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この記事の結論
- 2026年9月3日、当サイトが記事化している欧州株の配当性向を実測したところ、241社中15社が80〜100%の帯に入っていました
- 15社のうち5社が公益・インフラ(セバーン・トレント、ヴェオリア、エナガス、レデイア、スナム)です
- スイス企業が4社(アクセレロン、EMSケミー、キューネ・アンド・ナーゲル、ズルツァー)を占めています
- 配当性向100%を超えている13社と合わせると28社、241社の約12%が利益の8割以上を配当に回している計算です
当サイトでは以前、配当性向が100%を超えている欧州株13社を数えた記事を書きました。100%を超えるということは、その年の利益より多くの配当を払っているということです。ただ、100%という境界線のすぐ手前にも、目を向けておいたほうがよい会社があると思います。「まだ超えていないが、余裕が小さい」という位置にいる会社たちです。
そこで今回、2026年9月3日に取得した実測データから、配当性向が80%以上100%未満の会社を数えました。データが取得できた241社のうち、15社がこの帯に入っていました。100%超の13社と合わせて見ることで、「利益の大半を配っている」会社がどれくらいの広がりを持つのかが見えてきます。
実測結果:241社中15社が配当性向80〜100%だった
該当した15社を、配当性向が高い順に並べると次のとおりです。
| 配当性向 | 利回り | 会社 | 国 | 業種 |
|---|---|---|---|---|
| 100% | 4.03% | セバーン・トレント | 英 | 水道 |
| 99% | 6.26% | ダンスケ銀行 | 丁 | 銀行 |
| 98% | 2.29% | ポルシェ | 独 | 自動車 |
| 98% | 4.40% | ヴェオリア | 仏 | 水・廃棄物処理 |
| 90% | 5.95% | エナガス | 西 | ガス輸送網 |
| 89% | 4.31% | レデイア | 西 | 送電網運営 |
| 89% | 5.18% | スナム | 伊 | ガスインフラ |
| 89% | 3.86% | キングフィッシャー | 英 | ホームセンター |
| 88% | 4.82% | ソデクソ | 仏 | 給食・フードサービス |
| 86% | 2.00% | アクセレロン | 瑞 | 舶用・発電用ターボチャージャー |
| 86% | 2.58% | ラショナル | 独 | 業務用調理機器 |
| 85% | 2.36% | EMSケミー | 瑞 | 化学 |
| 83% | 2.81% | キューネ・アンド・ナーゲル | 瑞 | 国際物流 |
| 82% | 2.98% | ズルツァー | 瑞 | ポンプ・流体機器 |
| 80% | 7.40% | セインズベリー | 英 | スーパーマーケット |
表の一番上のセバーン・トレントは100%ちょうどで、100%超との境界線上にいます。一番下のセインズベリーでも80%で、利益の8割を配当に回している水準です。ここで断っておきたいのは、配当性向が高いこと自体は問題ではないということです。利益の大半を株主に還元する方針の会社は珍しくありません。この帯にいるということは、「利益が少し減ると100%を超える」という位置にいるということであって、それ以上でもそれ以下でもないと思います。
公益・インフラが5社――規制で収益が読める業種の特徴
15社の業種を見ると、目立つのが公益・インフラ系です。水道のセバーン・トレント、水と廃棄物処理のヴェオリア、ガス輸送網のエナガス、送電網のレデイア、ガスインフラのスナムと、15社中5社がこの分野に集中しています。
当サイトが業種別に実測した別記事によると、公益セクターの配当性向の中央値は56%です。全体で見ればまだ余裕のある水準のはずですが、それでもこの帯に5社が入っています。規制によって収益の見通しが立てやすい業種は、余裕が小さくても配り続けやすいという構造の表れなのかもしれない、というのが今回の並びから受ける印象です。ただし、当サイトは各社の配当方針を個別に確認しているわけではないため、この見方が正しいと断定はできません。あくまで数字の並びから見える傾向として受け止めていただければと思います。公益株がなぜ高配当なのかを整理した記事もあわせてご覧ください。
スイスが4社――増やさない代わりに高い水準を維持
もう一つ目立つのが国の偏りです。アクセレロン、EMSケミー、キューネ・アンド・ナーゲル、ズルツァーと、15社のうち4社をスイス企業が占めています。
当サイトが実測した配当の増え方の記事では、スイスは配当の年平均増加率が5.0%と、対象国の中で最も低い結果でした。増やす勢いは控えめでも、もともと配当性向が高い水準にあり、それを維持しているという見方もできます。増やさない代わりに高い水準を保っている、という観察にとどめておきたいと思います。こちらも個社の方針を確認したものではないため、断定は避けます。
100%超の13社と合わせると28社――約12%が「利益の8割以上」の帯にいる
別記事で数えた100%超の13社と、今回の80〜100%の15社を合わせると、28社になります。241社のうち約12%が、利益の8割以上を配当に回している計算です。
実用面で意識したいのは、点検の頻度だと思います。年1回の点検で見るべきなのは、保有している会社がこの帯に入っていないかどうかです。一度確認して終わりではなく、決算のたびに配当性向が動く可能性があることは、頭の片隅に置いておいたほうがよいと思います。
もう一つの傾向は、利回りとの関係です。今回の15社のうち、配当利回りが4%を超えているのは8社(セバーン・トレント、ダンスケ銀行、ヴェオリア、エナガス、レデイア、スナム、ソデクソ、セインズベリー)で、15社の半分以上を占めます。利回りの高さを基準に銘柄を絞り込むほど、この帯に当たりやすくなる傾向があるようです。
まとめ:配当性向は「どのあたりにいるか」を見る数字
- 2026年9月3日の実測で、配当性向80〜100%の帯には241社中15社が該当
- 15社のうち5社が公益・インフラ(セバーン・トレント/ヴェオリア/エナガス/レデイア/スナム)、4社がスイス企業
- 100%超の13社と合わせると28社、241社の約12%が利益の8割以上を配当に回している
- 配当性向が高いこと自体は問題ではなく、「どのあたりにいるか」を見る数字
- 年1回の点検で、保有銘柄がこの帯に入っていないかを確認したい
配当性向は、超えているか超えていないかだけでなく、どのあたりにいるかを見る数字だと思います。80%を超えていたら、余裕が小さい位置にいると知っておくだけで十分ではないでしょうか。
この記事の検証方法
- 配当性向・配当利回りは、2026年9月3日に株価データサイトから機械的に取得しました
- 集計対象は当サイトが取り上げてきた銘柄のうち、配当性向のデータが取得できた241社です
- 配当性向が80%以上100%未満に該当したのは15社です。100%を超えている13社は別記事で扱っています
- 配当性向=1株あたり配当 ÷ 1株あたり利益です
- 公益セクターの配当性向中央値(56%)は、業種別に実測した別記事の集計によるもので、この記事単独の集計ではありません
- スイスの配当の年平均増加率(5.0%)も、別記事の実測によるもので、この記事単独の集計ではありません
- この記事の数値は当サイトが取り上げた銘柄に限った集計であり、欧州市場全体を代表するものではありません
- 本記事は、掲載した15社が今後減配することを予測・示唆するものではありません。配当性向が高いこと自体を否定的に評価するものでもありません
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する銘柄を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の配当性向・配当利回りは2026年9月3日時点で取得した情報にもとづいており、市場の変動により変更される場合があります。特定の銘柄が今後減配することを予測・示唆するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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