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この記事の結論
- ペルノ・リカール株はSBI・楽天・マネックスでは買えない(上場はユーロネクスト・パリのみ)
- 現物を買うならサクソバンク証券が現実的(1株 約1万2,600円)
- 最低手数料の関係で10株単位のまとめ買いが目安
- 最大の注意点:NISA不可+フランスの配当源泉税10%(表面利回り6.88%が実質約4.9%に低下)
アブソルート・ウォッカ、ジェムソン、マーテル、シーバスリーガルなどを傘下に持つフランスの酒類大手ペルノ・リカール(Pernod Ricard SA/ティッカー:RI)。株価は52週高値107.45ユーロから、現在68.34ユーロまで約36%下落しています。
この記事ではペルノ・リカール株の株価・業績・買い方を解説します。中国・米国という2大市場の不振が株価下落の主因ですが、2026年1〜3月期(Q3)では下げ止まりの兆しも出ています。同じ酒類株のカンパリとあわせて、業界全体の逆風を数字で確認します。
ペルノ・リカール株の基本データ(2026年8月時点)
| 株価 | 68.34ユーロ(1株 約1万2,600円) |
| 52週レンジ | 58.60 〜 107.45ユーロ |
| 時価総額 | 約171億ユーロ |
| PER | 約12.1倍 |
| 配当利回り | 約6.88%(税引き後は実質約4.9%) |
| 上場市場 | ユーロネクスト・パリ |
2026年8月13日終値ベース、ユーロ円レート約183.8円で換算しています。PER約12.1倍という水準は、後述する業績の逆風をすでに市場が織り込んでいることを示しています。
業績:中国・米国は依然逆風、ただしQ3で下げ止まりの兆し
上半期(2025年7〜12月):中国−28%、米国−15%
ペルノ・リカールの2025年度上半期(2025年7月〜12月)決算は、売上高が前年比5.9%減の52億5,300万ユーロ、営業利益(オーガニックベース)は同7.5%減という厳しい内容でした。
中国では売上高が前年比28%減となりました。規制環境の変化と消費者信頼感の低下が、マーテル(コニャック)やシーバスリーガルといったスコッチ・コニャック系ブランドに打撃を与えました。米国でも売上高が同15%減となり、卸売業者による在庫調整(ディストッキング)と消費者需要の軟化が重なりました。
第3四半期(2026年1〜3月):グループ全体はほぼ横ばいへ改善
2026年4月16日発表の第3四半期(1〜3月単体)決算では、グループ全体のオーガニック売上高は前年同期比+0.1%とほぼ横ばいまで持ち直しました。四半期売上高は19億4,500万ユーロです。
| 地域 | Q3単体(1〜3月) | 9カ月累計(2025年7月〜2026年3月) |
|---|---|---|
| 中国 | −7% | −24% |
| 米国 | −12% | −14% |
| 欧州 | +1% | −2% |
| アジア・その他地域 | +6% | −2% |
| グローバル・トラベルリテール | +11% | +2% |
中国はQ3単体では−7%まで下げ幅が縮小しました(9カ月累計では依然−24%)。会社側は「プレミアムブランドは前向きなモメンタムを維持する一方、マーテルとスコッチウイスキーは通期で苦戦している」としています。米国もQ3単体では−12%と、9カ月累計の−14%よりはやや改善しました。ブランド別では、缶チューハイ的なRTD商品がQ3で+26%(9カ月累計+16%)と大きく伸びています。
通期見通し:−3〜−4%減。理由は中東情勢の影響も加わった
会社側は2025年度(2025年7月〜2026年6月)通期のオーガニック売上高見通しを、前年比3〜4%減としています。この下方修正幅自体は従来からの見通しと同じですが、4月時点の説明では中東地域の紛争によるトラベルリテール事業への影響も理由に加わっています。次回の通期決算発表は2026年8月27日の予定で、本記事執筆時点(2026年8月14日)ではまだ公表されていません。
コスト面では、2025年度〜2028年度で総額10億ユーロの営業効率化プログラムを進めており、2025年度中に3分の1を実施する計画です。広告販促費(A&P)は売上高の約16%程度を維持する方針で、ブランドへの投資は絞っていません。中期(2026年度〜2028年度)目標としては年平均3〜6%のオーガニック売上成長を掲げています。
関税リスク
