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この記事の結論
- 連続増配3年以上かつ配当性向も取得できた欧州株103社のうち、配当性向50%以下だったのは43社(41.7%)でした
- 国別ではドイツ10・イギリス9・フランス8・イタリア6・スイス5・スペイン5という結果でした
- ただし、この43社のうち配当利回りが3%を超える会社は13社だけです。増やす余裕があることと、いま受け取れる利回りの高さは、両立しにくいことが数字から見えました
- 連続増配の年数は計測上限が4年である点、銀行が入っているのはECBの配当自粛の影響を受けている可能性がある点には注意が必要です
連続増配が続いている会社を見ると、「無理をして増やしているのか、まだ余裕があって増やしているのか」が気になります。欧州株の連続増配を実測した記事では増配が続いている会社そのものを取り上げ、配当性向を実測した記事では配当性向の高さを取り上げました。この2つを組み合わせると、「増配が続いていて、かつ配当性向が低い会社」という、余裕がありそうな会社の一覧が見えてきます。
そこで、2026年9月2〜3日に取得した264銘柄のデータから、連続増配3年以上かつ配当性向も取得できた103社を対象に、配当性向が低い会社を実測しました。この記事では、その結果と、そこから見えたトレードオフについてまとめます。
実測結果——103社中43社が配当性向50%以下
連続増配年数は、各社の暦年ごとの配当合計から算出しました。取得できる履歴が5年分のため、連続年数として数えられるのは最大4年です。この条件で連続増配3年以上かつ配当性向も取得できた会社は103社ありました。
この103社のうち、配当性向が50%以下だったのは43社(41.7%)でした。配当性向が50%以下ということは、稼いだ利益のうち配当に回している割合が半分以下ということになります。増配を続けながらも、利益に対する配当の負担はまだ軽いという会社が、103社のうち4割ほどあったことになります。
国別に見ると、ドイツ10社・イギリス9社・フランス8社・イタリア6社・スイス5社・スペイン5社という結果でした。特定の国に極端に偏るというよりは、いくつかの国にまたがって分散している印象です。
配当性向が特に低い10社
43社の中でも、配当性向が特に低かった上位10社をまとめました。
| 順位 | 銘柄 | 国 | 連続増配 | 配当性向 | 利回り | 事業 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | リンツ | スイス | 4年 | 5.7% | 2.08% | チョコレート |
| 2 | ジークフリート | スイス | 4年 | 10.2% | 0.56% | 医薬品受託製造(CDMO) |
| 3 | ブッツィ | イタリア | 4年 | 14.7% | 1.78% | セメント |
| 4 | イベルドローラ | スペイン | 4年 | 15.6% | 2.81% | 電力 |
| 5 | インターパンプ | イタリア | 4年 | 17.1% | 0.97% | 産業機械 |
| 6 | プリズミアン | イタリア | 4年 | 18.2% | 0.72% | 電線・ケーブル |
| 7 | ハルマ | イギリス | 4年 | 24.1% | 0.69% | 安全・環境機器 |
| 8 | IMI | イギリス | 3年 | 25.0% | 1.14% | 流体制御 |
| 9 | イエノプティック | ドイツ | 3年 | 26.2% | 1.03% | 光学・フォトニクス |
| 10 | ダッソー・システムズ | フランス | 4年 | 27.0% | 1.22% | ソフトウェア |
業種を見ると、チョコレート・医薬品受託製造・セメント・電力・産業機械・電線・安全機器・流体制御・光学・ソフトウェアと、上位10社だけでもかなりばらばらです。特定の業種に偏っているというよりは、配当性向の低さは業種を問わず見られる、という印象です。
増やす余裕がある会社は、いま受け取れる額が小さい
ここで、正直にお伝えしておきたいことがあります。配当性向50%以下の43社のうち、配当利回りが3%を超える会社は13社だけでした。残りの30社は、利回りが3%以下ということになります。
