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この記事の結論
- キューネ・アンド・ナーゲルは海上・航空フォワーディング(輸送手配)で世界最大級を誇る、スイスの国際物流会社
- 魅力の核心:株価は1年で+28.5%上昇し52週高値圏、配当性向は83%と株主還元も手厚い
- 最大のリスク:直近12ヶ月の純利益は前年比−24.9%の減益
- 買うなら:SBI・楽天・マネックスでは買えない→サクソバンク証券で1株 約4万3,600円から(推奨ロット5株が目安/1株でも負担率約2.51%と軽い)
DSV、DHLグループ、マースクと、当サイトではすでに世界的な物流企業を取り上げてきました。4社目となる今回のキューネ・アンド・ナーゲル(Kuehne + Nagel/ティッカー:KNIN)は、海上・航空貨物のフォワーディング(輸送手配)で世界最大級の規模を誇る、スイスの国際物流会社です。
この銘柄、直近12ヶ月の純利益は前年比−25%と減益が続いている一方で、株価は1年で+29%上昇し52週高値圏にあります。配当性向は83%と、利益のかなりの部分を株主に還元してもいます。「利益は減っているのに評価されている」この銘柄の魅力とリスクを、数字で整理していきます。
キューネ・アンド・ナーゲル株の基本データ(2026年8月21日時点)
| 株価 | 219.40スイスフラン(1株 約4万3,600円) |
| 52週レンジ | 147.40 〜 219.40スイスフラン |
| 時価総額 | 約261億スイスフラン |
| PER | 約30.2倍(予想 約24.9倍) |
| 配当利回り | 約2.73%(1株配当 6スイスフラン) |
| 上場市場 | SIXスイス証券取引所 |
| 過去1年の騰落率 | 約+28.5% |
為替レートは1スイスフラン=198.50円(ECB参照レート、2026年8月21日時点)で換算しています。
キューネ・アンド・ナーゲル株を買うメリット
半期売上高122億スイスフラン、フォワーディングで世界最大級
2026年上半期決算では、売上高122億スイスフラン、EBITは6億8,900万スイスフランとなりました(出典:キューネ・アンド・ナーゲル公式IR資料)。海上・航空貨物のフォワーディング(輸送手配)という単一の事業領域で、これだけの売上規模を持つ会社は世界でも数社に限られます。荷主に代わって船会社・航空会社を手配する「利用運送」に特化しており、事業規模そのものが取引先との交渉力・情報網の広さにつながっています。
2026年2月、陸運事業を買収し領域を拡大
2026年2月には、ドイツの陸上物流会社ローメラー・グループの道路物流事業を買収したと発表しています(出典:キューネ・アンド・ナーゲル公式)。海上・航空の輸送手配だけでなく、陸運・契約物流の領域にも投資を続けており、フォワーディング一本足ではない事業の広げ方をしている点は、投資家にとって業績の分散要因になります。
配当性向83%、利益の大半を株主に還元
1株当たり配当金は6スイスフランで、表面利回りは約2.73%です。直近12ヶ月の純利益に対する配当性向は83%と高水準で、稼いだ利益の大半を配当として株主に戻す方針の会社であることがわかります。減益局面でも配当額を据え置いていることは、経営陣の株主還元への姿勢を示す材料といえます。
株価は1年で+28.5%上昇、52週高値圏で推移
純利益が前年比−24.9%という減益にもかかわらず、株価は1年で+28.5%上昇し、52週レンジ(147.40〜219.40フラン)の上限そのものに位置しています。運賃正常化後の「巡航速度」の利益水準や、ローメラー・グループ買収による事業拡大を、市場が織り込んでいる可能性があります。ただし、これは市場の期待の表れであり、今後の株価を保証するものではありません。
キューネ・アンド・ナーゲル株を買うデメリット・リスク
直近12ヶ月の純利益は前年比−24.9%の減益
直近12ヶ月でみると、純利益は8億6,400万スイスフランで前年比−24.9%の減益です。2026年上半期のEBITも、恒常為替ベースで前年同期比−3%となっています(出典:キューネ・アンド・ナーゲル公式IR資料)。フォワーディング業界はコロナ禍の海運・航空運賃の高騰局面で記録的な利益を上げた反動もあり、その後の運賃正常化にともなって利益水準が切り下がっている、という構図です。株価の上昇とは裏腹に、直近の業績自体は弱含んでいる事実は押さえておく必要があります。
PER約30.2倍、減益局面でも株価は割高圏