米国は現状、欧州産スピリッツの大半に10%の関税を課しています。ウイスキー・コニャック・シャンパンなどについては将来的に20%へ引き上げられる懸念も残ります。2026年2月時点で財務責任者は、中国・米国の関税を合わせた年間コスト影響を約2億ユーロ(うち1億3,000万〜1億4,000万ユーロが中国のコニャック関税関連)と説明しています。なお中国は、最低販売価格を条件にペルノ・リカール、LVMH、レミーコアントローのコニャックを新関税の対象から除外する措置を取っています。
結論:ペルノ・リカール株の買い方は実質2つ
| 方法 | 現物保有 | 必要資金の目安 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| ①サクソバンク証券で現物を買う | ◎ できる | 1株 約1万2,600円〜 | 長期で持ちたい人 |
| ②CFDで値幅を狙う | × できない | 数万円〜(レバレッジ) | 短期で売買したい人 |
なぜSBI・楽天・マネックスでは買えないのか
ペルノ・リカールが上場しているのはユーロネクスト・パリです。米国預託証券「PRNDY」はOTC銘柄で、楽天証券はOTC市場の銘柄について「新規の買付けは受け付けておりません」と明記しています。大手ネット証券で欧州株が買えない理由の全体像はなぜSBI証券・楽天証券では欧州株が買えないのかで解説しています。
方法①:サクソバンク証券で現物を買う
2026年8月13日時点の株価は68.34ユーロ。ユーロ円レート(約183.8円)で換算すると1株あたり約1万2,600円です。ユーロネクスト・パリの手数料は0.088%、最低2.20ユーロ(約400円)。1株あたりの単価が最低手数料を下回るため、1株買いでは手数料負担率が約3.22%かかります。まとめて10株(約12万6,000円)買えば、負担率は約0.32%まで下がります。
他の証券会社との比較は欧州株が買えるネット証券の比較記事もあわせてご覧ください。
配当はどうなっているのか
ペルノ・リカールは中間配当・期末配当の年2回に分けて配当を出しています。直近の中間配当は1株2.35ユーロで、2026年7月22日に権利落ち、7月24日に支払われました。期末配当は2026年11月20日開催の株主総会で決定される予定で、本記事執筆時点では確定していません。
直近12カ月の配当合計は4.70ユーロで、株価68.34ユーロに対する表面利回りは約6.88%です。ただし、この配当合計は業績が堅調だった前年度の期末配当を含んでおり、今期の業績下振れを踏まえた次回の期末配当額によって、通期の配当利回りは変わり得る点に注意してください。
実質利回りは約4.9%
フランスの配当源泉税は、日仏租税条約の限度税率である10%が自動的に適用されます。スイスのように還付請求の手続きは不要で、この点は欧州株の中でも有利です。ただし日本側でも、現地源泉後の金額に対してさらに20.315%が課税されます。
配当を100として計算すると次のようになります。
- 配当 100
- フランスで10%源泉徴収 → 90
- 日本でさらに20.315%課税(現地源泉後の金額に対して) → 約71.7
表面利回り約6.88%は、実質では約4.9%まで下がります。それでも、スイス株(源泉税35%)やドイツ株と比べれば税負担は軽い部類です。国別の詳しい比較は欧州株の配当税を国別に比較した記事で解説しています。実質利回り4.9%台は、当サイトで扱った欧州の高配当株ランキングでも上位に入る水準です。
買う前に知っておくべきこと
サクソバンク証券はNISAに対応していません。特定口座または一般口座での取引となり、利益には約20.315%が課税されます。
ユーロ建てなので為替の影響も受けます。株価と為替、2つの変動を同時に抱えることになります。
この銘柄は「業績の底打ちに賭ける」性格が強い株です。中国・米国という2大市場の落ち込みが続くか、Q3で見られた下げ止まりが本格的な回復につながるかが、株価回復の焦点になります。加えて、米国の関税政策が今後どう変化するかという政策リスクも抱えています。業績下振れの中、期末配当がどう決まるかも合わせて確認したいポイントです。
最新の株価チャートで水準を確認する
本記事の株価は2026年8月13日時点のものです。発注前に必ず最新の水準を確認してください。
※下のチャートは米国ADR(PRNDY・米ドル建て)です。ユーロネクスト・パリはTradingViewへの直接埋め込みに対応していないための代替表示です。パリ上場の原株とほぼ同じ値動きをしますが、表示通貨が異なります。
よくある質問
なぜペルノ・リカール株はここまで下落したのですか?
