MENU

外国株を持ったまま亡くなるとどうなるか|評価はTTB・相続手続きの流れ【2026年】

外国株を持ったまま亡くなるとどうなるか|評価はTTB・相続手続きの流れ【2026年】

※本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれます。

この記事の結論

  • 外国株の相続税評価は、日本の上場株式と同じ考え方(死亡日の終値、または直前3か月の月平均終値のうち最も低い価額)で行われます
  • 違うのは円換算です。TTB(対顧客直物電信買相場)・死亡日のレートを使うため、株価が同じでも評価額は変わります
  • 手続きは相続人の口座への現物移管が原則で、相続人がその証券会社に口座を持っている必要があります
  • 米国株・米国上場ETFを持っている場合は、米国の遺産税という別の論点が加わります

欧州株を長く保有している人にとって、避けて通れないのに、調べても情報がほとんど出てこない論点があります。それが相続です。証券会社のサイトには一般的な相続手続きの案内がありますが、「外国株を持ったまま亡くなった場合」を正面から扱った日本語の説明は、あまり見当たりません。

先にお断りしておくと、この記事は具体的な税額を計算する記事ではありません。相続税は他の相続財産との合算や各種控除の適用で個別性が非常に高く、この記事だけで正確な税額を算出することはできないからです。ここでは「何が論点になるか」を整理し、税理士に相談するときに何を聞けばいいかが分かる状態を目指します。

目次

評価の考え方は、日本の上場株式と同じ

外国株式であっても、日本の相続税の計算上は原則として、日本の上場株式と同じ考え方で評価されます(出典:国税庁「国外財産の評価」)。具体的には、①課税時期(=被相続人が亡くなった日)の最終価格、②その価格が課税時期の属する月以前3か月の各月の月平均終値のうち最も低い価額を超える場合は、その最も低い価額、のいずれか低い方で評価します。

なお、非上場の外国株式は評価方法が異なり、純資産価額方式で評価し、類似業種比準方式は使えません。当サイトで扱っている個別株・ETFは基本的に上場銘柄なので、この記事では上場株式の評価を前提に進めます。

違うのは円換算。TTB・死亡日のレートを使う

日本円で保有する上場株式と外国株式との決定的な違いが、円換算です。国税庁の外貨建て財産の評価の考え方によると、外貨建て資産は原則としてTTB(対顧客直物電信買相場)、またはこれに準ずる相場で円に換算します。換算する日は被相続人が亡くなった日の相場です。死亡日が土日・祝日で相場が立たない場合は、その日より前の最も近い日の相場を使います。

為替レートにはTTB・TTM・TTSの3種類があり、TTB<TTM<TTSの関係にあります。TTBは金融機関が顧客から外貨を買い取るときのレートで、3つの中では最も低い水準です。つまり、現地通貨建ての株価が同じでも、死亡日のTTBレート次第で円換算後の評価額は変わるということです。この点は、外国株ならではの論点として押さえておく価値があると思います。

手続きは「相続人の口座への現物移管」が原則

証券会社の相続手続き案内(マネックス証券、野村證券など)を確認すると、流れはおおむね共通しています。

  1. 死亡を証券会社に連絡し、口座を凍結する
  2. 相続届、遺産分割協議書、被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)、相続人の戸籍謄本、印鑑登録証明書などを提出する
  3. 審査後、通常1〜2か月程度で相続人名義の口座へ移管される

ここで重要なのは、株式は現物のまま相続人の口座へ移管されるのが原則という点です。移管の時点で売却する必要はなく、売却するかどうかは移管後に相続人が判断します。裏を返せば、相続人がその証券会社に口座を持っていないと、移管先がないため手続きが進まないということです。まだ口座を持っていない相続人がいる場合は、相続の手続きの中で新たに口座を開設する必要が出てきます。

当サイトで欧州の個別株の入り口として紹介しているサクソバンク証券について、公式の相続手続きの案内を確認しようとしましたが、当サイトでは確認できませんでした。推測で補うことはせず、正直に「確認できなかった」とお伝えします。同社で欧州の個別株を保有する予定がある方、またはすでに保有している方は、口座開設の前、あるいは保有中に、サクソバンク証券へ直接お問い合わせいただくことをおすすめします。

見落としがちな論点:米国株を持っている人は「米国の遺産税」も

ここまでは日本の相続税の話でした。もう一つ、見落とされがちな論点があります。米国には、非居住外国人に対して遺産税(Estate Tax)を課す制度があり、基礎控除は6万ドルとされています(出典:税理士事務所の解説)。ただし日米相続税条約により、日本に居住する日本国籍者は、米国内資産の割合に応じた控除(1,399万ドル×米国内資産の価額÷全世界資産の価額)を受けられるとされています。申告書はForm 706-NAで、期限は死亡日から9か月以内とされています。