PERは約30.2倍(予想ベースでは約24.9倍)です。純利益が前年比−24.9%と減っている局面でこの倍率がついているということは、株価が業績の実態以上に将来の回復を先取りしている可能性を意味します。市場の期待が外れた場合、PERの調整(株価下落)につながるリスクがある水準です。
配当源泉税35%で、税引き後利回りは約1.42%に低下
表面利回り2.73%は魅力に見えますが、ここが日本の投資家にとって最も重要な点です。スイスは配当に対して35%を源泉徴収します。日本とスイスの租税条約が定める限度税率は10%なので、差額の25%は本来払う必要のない税金ですが、スイス税務当局(ESTV)へ直接還付請求しないと戻ってきません。日本の外国税額控除で取り戻せるのは条約限度の10%分までです。現地で還付請求をしない場合、税引き後の利回りの目安は約1.42%まで下がります(表面利回り2.73%×(1−0.35)×0.79685で計算。日本側の20.315%課税を織り込んだ概算)。加えて、サクソバンク証券はNISAに対応していません。特定口座または一般口座での取引になり、利益には約20.315%が課税されます。
ADR(KHNGY)はOTC銘柄で、上場は事実上SIX一本
米国預託証券(ADR)として「KHNGY」がありますが、これは取引所ではなくOTC(店頭市場)で取引される銘柄です。ニューヨーク証券取引所にもナスダックにも上場しておらず、実質的にSIXスイス証券取引所のみへの一本上場です。楽天証券はOTC市場の銘柄について「新規の買付けは受け付けておりません」と明記しており、ADR経由でも買えません。主要取引所への重複上場がない分、日本の投資家にとっては購入経路の選択肢が狭い銘柄といえます。
キューネ・アンド・ナーゲルはどんな会社か
キューネ・アンド・ナーゲルは、海上・航空貨物のフォワーディング(輸送手配)で世界最大級の物流会社です。荷主に代わって船会社・航空会社を手配し、輸送全体をコーディネートする「利用運送」を主力事業としています。あわせて陸運・契約物流(倉庫・在庫管理などのロジスティクス受託)も展開しており、日本にも拠点を構えています。
自社で船や航空機を保有するマースクやDHLグループとは異なり、輸送手段を持たずに手配に特化するフォワーダーという立ち位置が特徴です。直近では、2026年上半期に売上高122億スイスフラン・EBIT6億8,900万スイスフラン(恒常為替ベースで前年同期比−3%)を計上したほか、2026年2月にはドイツのローメラー・グループの道路物流事業を買収し、陸運領域への投資を進めています(出典:キューネ・アンド・ナーゲル公式IR資料)。
配当と税金
1株当たり配当金は6スイスフランで、表面利回りは約2.73%です。直近12ヶ月の純利益に対する配当性向は83%と高水準です。
スイス株の配当には、欧州で最も重い部類の税金がかかります。スイスは配当に対して35%を源泉徴収し、日瑞租税条約の限度税率10%を超える25%はスイス税務当局(ESTV)へ直接還付請求しないと戻ってきません。現地で還付請求をしない場合、税引き後の利回りの目安は約1.42%です(表面利回り2.73%×(1−0.35)×0.79685で計算。日本側の20.315%課税を織り込んだ概算)。
他国の欧州株との比較は欧州株の配当税を国別に比較した記事で詳しく解説しています。
最新の株価チャートで水準を確認する
本記事の株価は2026年8月21日時点のものです。発注前に必ず最新の水準を確認してください。
キューネ・アンド・ナーゲル株の日本からの買い方
ここまで見てきた魅力とリスクを踏まえて実際に買うとなると、日本の大手ネット証券では扱えないという壁があります。
| 証券会社 | 購入可否 | 理由 |
|---|---|---|
| SBI証券 | × | 上場はSIXスイス証券取引所のみで、米国市場には上場していない |
| 楽天証券 | × | ADR「KHNGY」はOTC銘柄で新規買付を受け付けていない |
| マネックス証券 | × | 同上 |
| サクソバンク証券 | ○ | SIXスイス証券取引所の現物株を直接購入できる |
詳しい仕組みはなぜSBI・楽天では欧州株が買えないのかで解説しています。買える証券会社はサクソバンク証券で、手順は次の通りです。
- 口座開設を申し込む(オンラインで完結。マイナンバーカードまたは通知カード+本人確認書類が必要)
- 審査・口座開設完了を待つ(通常は数営業日)
- 日本円を入金する
- スイスフランに両替する
- ティッカー「KNIN」で検索し、株数を指定して発注