最大の要因は中国と米国という2大市場の同時不振です。上半期(2025年7〜12月)は中国が前年比28%減、米国が15%減という大きな落ち込みでした。中国では規制環境の変化と消費者信頼感の低下がマーテルやシーバスリーガルを直撃し、米国では卸売業者の在庫調整が重なりました。ただし2026年1〜3月期(Q3)では、中国単体が−7%、グループ全体がほぼ横ばい(+0.1%)まで改善しており、下げ止まりの兆しも出ています。
カンパリとペルノ・リカール、どちらがいいですか?
両社とも酒類大手で業界共通の逆風(健康志向による飲酒量減少、関税リスクなど)を抱えていますが、状況は異なります。カンパリは1年で約9%の下落にとどまる一方、ペルノ・リカールは52週高値から約36%と下落幅が大きく、PER約12.1倍という低い評価水準にあります。逆風の織り込みが進んでいる分、業績回復が確認できれば戻りが大きくなる可能性がある銘柄と言えます。
次の決算はいつで、何に注目すればいいですか?
2025年度(2025年7月〜2026年6月)の通期決算は2026年8月27日に発表予定です。注目点は、①通期のオーガニック売上高が会社側見通しの−3〜−4%の範囲に収まるか、②Q3で見られた中国・グループ全体の改善傾向が続いているか、③2026年11月の株主総会にかかる期末配当の水準、の3点です。
まとめ
- ペルノ・リカールはユーロネクスト・パリ上場。米国ADR(PRNDY)はOTC銘柄で楽天証券は新規買付不可
- 現物を持つならサクソバンク証券が実質的な選択肢。1株約1万2,600円、52週高値からは約36%下落
- 上半期は中国売上−28%・米国売上−15%という2大市場同時の落ち込みだったが、Q3(1〜3月)はグループ全体がほぼ横ばい(+0.1%)まで改善
- 通期見通しは売上高−3〜−4%減。次回決算は2026年8月27日
- 配当利回りは表面約6.88%だが、仏の配当源泉税10%+日本の課税20.315%で実質約4.9%まで下がる
- NISAは使えない。米国の関税政策という政策リスクも抱える
| こんな人は | やり方 |
|---|---|
| 10株単位でまとめ買いできる | サクソバンク証券で現物 |
| NISAの非課税で持ちたい | IB証券という選択肢もある(比較記事へ) |
| 短期の値動きだけ取りたい | CFD(現物保有はできない) |
この記事の検証方法
- 手数料はサクソバンク証券の公式手数料表から計算しています
- 株価・為替レートは本文記載の基準日に実測した値です
- 業績・配当は企業の公式IR資料(一次資料)のみを出典としています
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事の銘柄を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載の株価・為替レート・手数料・税制は2026年8月14日時点で確認した情報に基づいており、変更される場合があります。業績数値はペルノ・リカール社の公表資料(Q3 FY26決算発表・H1 FY26決算発表等)に基づく概算です。配当額は本記事執筆時点の情報であり、期末配当は2026年11月の株主総会で正式に決定されます。実際の取引条件および税務の取扱いは、各証券会社の公式サイトおよび税務専門家にご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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