのは銀行と公益が多いから」と書きましたが、この記事ではそこをもう一段掘り下げます。

PERが最も低い、配当の増加率が2番目に高い、浮動株比率が低い。この3つの数字を並べると「イタリア株は割安で、成長していて、需給も締まっている」ように見えるかもしれません。ですが、2026年9月2〜3日に実測した数字を1つずつ見ていくと、3つとも別々の理由で説明がつく部分があり、いずれも「イタリア株が割安」を直接意味するわけではないと考えられます。

目次

PER15.01倍が7か国で最も低い理由——銀行7社・公益6社という顔ぶれ

まず、実測した5つの指標を1つの表にまとめます。

指標イタリア7か国での位置
PER中央値15.01倍最も低い(最も高いスイスは25.97倍)
配当の年平均増加率12.9%2番目に高い(スペイン15.4%が最高)
浮動株比率50.0%2番目に低い(スペイン46.9%が最低)
権利落ちが最も多い月5月 22社独仏と同じ
決算が最も多い月11月 13社英と同じ
2026年9月2〜3日に機械的に実測

イタリアで最も多い業種は銀行(7社)で、次いで公益(6社)です。業種別のPERを実測した別記事によると、8業種のうち銀行のPER中央値は13.42倍、公益は16.57倍で、どちらもPERが低いほうに入ります。PERが低くなりやすい業種がイタリアに集中していることは、イタリア全体の中央値が7か国で最も低い理由の1つとして説明がつく部分があると思います。

もちろん、業種構成だけがすべての原因だと断定はできません。ただ、少なくとも「イタリア企業だから割安」ではなく「PERが低くなりやすい業種の会社が多いから、国全体の数字も低く出ている」という順番で見たほうが、実態に近いはずです。

配当の増加率12.9%が示すのは「回復」——銀行の出発点が低かった

イタリアの配当の年平均増加率は12.9%で、7か国で2番目に高い数字です。最も高いスペインの15.4%に次ぐ水準で、一見すると「配当がよく伸びている国」に見えます。ですが、この数字も業種の内訳を見る必要があると考えられます。

ECB(欧州中央銀行)は、新型コロナ流行を受けて2020年3月から2021年9月まで、域内の銀行に対して配当の自粛を要請していました。イタリアには銀行が多いため、この期間に配当をゼロまたは大幅に減らした会社が複数あります。自粛が解除された後、配当を元の水準に戻す過程で増加率が高く出るのは、業績が伸びているというより、出発点が低かったことの反動という側面が大きいと考えられます。

増加率という指標は、同じ伸び幅でも出発点が低いほど数字が大きく出ます。イタリアの12.9%を見るときは、「配当が力強く成長している」というより「自粛からの回復を含んだ数字」だと捉えたほうが、実態に近いはずです。

浮動株比率50.0%が低いということ——ただし個々の株主構成は未確認

イタリアの浮動株比率は50.0%で、7か国のうち2番目に低い数字です。最も低いスペインの46.9%に次ぎます。浮動株比率が低いということは、市場で日常的に売買される株式の割合が相対的に小さいということで、出来高が薄くなりやすい傾向につながると考えられます。

イタリアには、創業家や地方自治体、国が株式を保有し続けている会社が多いという印象があります。これは業界紙などでよく語られる観察であり、浮動株比率が低い理由の一端として説明がつく部分があると思います。ただし、当サイトはイタリアの各社について、誰がどれだけの株式を保有しているかという個々の株主構成までは確認していません。特定の会社について「創業家が保有しているはずだ」と断定することは避け、あくまで国全体の傾向としての観察にとどめます。

4年連続で増配した51社を対象にした別記事の実測では、そのうちイタリア企業は11社でした。各国の掲載社数に対する比率で見ると31%となり、7か国で最も高い数字です。イタルガス、テルナ、ヘラ、ポステ・イタリアーネなど、インフラ関連の会社が目立ちます。こうした会社は事業の性質上、株式を長期で持ち続ける株主が多くなりやすい面はあるかもしれませんが、これも国全体の傾向としての推測であり、断定はできません。

