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配当の増え方は業種でこれだけ違う|銀行39.7%と食品2.9%【2026年】

配当の増え方は業種でこれだけ違う|銀行39.7%と食品2.9%【2026年】

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この記事の結論

  • 2026年9月3日時点、欧州株の配当を業種別に実測すると、年平均増加率は業種によって13倍以上の開きがありました
  • 最も速いのは銀行(39.71%)、最も遅いのは食品・飲料(2.89%)です
  • 利回りが高い業種と、増え方が速い業種は一致しません。保険は利回り4.58%で最も高い一方、増加率は11.87%で3位にとどまります
  • 銀行の39.71%は、ECBが2020年3月から2021年9月まで銀行に配当の自粛を求めていたための出発点の低さを含みます。そのまま「銀行は成長している」とは読めません

以前の記事で、当サイトが実測した欧州株の配当は年平均8.45%のペースで増えてきたとお伝えしました。ただ、この数字は欧州株全体をならした値です。実際には業種によって配当の増え方はかなり違うのではないかと考え、業種別に集計し直しました。

あわせて、業種別の配当利回りも並べてみると、利回りが高い業種と、配当が速く増えている業種は必ずしも同じではないことが見えてきました。今回はその中身をお伝えします。

目次

業種別の増加率——銀行39.71%から食品・飲料2.89%まで

2026年9月3日時点で、暦年ごとの配当合計から年平均増加率を計算しました。4社以上ある業種だけを対象にし、中央値を使っています。参考として、業種別に実測した配当利回りの中央値もあわせて載せました。結果は次のとおりです。

業種社数配当の年平均増加率参考:配当利回り中央値
銀行1639.71%4.33%
小売・外食1222.16%3.61%
保険1511.87%4.58%
公益2110.90%4.07%
資本財・機械149.14%1.80%
自動車・部品117.05%3.98%
医薬・ヘルスケア134.66%1.71%
食品・飲料82.89%3.91%
2026年9月3日時点、当サイトが実測。参考の配当利回り中央値は業種別に実測した別記事による

最も速い銀行の39.71%と最も遅い食品・飲料の2.89%では、13倍以上の開きがあります。ただ、この数字をそのまま「銀行は成長性が高い業種」と読むのは早いと思います。理由は後ほど説明します。

利回りが高い業種と、増え方が速い業種は一致しない

表を利回りと並べて見ると、ずれがあることに気づきます。まず保険は配当利回り4.58%で8業種のうち最も高いのですが、年平均増加率は11.87%で3位にとどまります。利回りの高さだけを見て「増配も期待できそうだ」と考えると、実際の増え方とは少しずれるかもしれません。

逆に食品・飲料は利回り3.91%と中位でありながら、増加率は2.89%で8業種のうち最も遅い結果でした。すでに配当の水準がある程度できあがっていて、そこから大きく増やす局面ではない、成熟した業種なのではないかと思います。

もうひとつ目を引くのが資本財・機械です。利回りは1.80%と8業種のうち最も低い水準ですが、増加率は9.14%で中位にあります。いまの利回りの低さだけを理由に選択肢から外すと、増え方が遅くない業種を見落とすことになるかもしれません。利回りだけを見ると、増え方の速い業種を見落とす——これが今回の集計で見えた一番の点です。

銀行の39.71%は、出発点の低さを含む数字

今回の増加率は2021年か2022年を起点に計算しています。銀行についてはここに注意が必要です。ECBは2020年3月から2021年9月まで、欧州の銀行に対して配当の自粛を求めていました。この間、銀行各社の配当は本来の水準より抑えられていたと考えられます。

つまり、銀行の年平均増加率39.71%は、抑えられていた低い配当を起点にして計算した数字です。そこから通常の水準に戻る過程も増加率として計算に含まれているため、他の業種と単純に並べて「銀行がいちばん成長している」と読むのは避けたほうがよいと思います。

小売・外食の22.16%と、性格が一貫している医薬・ヘルスケア

銀行に次いで増加率が高いのが、小売・外食の22.16%です。この業種を実測した際の内訳を見ると、対象13社のうち8社がイギリス企業でした。イギリスには中間配当と期末配当の年2回に分けて配当を出す慣行があり、業績が回復した年はその両方に反映されやすいのではないかという印象を持っています。ただし、これはあくまで観察であり、増加率が高い理由をこの慣行だけで説明できるとは言い切れません。

一方、増加率が最も遅い業種のひとつである医薬・ヘルスケア(4.66%)は、業種別に実測した配当性向でも44%と8業種のうち最も低い水準でした。利益の多くを配当ではなく研究開発に回している業種だと考えられ、利回りの低さと増え方の遅さが、どちらも同じ性格を反映しているように見えます。

まとめ:いまの利回りと、これまでの増え方は別の数字

  • 業種別の配当の年平均増加率は銀行39.71%から食品・飲料2.89%まで、13倍以上の開きがあります
  • 利回りが高い業種と、増え方が速い業種は一致しません。保険は利回り最高でも増加率は3位、資本財・機械は利回り最低でも増加率は中位です
  • 銀行の突出は、ECBの配当自粛による出発点の低さを含むため、そのまま「成長している」とは読めません
  • 小売・外食の増加率が高い背景には英国企業が多い点があり、医薬・ヘルスケアの増加率が遅い背景には研究開発への配分があると考えられます

いまの利回りと、これまでの配当の増え方は、別の数字です。両方を並べておくと、その業種の配当がどういう性格なのかが見えやすくなると思います。

この記事の検証方法

  • 配当の年平均増加率は、2026年9月3日時点で、欧州株全体の増加率を実測した別記事と同じデータ(暦年ごとの配当合計から算出)を業種別に集計し直したものです
  • 4社以上ある業種だけを対象にし、中央値を使っています
  • 起点は2021年か2022年です。ECBが2020年3月から2021年9月まで欧州の銀行に配当の自粛を求めていたため、銀行の年平均増加率は出発点の低さを含みます
  • 業種分類は当サイトのまとめ直しです(セントリカを公益へ、レキットベンキーザーを小売から除外、アドミラルを除外しています)
  • 参考として示した配当利回り中央値と配当性向は、業種別に実測した別記事の集計によるもので、この記事単独の集計ではありません
  • 小売・外食に英国企業が多い点と増加率の関係は観察であり、年2回配当の慣行と業績回復の関係を因果として断定するものではありません
  • この記事の数値は、当サイトが今回実測した業種に限った集計であり、欧州市場全体を代表するものではありません
  • 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する業種の個別銘柄を保有しているとは限りません)

この記事を書いた人:Kawa

ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール

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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の配当の増加率・配当利回りは2026年9月3日時点で実測した情報にもとづいており、今後の配当額や増配を保証するものではありません。特定の業種・銘柄が投資に適していることを示すものでもありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

Kawa
サイドFIRE生活中
ヨーロッパ在住30代。兼業投資家として株式投資、FX、不動産投資を行う。株式投資やFX取引では、ダウ理論とグランビルの法則を用いたテクニカル分析メインで、ファンダメンタルズ分析も組み合わせて投資判断を行う。欧州の不動産市場にも注力し、賃貸収入やキャピタルゲインを狙った長期的な投資を狙う。夢はボルゾイを飼うこと。
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