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この記事の結論
- 2026年9月3日、欧州株226社の発行済株式数を前年と比べてShares Change(YoY)を機械的に取得しました。0.5%を超えて株数が増えていた会社は41社です
- 株数が増えると、利益も配当も議決権も同じ金額をより多い株数で割ることになり、1株あたりの取り分が薄まります。ですが配当利回りは「1株の配当 ÷ 株価」なので、株数が増えても直接は下がりません。利回りだけを見ていては気づけない変化です
- 別記事で「利回りも増え方も高い20社」に選ばれたBPERバンカとカルフールが、この41社にも入っています。配当を増やしながら、株数も増えている会社です
- 株式数が増える理由はいくつもあります(新株発行、ストックオプション、買収の対価としての株式交付など)。この集計は「株数がどう動いたか」を数えたものであり、増えた理由を判定したものではありません。個別の会社がなぜ増えたのかは当サイトで確認していません
当サイトでは以前、自社株買いを実測した記事で、株数が減った側の会社を数えました。自社株買いをすれば、発行済株式数が減り、1株あたりの取り分は増えます。では、その逆はどうでしょうか。株数が増えている会社は、どれくらいあるのでしょうか。
配当利回りのランキングを見ているだけでは、株数の増減は目に入ってきません。利回りは「1株あたりの配当 ÷ 株価」で計算される数字だからです。株数が増えても、利回りの計算式には直接は出てきません。そこで今回は、株価データサイトの統計ページで確認できるShares Change(YoY、前年比の株式数の変化)を、226社分まとめて見ていきます。
226社中41社、株数が1年で0.5%を超えて増えていた
2026年9月3日に226社分のShares Change(YoY)を確認したところ、内訳は次のようになりました。
- 0.5%を超えて増えた(希薄化):41社
- ほぼ横ばい(±0.5%以内):97社
- 0.5%を超えて減った:90社
減った側の90社は自社株買いの記事ですでに扱っているので、この記事では増えた側の41社に絞ります。そのうち、増加幅が大きかった上位12社が次の表です。
| 前年比 | 会社 | 国 | 業種 |
|---|---|---|---|
| +76.42% | オーステッド | デンマーク | 電力(洋上風力) |
| +35.38% | BPERバンカ | イタリア | 銀行 |
| +27.73% | イタルガス | イタリア | ガス配給 |
| +22.35% | オレンジ | フランス | 通信 |
| +14.11% | アビバ | イギリス | 保険 |
| +7.48% | フォノビア | ドイツ | 住宅賃貸(不動産) |
| +6.41% | カルフール | フランス | 小売・スーパーマーケット |
| +5.02% | ヴェスタス | デンマーク | 風力発電機 |
| +4.57% | ピレリ | イタリア | タイヤ |
| +4.26% | SSE | イギリス | 電力・送配電 |
| +3.90% | ルノー | フランス | 自動車 |
| +3.86% | DSV | デンマーク | 物流 |
先にお伝えしておきたいのですが、株式数が増える理由はいくつもあります。新株発行による資金調達、社員向けストックオプションの行使、買収の対価として株式を交付するケースなど、背景はさまざまです。この集計は「株数がどう動いたか」を数えたものであり、増えた理由を判定したものではありません。上の表に載っている個別の会社について、なぜ株数が増えたのかは当サイトで確認していません。この先も、理由の推測はしません。
株数が増えると1株あたりの取り分は薄まるのに、利回りだけでは気づけない
株数が増えることを、少しかたい言葉で「希薄化」と呼びます。会社が生み出す利益も、支払う配当も、株主総会での議決権も、すべて同じ金額や同じ枠を、より多い株数で割ることになります。1株あたりの取り分は、その分だけ薄まります。100億円の利益を1億株で割るのと、1.3億株で割るのとでは、1株あたりの金額が変わってくるということです。
ここで見落としやすいのが、配当利回りだけを見ていても、この変化には気づけないという点です。配当利回りは「1株あたりの配当 ÷ 株価」で計算されます。会社が配当の総額を維持したまま株数だけ増やせば、1株あたりの配当は減るはずですが、利回りのランキング表を眺めているだけでは、その理由まではわかりません。株数が増えたのか、株価が動いただけなのか、配当の総額が変わったのか、利回りという1つの数字の裏には、いくつもの動きが混ざっています。気づくには、株数そのものを見るしかないと思います。