サクソバンク証券のスイス株の手数料は約定金額の0.132%、最低5.5スイスフラン(約1,092円)です。約定金額が小さくても最低額がかかるため、少額購入では負担率が上がりますが、キューネ・アンド・ナーゲルは1株の株価が高いため1株買いでも手数料負担率は約2.51%と、他の欧州株と比べて軽い部類に入ります。
| 買う株数 | 約定金額の目安 | 手数料 | 負担率 |
|---|---|---|---|
| 1株 | 約4万3,600円 | 1,092円 | 約2.51% |
| 5株 | 約21万7,800円 | 1,092円 | 約0.50% |
まとめて買うほど負担率は下がるため、5株単位(約22万円)でまとめて買うのが、手数料効率の面では現実的な目安です。
キューネ・アンド・ナーゲル株はどんな人に向くか
| 向く人 | 向かない人 |
|---|---|
| 世界最大級のフォワーダーに分散投資したい人 | NISAの非課税枠で保有したい人 |
| 配当性向83%の株主還元を評価する人 | 減益局面での割高なPERを避けたい人 |
| 数株のまとめ買いで手数料負担を抑えられる人 | スイスの配当源泉税35%の負担を避けたい人 |
NISAの非課税枠で欧州株を持ちたい場合は、証券会社の比較記事もあわせてご覧ください。
よくある質問
キューネ・アンド・ナーゲル株は日本の証券会社で買えますか?
SBI証券・楽天証券・マネックス証券では買えません。上場はSIXスイス証券取引所のみで、ADR「KHNGY」もOTC銘柄のため新規買付ができないためです。日本から買うならサクソバンク証券が現実的です。
最低いくらから買えますか?
1株 約4万3,600円(手数料込みで約4万4,700円程度)から購入できます。ただし最低手数料の関係で負担率が上がるため、5株単位(約22万円)でのまとめ買いが手数料効率の面では現実的です。
配当にはどんな税金がかかりますか?
スイスの配当源泉税35%がかかり、日瑞租税条約の限度税率10%を超える25%はスイス税務当局(ESTV)への還付請求が必要です。還付請求をしない場合、表面利回り2.73%の税引き後の目安は約1.42%まで下がります。
NISAで保有できますか?
できません。サクソバンク証券はNISAに対応していないため、特定口座または一般口座での取引になり、利益には約20.315%が課税されます。
ADR(KHNGY)と原株の違いは何ですか?
ADR「KHNGY」は米国のOTC(店頭市場)で取引される銘柄で、楽天証券は「新規の買付けは受け付けておりません」と明記しており、ADR経由でも買えません。投資対象になるのは、サクソバンク証券で買えるSIXスイス証券取引所の原株(KNIN)です。
まとめ
メリット
- 海上・航空フォワーディングで世界最大級、半期売上高122億スイスフラン
- 配当性向83%と株主還元が手厚く、2026年2月にはローメラー・グループを買収し陸運事業も拡大
- 減益局面でも株価は1年で+28.5%上昇し52週高値圏
デメリット・リスク
- 直近12ヶ月の純利益は前年比−24.9%の減益で、PERは約30.2倍と割高圏
- 配当源泉税35%で税引き後利回りは約1.42%に低下、NISA不可
- ADRはOTC銘柄で、購入経路は事実上サクソバンク証券のみ
SBI・楽天・マネックスでは買えない銘柄ですが、サクソバンク証券なら1株 約4万3,600円から購入できます。手数料効率を考えるなら5株単位のまとめ買いが目安です。
この記事の検証方法
- 手数料はサクソバンク証券の公式手数料表から計算しています
- 株価・為替レートは本文記載の基準日に実測した値です
- 業績・配当は企業の公式IR資料(一次資料)を出典としています
- 筆者はヨーロッパ在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座で欧州株を実際に保有しています
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載の株価・為替レート・手数料・税制は2026年8月21日時点で確認した情報に基づいており、変更される場合があります。業績数値はキューネ・アンド・ナーゲル社の公表資料に基づきます。税額の計算は概算であり、実際の課税関係は個々の状況により異なります。実際の取引条件および税務の取扱いは、各証券会社の公式サイトおよび税務専門家にご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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