手数料はイタリアが最も高い——PERの低さと取引コストは別の話

PERが低いと聞くと「割安で、しかも取引しやすいのでは」と思いがちですが、コストの面では逆です。証券会社の手数料を比較した別記事の実測によると、10万円あたりの片道手数料負担率はイタリアが1.02%で、フランス0.41%・ドイツ0.61%・イギリス0.71%より高い水準でした。7か国の中でもコストがかかりやすい市場だと言えます。

また、イタリア株の配当にかかる現地課税についても、当サイトでは確認できていません。国によって税率や還付の仕組みが異なり、口座を開いている証券会社によっても扱いが変わることがあります。イタリア株の配当課税については、お取引の証券会社に直接ご確認ください。

PERが低いことと、手数料が安いこと、配当課税が有利なことは、それぞれ別の話です。イタリア株はPERの面では割安に見える一方、コストの面では安いほうではないというのが、実測から見える姿だと思います。

まとめ:「イタリア株は安い」は「PERが低い業種が多い」と読み替える

  • PER15.01倍は7か国で最も低いが、銀行と公益が多いという業種構成で説明がつく部分がある
  • 配当の増加率12.9%が高いのも、銀行がECBの配当自粛から回復する過程という測り方の影響がある
  • 浮動株比率50.0%は低く、売買が薄くなりやすい。ただし個々の会社の株主構成は未確認
  • 10万円あたりの手数料負担率は1.02%で7か国の中でも高め。配当課税は未確認のため証券会社に要確認

「イタリア株は安い」という言い方は、正確には「イタリアにはPERが低くなりやすい業種の会社が多い」ということだと思います。安さの中身を、業種構成・測り方・株主構成・コストという4つの角度から見てから判断するほうが、納得しやすいはずです。

この記事の検証方法

  • PER中央値・配当の年平均増加率・浮動株比率・権利落ち月・決算月は、2026年9月2〜3日に当サイトが実測したものです
  • PER中央値・配当利回りの実測は別記事、業種別のPER中央値は別記事、国と業種の対応関係は別記事の集計によるもので、それぞれ集計対象・集計日が異なります。この記事単独の集計ではありません
  • 4年連続増配51社の集計は別記事、証券会社の手数料負担率は別記事の実測によるものです
  • ECBによる銀行への配当自粛要請の期間(2020年3月〜2021年9月)は、ECBの公表資料にもとづきます
  • イタリア株の配当にかかる現地課税は、当サイトでは確認できていません。証券会社や口座の種類によって扱いが異なるため、お取引の証券会社に直接ご確認ください
  • 浮動株比率が低い理由について「創業家や自治体が保有し続けている会社が多い」という記述は、業界一般の観察にもとづく推測であり、個々の会社の株主構成を当サイトが確認したものではありません
  • この記事の数値は当サイトが取り上げた銘柄に限った集計であり、イタリア市場全体を代表するものではありません
  • 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する銘柄を保有しているとは限りません)

この記事を書いた人:Kawa

ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール

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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載のPER・配当利回り・浮動株比率等は2026年9月2〜3日時点で当サイトが実測した情報にもとづいており、市場の変動により変更される場合があります。特定の銘柄・国が割安・割高であることを示すものではありません。配当にかかる税制については証券会社に別途ご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

Kawa
サイドFIRE生活中
ヨーロッパ在住30代。兼業投資家として株式投資、FX、不動産投資を行う。株式投資やFX取引では、ダウ理論とグランビルの法則を用いたテクニカル分析メインで、ファンダメンタルズ分析も組み合わせて投資判断を行う。欧州の不動産市場にも注力し、賃貸収入やキャピタルゲインを狙った長期的な投資を狙う。夢はボルゾイを飼うこと。
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