欧州株そのものには、この「外国人への遺産税」の話は前面に出てきません。しかし、当サイトが欧州ETFの比較記事で紹介している商品の多くは、実は米国上場のETFです。したがって、こうしたETFを保有している方は、欧州株の相続の話とあわせて、米国の遺産税という論点も確認しておく必要があります。これは正直にお伝えしておきたい点です。

米国以外の欧州各国にも、独自の相続課税があるとされています。税理士事務所の解説をもとにした目安を以下にまとめますが、いずれも「とされる」水準であり、断定はできません。

最高税率とされる値備考
フランス45%直系子孫の控除10万ユーロ、配偶者は非課税とされる
ドイツ30%7〜30%の累進とされる
イギリス40%控除32万5,000ポンドとされる
スイス相続税がない国として言及されるが、当サイトでは詳細を確認できなかった
税理士事務所の解説をもとにした目安。実際の税額・控除は個別の事情で変わるため、必ず税理士にご確認ください

日本と相続税条約を結んでいる国として当サイトで確認できたのは、米国・フランス・イギリスです。ドイツ・スイスとの条約の有無は、当サイトでは確認できませんでした。また日本の原則として、被相続人または相続人のいずれかが相続発生日前10年以内に日本に住所を有していた場合、海外にある資産にも日本の相続税がかかるとされています。長期間にわたって海外に居住している場合を除き、多くの方はこの原則の対象になると考えられます。

現地で相続税に相当する税を課された場合、日本の相続税額から控除できる仕組みもあります(相続税法第20条の2の外国税額控除)。控除限度額は、外国税額と「日本の相続税額×国外財産の価額÷取得財産全体の価額」のいずれか少ない額とされています。なお、外国で納めた税額を円換算する際は、納付すべき日のTTSを使うとされており、評価のときに使うTTBとは異なるレートになる点に注意が必要です。二重課税をそのまま放置する仕組みではない、という点は知っておいてよいと思います。

まとめ:論点は整理できても、税額は税理士に確認を

  • 外国株の評価は、日本の上場株式と同じ考え方(死亡日の終値、または直前3か月の月平均終値の最も低い価額)で行われるとされる
  • 円換算はTTB・死亡日のレートを使う。株価が同じでも、換算レート次第で評価額は変わる
  • 手続きは相続人の口座への現物移管が原則。相続人がその証券会社に口座を持っている必要がある
  • サクソバンク証券の相続手続きは当サイトで確認できていないため、直接の確認をおすすめする
  • 米国株・米国上場ETFを持っている場合は、米国の遺産税という別の論点が加わる
  • 各国の税率・控除額はいずれも「とされる」水準の情報であり、具体的な税額は必ず税理士にご確認ください

この記事でできるのは、論点を整理するところまでです。実際にどのくらいの税額になるか、どの控除が使えるかは、保有資産の全体像によって変わります。気になる点が見つかったら、その部分だけでも税理士に相談してみることをおすすめします。

この記事の検証方法

  • 上場株式の評価方法は、国税庁「国外財産の評価」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/15/12.htm)を出典としています
  • 外貨建て資産の円換算(TTB・換算日)は、国税庁の外貨建て財産の評価に関するページhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4665.htm)を出典としています
  • 相続手続きの実務の流れは、マネックス証券・野村證券の相続手続き案内ページを出典としています
  • 外国税額控除は相続税法第20条の2https://www.zeiken.co.jp/hourei/HHSOU000000/20-2.html)を出典としています
  • 米国の遺産税、および欧州各国の相続税率は、税理士事務所の解説記事を出典としており、一次資料には当たれていないため本文中は「とされる」という表現で統一しています
  • サクソバンク証券の相続手続き、ドイツ・スイスと日本の相続税条約の有無は、当サイトでは確認できませんでした
  • 本記事は税務の一般的な論点整理を目的としたものであり、税理士による個別の税務相談に代わるものではありません

この記事を書いた人:Kawa

ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール

あわせて読みたい

免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、税務上の助言や特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の評価方法・税率・控除額等は本文記載の各出典にもとづいていますが、税制は改正される場合があり、個別の事情によって適用が異なります。具体的な税額の算定や申告については、必ず税理士等の専門家にご確認ください。当サイトは本記事の情報に基づく損失・不利益について一切の責任を負いません。

Kawa
サイドFIRE生活中
ヨーロッパ在住30代。兼業投資家として株式投資、FX、不動産投資を行う。株式投資やFX取引では、ダウ理論とグランビルの法則を用いたテクニカル分析メインで、ファンダメンタルズ分析も組み合わせて投資判断を行う。欧州の不動産市場にも注力し、賃貸収入やキャピタルゲインを狙った長期的な投資を狙う。夢はボルゾイを飼うこと。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次