配当を増やしながら株数も増えている会社がある——BPERバンカとカルフール
この記事でいちばんお伝えしたいのが、ここです。別記事で「利回りも増え方も高い20社」を実測しましたが、その20社の中に入っていたBPERバンカとカルフールが、今回の株数が増えた41社にも入っています。
つまりこの2社は、配当を増やしている会社であると同時に、株数も増えている会社だということです。配当が増えているという事実だけを見れば、良い変化に見えます。ですが、株数も一緒に増えていれば、1株あたりの取り分は配当の増加ほどには伸びていない可能性があります。片方だけを見ていると、全体像を見誤ります。これが、この記事のいちばんの実用価値だと考えています。良い数字にも、その裏側があるということです。
繰り返しになりますが、BPERバンカとカルフールについても、株数が増えた理由は当サイトで確認していません。良い・悪いを判定する材料ではなく、「両方の数字を見たほうがよい」という一例として受け止めていただければと思います。
オーステッドの+76.42%と、上位に並ぶ公益・インフラ企業
表の中でもオーステッドの+76.42%は突出しています。当サイトが別記事で実測したところ、オーステッドは無配でした。配当を出していないのに株数だけが大きく増えている、という状態が数字として並んでいます。ただし、ここでも理由は確認していません。無配であることと株数が増えたことの間に、どのような事情があるのかは、この記事の集計からはわかりません。
もう1つ目につくのが、上位12社のうちオーステッド・イタルガス・SSE・ヴェスタスの4社が、公益・インフラに関わる業種だという点です。発電・送配電・ガス配給・風力発電機と、いずれも設備投資が大きくなりやすい業種です。設備投資の資金を株式で調達すれば株数は増えます。この4社が並んでいるのは、そうした業種の傾向を反映しているのではないかと思いますが、これも観察の域を出るものではなく、因果関係を断定できるものではありません。
まとめ:株数の増減は、年に1回、統計ページを見るだけで確認できます
- 今回実測した226社のうち、1年で0.5%を超えて株数が増えていたのは41社でした
- 株数が増えると1株あたりの取り分は薄まりますが、配当利回りだけを見ていても気づけません
- 配当を増やしながら株数も増えている会社があります(BPERバンカ・カルフール)。片方だけを見ると、全体像を見誤ります
- 確認方法はシンプルで、株価データサイトの統計ページでShares Change(YoY)を見るだけです
配当が増えたという知らせは届きますが、株数が増えたという知らせは、こちらから見にいかないと届きません。年に1回、保有銘柄の株数の増減を確認するだけで、利回りの数字だけでは見えてこない変化に気づけると思います。
この記事の検証方法
- 株式数の前年比(Shares Change YoY)は、2026年9月3日に株価データサイトの統計ページから機械的に取得しました
- 対象は226社です。データが取得できなかった銘柄は集計から除外しています
- 0.5%を超えて増えた41社・±0.5%以内でほぼ横ばいの97社・0.5%を超えて減った90社という内訳です。減った側は自社株買いを実測した別記事で扱っています
- 「利回りも増え方も高い20社」は別記事の実測によるものです
- オーステッドが無配であることは、当サイトの別記事の実測にもとづきます
- 株式数が増えた理由(新株発行・ストックオプション・買収対価など)については、個別の会社ごとに当サイトで確認していません。この記事は「株数がどう動いたか」を数えたものであり、理由を判定したものではありません
- この記事の数値は今回実測した226社に限った集計であり、欧州市場全体を代表するものではありません
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する銘柄を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の株式数の増減は2026年9月3日時点で取得した情報にもとづいており、実際の数値は変更される場合があります。株数が増えている、または減っていることが、特定の銘柄への投資判断を推奨・否定するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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