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この記事の結論
- スウォッチ株はSBI・楽天・マネックスでは買えない(上場はSIXスイス証券取引所のみ)
- 現物を買うならサクソバンク証券が現実的(1株 約3万8,240円)
- 最低手数料は5.50スイスフラン。1株からでも手数料負担率は約2.8%に収まる(スイス株の中では軽め)
- 最大の注意点:NISA不可+スイスの配当源泉税35%。配当総額が純利益を上回っており減配リスクもある
カラフルな腕時計で知られるスイスの時計グループスウォッチ(The Swatch Group AG/ティッカー:UHR)。この会社の株を調べると、PER(株価収益率)が1,000倍を超える異常な数値に出くわします。
結論から言うと、この数字は「ブランドへの高評価」を意味しません。2025年に純利益が前年比89%減まで落ち込み、利益がほぼ消えていることの裏返しです。この記事ではスウォッチ株の買い方と、この数字の裏にある業績の実態を、隠さずに解説します。
スウォッチ株の基本データ(2026年8月時点)
| 株価 | 195.25スイスフラン(1株 約3万8,240円) |
| 52週レンジ | 133.10 〜 223.10スイスフラン |
| 時価総額 | 約99.6億スイスフラン |
| PER | 約1,107倍(利益がほぼ消滅した結果の見かけ上の数値) |
| 配当利回り | 約2.33% |
| 上場市場 | SIXスイス証券取引所 |
2025年、何が起きたのか:純利益89%減の内実
スウォッチの2025年12月期決算は、純利益が前年比89%減の2,500万スイスフラン(2024年は2億1,900万スイスフラン)という壊滅的な結果でした。売上高は63億8,000万スイスフラン(公表ベースで前年比5.9%減、為替影響を除くと1.3%減)、営業利益は1億3,500万スイスフラン(2024年の3億400万スイスフランから56%減)にとどまり、営業利益率はわずか2.1%(前年4.5%)まで低下しました。
会社は2025年前半の減益について、もっぱら中国(香港・マカオを含む)の需要低迷が要因と説明しています。中国の富裕層需要が冷え込み、高級時計の販売が長期にわたって落ち込んだことが響きました。腕時計・宝飾品部門(生産部門を除く)単体では営業利益率9.5%・営業利益5億4,900万スイスフランを稼いでおり、全社の営業利益を大きく押し下げたのは生産部門の不採算です。スウォッチは需要減の局面でも工場の稼働と雇用を維持する方針を取っており、これが生産部門の収益を圧迫しています。
一方、2025年後半は回復基調に転じました。為替影響を除いたベースで下半期は前年比4.7%増、第4四半期は7.2%増まで加速しています。
2026年上半期:話題の高級コラボで増収も、利益はなお23.5%減
2026年上半期の売上高は31億2,000万スイスフランで、公表ベースで前年比2.0%増(為替影響を除くと8.5%増)。約2億スイスフラン規模のスイスフラン高が、公表ベースの伸びを圧迫しました。増収の原動力は、5月に発売した高級時計ブランド「オデマ・ピゲ」とのコラボレーション「Royal Pop」です。SNSでの総視聴回数は250億回に達し、発売直後は東京・銀座で深夜から300人超の行列ができ、渋谷・原宿でも150〜180人が並んだほか、ニューヨークやロンドンの店舗が混雑のため一時閉店する事態になりました。この効果で、5〜6月の腕時計・宝飾品部門(生産部門を除く)は為替影響を除いたベースで13.1%増、営業利益率8.6%まで改善しています。
中国は既存店ベースの小売売上高が9%増となった一方、卸売の補充発注は「限定的」にとどまりました。この増収にもかかわらず、全社の営業利益は5,200万スイスフラン(前年同期6,800万スイスフランから23.5%減)、純利益は1,600万スイスフラン(前年同期比6%減)と、利益面では改善に至っていません。製造コストの増加とスイスフラン高が引き続き重荷になっています。会社は2026年通期について、「力強い増収」と「生産部門の損失の大幅な縮小・収益性の大きな改善」を見込むとの見通しを示しています。
ポルシェ記事で解説したのと同じ理屈です。PERは株価を1株あたり利益で割った数値なので、利益がほぼゼロに近づくと、株価が変わらなくても倍率だけが跳ね上がります。データ提供元によってPERの表示が数百倍〜4,000倍超までばらつくのも、分母(利益)がほぼゼロであるため、わずかな増減益の違いで倍率が大きく振れてしまうからです。「売れているのに利益が出ていない」という状態からの回復期待が、この銘柄の焦点です。
結論:スウォッチ株の買い方は実質2つ
| 方法 | 現物保有 | 必要資金の目安 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| ①サクソバンク証券で現物を買う | ◎ できる | 1株 約3万8,240円〜 | 長期で持ちたい人 |
| ②CFDで値幅を狙う | × できない | 数万円〜(レバレッジ) | 短期で売買したい人 |
なぜSBI・楽天・マネックスでは買えないのか
スウォッチが上場しているのはSIXスイス証券取引所です。米国預託証券はOTC銘柄で、楽天証券はOTC市場の銘柄について「新規の買付けは受け付けておりません」と明記しています。同じスイス企業のネスレやロシュも同じ理由で国内ネット証券では買えません。
方法①:サクソバンク証券で現物を買う
スイス株の最低手数料は5.50スイスフラン(約1,080円)。1株195.25スイスフラン(約3万8,240円)に対する手数料負担率は約2.8%で、スイス株のなかでは比較的軽い水準です。
