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この記事の結論
- 2026年9月3日、配当利回り4%以上の欧州株は64社、配当の年平均増加率20%以上は60社でした(対象は4年分のデータがそろう230社)
- この2つの条件を両方満たす会社は20社です。片方だけなら60社台なのに、両方となると数が一気に絞られます
- 20社のうち銀行は5社ですが、これはECBが2020年3月から2021年9月まで銀行に配当の自粛を求めていた反動で増加率が高く出ている面があり、指標の性質によるものだと考えられます
- この記事は「買うべき銘柄リスト」ではありません。利回りと増加率という2つの数字を通っただけで、事業内容や財務は見ていません
「高配当」と「増配」は別の話だということを、高配当株だけで組むのは正しいのかという記事と連続増配を実測した記事で書いてきました。利回りが高い会社が増配も速いとは限りませんし、その逆もあります。では、この2つを両方満たす会社は実際に何社あるのか。数えたことがなかったので、数えてみました。
やり方は割安×高配当を絞り込んだ記事と同じ、条件を2つ重ねて残る会社を数えるスクリーニングです。ただし今回の軸は「割安」ではなく「増え方」。配当利回り4%以上と配当の年平均増加率20%以上という2つの条件を、2026年9月3日に230社に対して当ててみました。
実測結果——利回り64社、増加率60社、両方は20社
増加率は4年分以上のデータがそろっている会社でないと計算できません。今回は起点が2021年か2022年の230社を対象にしました。この230社に、利回りと増加率のそれぞれの条件を当てた結果が以下です。
| 社数 | |
|---|---|
| 配当利回り4%以上 | 64社 |
| 配当の年平均増加率20%以上 | 60社 |
| 両方を満たす | 20社 |
どちらか一方の条件なら60社台が残ります。ところが両方を重ねると、残るのは20社まで減りました。利回りが高い会社と増配が速い会社は、思ったより重なっていないということだと思います。配当の増加率を実測した別記事によると、230社全体の年平均増加率の中央値は8.45%でした。今回の条件である20%は、その中でもかなり上のほうに位置します。
両立している20社の顔ぶれ
利回りが高い順に並べると、以下の20社になりました。
| 利回り | 年平均増加率 | 会社 | 国 | 業種 |
|---|---|---|---|---|
| 7.40% | +24% | セインズベリー | 英 | スーパーマーケット |
| 7.29% | +30% | カルフール | 仏 | スーパーマーケット |
| 7.29% | +27% | ペルノ・リカール | 仏 | 食品・飲料 |
| 6.52% | +38% | インペリアル・ブランズ | 英 | たばこ |
| 6.26% | +94% | ダンスケ銀行 | 丁 | 銀行 |
| 5.98% | +27% | ナトゥルジー | 西 | ガス・電力 |
| 5.97% | +77% | バンコBPM | 伊 | 銀行 |
| 5.53% | +50% | ロヒスタ | 西 | 流通 |
| 5.46% | +66% | トリグ | 丁 | 損害保険 |
| 5.32% | +29% | エンジー | 仏 | 電力・エネルギー |
| 4.83% | +26% | オレンジ | 仏 | 通信 |
| 4.79% | +48% | BNPパリバ | 仏 | 銀行 |
| 4.68% | +58% | ポステ・イタリアーネ | 伊 | 郵便・金融・保険 |
| 4.63% | +105% | BPERバンカ | 伊 | 銀行 |
| 4.58% | +22% | ミュンヘン再保険 | 独 | 再保険 |
| 4.33% | +78% | ウニカハ・バンコ | 西 | 銀行 |
| 4.15% | +64% | ヴァンシ | 仏 | 建設・インフラ |
| 4.14% | +22% | ネクスト | 英 | アパレル・小売 |
| 4.07% | +42% | テルナ | 伊 | 送電インフラ |
| 4.03% | +32% | セバーン・トレント | 英 | 水道 |
先に申し上げておきたいのですが、この20社は「利回り4%以上」と「増加率20%以上」という2つの数字だけを通過した会社です。事業がどういう状況か、財務が健全かどうかは、この時点では一切見ていません。この一覧を「買うべき銘柄リスト」として読まないようにお願いします。あくまで、条件を重ねると何社残るかという実測の結果です。
銀行が5社入っているのは、指標の性質によるところが大きい