配当利回り2.33%の実質手取りと、配当を巡るリスク
2026年5月の株主総会では、1株あたり4.50スイスフランの配当が前年と同額で承認され、減配はありませんでした。表面利回りは約2.33%ですが、ネスレ記事やロシュ記事と同じくスイスの配当源泉税は35%と欧州で最も重い水準です。条約還付を請求しない場合、実質利回りは約1.2%程度まで下がります。条約限度の10%まで還付を受けるには、スイス当局へ別途請求が必要です。詳しくは配当税の比較記事もご覧ください。
もう一点、正直に触れておきます。時価総額(約99.6億スイスフラン)と利回り(2.33%)から逆算すると、年間の配当総額はおおよそ2億3,000万スイスフラン規模になります。これに対し、2025年12月期の純利益はわずか2,500万スイスフランです。当期の利益だけでは配当を賄いきれていない計算になり、内部留保の取り崩しに頼っている可能性があります。2026年に会社の見通し通り収益性が改善しなければ、減配リスクは残ります。
買う前に知っておくべきこと
サクソバンク証券はNISAに対応していません。スイスフラン建てのため為替の影響も受けます。この銘柄は「業績回復に賭ける」性格が強く、生産部門の採算改善と中国での卸売需要の回復が計画通り進むかどうかが焦点です。純利益に対して配当負担が重い点も踏まえ、業績不振が長引く場合のリスクとして理解しておく必要があります。バーバリーやポルシェも同様に「見かけ上のPERが高いが実態は利益急減」という構造の銘柄です。
最新の株価チャートで水準を確認する
本記事の株価は2026年8月13日時点のものです。発注前に必ず最新の水準を確認してください。
よくある質問
スウォッチのPERはなぜ1,000倍を超えるほど異常なのですか?
ブランドへの高評価ではありません。2025年12月期に純利益が前年比89%減の2,500万スイスフランまで落ち込み、2026年上半期も低水準(1,600万スイスフラン、前年同期比6%減)が続いているため、PERの計算上の分母(1株あたり利益)がほぼゼロに近づき、結果として倍率だけが跳ね上がっています。データ提供元によって表示されるPERが数百倍から4,000倍超までばらつくのも、分母がほぼゼロであるため、わずかな増減益の違いで倍率が大きく振れてしまうからです。ポルシェやバーバリーと同じ構造です。
配当は今後も維持されますか?
2026年5月の株主総会では、前年と同額の1株4.50スイスフランの配当が承認され、今のところ減配はしていません。ただし、年間の配当総額(推計約2億3,000万スイスフラン)は2025年12月期の純利益(2,500万スイスフラン)を大きく上回っており、当期利益だけでは配当を賄いきれていない状態です。2026年に会社の見通し通り収益性が改善しなければ、将来的な減配リスクは残ります。
今後の業績回復のカギは何ですか?
会社は2026年通期で「生産部門の損失を大幅に縮小し、収益性を大きく改善させる」との見通しを示しています。2026年上半期は「オデマ・ピゲ」とのコラボ「Royal Pop」が話題を呼び、腕時計・宝飾品部門の増収を牽引しましたが、全社の営業利益は依然として前年割れが続いています。雇用維持のため稼働を続けてきた生産部門の採算改善と、中国での卸売需要の回復が、通期の業績を左右する焦点です。
まとめ
- スウォッチはSIXスイス証券取引所上場。米国ADRはOTC銘柄で楽天証券は新規買付不可
- 現物を持つならサクソバンク証券が実質的な選択肢。1株約3万8,240円、手数料負担は約2.8%
- 2025年12月期は純利益89%減の2,500万スイスフラン、営業利益56%減の1億3,500万スイスフラン。生産部門の不採算と中国需要の低迷が主因
- 2026年上半期は「Royal Pop」コラボで増収も、営業利益は23.5%減と利益面の改善はまだ
- PER約1,107倍は利益ほぼ消滅による見かけ上の数値。配当総額(推計約2億3,000万フラン)が純利益(2,500万フラン)を上回っており、減配リスクも残る
- NISAは使えず、配当にはスイスの源泉税35%がかかる
| こんな人は | やり方 |
|---|---|
| 1株からでも手数料負担が軽い銘柄を買いたい | サクソバンク証券で現物 |
| NISAの非課税で持ちたい | IB証券という選択肢もある(比較記事へ) |
| 短期の値動きだけ取りたい | CFD(現物保有はできない) |
この記事の検証方法
- 手数料はサクソバンク証券の公式手数料表から計算しています
- 株価・為替レートは本文記載の基準日に実測した値です
- 業績・配当は企業の公式IR資料(一次資料)のみを出典としています
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事の銘柄を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載の株価・為替レート・手数料・税制は2026年8月14日時点で確認した情報に基づいており、変更される場合があります。業績数値はスウォッチ・グループの公表資料に基づく概算です。配当総額・実質利回りは公表データから算出した概算であり、正確な数値は会社発表資料をご確認ください。実際の取引条件および税務の取扱いは、各証券会社の公式サイトおよび税務専門家にご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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