20社のうち、ダンスケ銀行・バンコBPM・BNPパリバ・BPERバンカ・ウニカハ・バンコの銀行が5社を占めています。増加率だけを見ると+77%〜+105%と、他の業種より目立って高い数字が並んでいます。ここだけ見ると銀行株の増配が特に強いように映りますが、そう単純には言えないと思います。
ECBは2020年3月から2021年9月まで、コロナ禍を理由に域内の銀行に配当の自粛を求めていました。この期間に配当を大きく減らした、あるいはゼロにした銀行が少なくありません。今回の増加率は2021年か2022年を起点に計算しているため、この落ち込んだ水準からの回復分が「増加率」として計上されている可能性があります。出発点が低いところから普通の水準に戻っただけでも、率で見ると大きな増加に見えてしまうということです。つまり、銀行が5社入るのは銀行という業種が特別に増配志向だからというより、この期間の起点の低さという、指標の計算方法の性質によるところが大きいと考えられます。
公益・インフラの5社と小売の3社
銀行の次に目につくのが、ナトゥルジー・エンジー・テルナ・セバーン・トレント・ヴァンシの公益・インフラ系5社です。電力・ガス・水道・送電・建設インフラといった、規制で収益の枠組みが決まっている商売が並んでいます。銀行のような起点の歪みは考えにくく、増配が比較的読みやすい業種として自然に残った顔ぶれだと思います。
もう一つ目立つのが、セインズベリー・カルフール・ネクストの小売系3社です。小売という業種は会社によって利回りの水準にかなり幅があり、その中でも利回り・増加率ともに上位に入ってきた会社ということになります。業種で一括りにできる話ではなく、あくまで個社の結果として見るべきだと思います。
まとめ:通ったあとに配当性向を1社ずつ見る
- 2026年9月3日実測、対象230社のうち利回り4%以上は64社、増加率20%以上は60社
- 両方を満たす会社は20社。片方の条件だけなら60社台まで残るのに、重ねると数が大きく絞られます
- 20社のうち銀行5社は、ECBの配当自粛(2020年3月〜2021年9月)からの反動を含む可能性があり、指標の性質として増加率が高く出やすい面があります
- この一覧を「買うべき銘柄リスト」として読まないでください。通ったのは利回りと増加率の2つの数字だけです
もう一点、お伝えしておきたいことがあります。利益より多く配っている欧州株を数えた記事では、241社中13社が配当性向100%を超えて配当を出していました。今回の20社の中にも、たとえばトリグは配当性向が111%です。利回りが高く増加率も高いというだけでは、その配当が利益に見合っているかどうかまでは分かりません。この一覧を見た後は、気になった会社があれば1社ずつ配当性向を確認していただくことをおすすめします。
利回りと増え方の両方を満たす会社は、思ったより多くありませんでした。それでも20社あるという事実のほうが、私には意外でした。
この記事の検証方法
- 2026年9月3日に実測しました。対象は、配当の年平均増加率が4年分以上そろう230社(起点は2021年か2022年)です
- 絞り込みの条件は配当利回り4%以上と配当の年平均増加率20%以上の2つで、両方を満たす会社を数えています
- 増加率の起点が2021年の銀行株は、ECBが2020年3月から2021年9月まで域内の銀行に配当の自粛を求めていた影響で、落ち込んだ水準からの回復分を増加率として含んでいる可能性があります
- 230社全体の配当の年平均増加率の中央値(8.45%)は配当の増加率を実測した別記事の集計によるもので、この記事単独の集計ではありません
- 配当性向100%超の会社数(241社中13社)は利益より多く配っている欧州株を数えた記事の集計によるもので、対象社数がこの記事とは異なります
- この記事は特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。利回りと増加率という2つの条件を通過した会社を機械的に一覧にしたものであり、事業内容や財務の健全性は個別に検証していません
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する銘柄を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の配当利回り・配当の増加率は2026年9月3日時点で取得した情報にもとづいており、市場の変動により変更される場合があります。特定の銘柄が投資に適していることを示すものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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