これは、今回の実測でいちばんはっきり見えたトレードオフです。配当性向が低い会社は、稼いだ利益のうちまだ配当に回していない部分が多く、その意味で増配を続ける余地があります。しかし、その余地の分だけ、いま受け取れる配当そのものの金額は小さくなりがちです。逆に、利回りがすでに高い会社は、利益の多くをすでに配当に回しているケースが多く、これ以上増やす余地は限られやすいという傾向がありました。
「増やす余裕」と「いまの受け取り額の大きさ」は、どちらも同時に満たすのが難しい組み合わせだということが、43社という数字からうかがえます。
利回りも3%を超える13社
とはいえ、43社の中には利回り3%を超える会社も13社あります。その代表的な会社をまとめました。
| 銘柄 | 国 | 連続増配 | 配当性向 | 利回り | 事業 |
|---|---|---|---|---|---|
| クレピエール | フランス | 3年 | 39.3% | 5.03% | 商業用不動産 |
| ハノーバー再保険 | ドイツ | 3年 | 46.3% | 4.88% | 再保険 |
| ミュンヘン再保険 | ドイツ | 3年 | 44.4% | 4.58% | 再保険 |
| エッファージュ | フランス | 3年 | 43.8% | 4.48% | 建設・インフラ |
| ヘラ | イタリア | 4年 | 45.4% | 4.27% | 総合公益 |
| ビスコファン | スペイン | 4年 | 29.4% | 3.98% | 食品用ケーシング |
| レプソル | スペイン | 3年 | 34.7% | 3.93% | 石油・エネルギー |
| ウニクレディト | イタリア | 3年 | 44.7% | 3.76% | 銀行 |
| バンキンテル | スペイン | 4年 | 48.1% | 3.63% | 銀行 |
| セントリカ | イギリス | 3年 | 36.0% | 3.48% | 電力・ガス小売 |
| タランクス | ドイツ | 3年 | 35.7% | 3.06% | 保険 |
| CIEオートモーティブ | スペイン | 3年 | 32.3% | 3.02% | 自動車部品 |
| E.ON | ドイツ | 4年 | 44.1% | 3.25% | 電力・ガス |
この13社を業種で見ると、銀行が2社(ウニクレディト・バンキンテル)、再保険が2社(ハノーバー再保険・ミュンヘン再保険)と重なっているのはこの2つの業種だけで、残りは商業用不動産・建設・公益・食品・石油・電力・保険・自動車部品と、業種はばらばらです。配当性向も29%台から48%台までと幅があり、50%以下という条件のなかでも幅があることがわかります。
この数字をどこまで信じてよいか
今回の実測結果を読むうえで、あらかじめお伝えしておきたい点が4つあります。
1つ目は、連続増配年数の計測上限が4年だという点です。今回使用したデータは過去5年分の配当履歴にとどまるため、連続年数として数えられるのは最大でも4年になります。表の中で「4年」と表示されている会社は、あくまで「そこまでしか測れていない」という意味であり、「4年で増配が止まった」ということではありません。5年目以降も増配が続いているかどうかは、今回のデータだけでは分かりません。
2つ目は、銀行が含まれていることについてです。ECB(欧州中央銀行)は2020年3月から2021年9月まで、傘下の銀行に対して配当の自粛を求めていました。今回の連続増配の測定は2021年あたりを起点にしているため、その年がちょうど配当の底にあたることになります。そのため、銀行は連続年数や増配率が高く出やすいという事情があります。この記事に含まれる銀行2社(ウニクレディト・バンキンテル)についても、同じ影響を受けている可能性があります。
3つ目は、配当性向が低いことの意味についてです。配当性向が低いというのは「増配する余地がある」ことを示すものであり、「今後実際に増配する」ことを意味するわけではありません。会社は利益を配当に回さず、設備投資や自社株買いなど別の使い道に回すという選択もできます。
4つ目は、配当性向という数字そのものの性質です。配当性向は実績ベースの1時点の値であり、一時的に利益が大きかった年は、配当性向が普段より低く出ることがあります。今回の43社の中にも、そうした年に当たっていた会社が含まれている可能性は否定できません。
まとめ:43社は「買うべきリスト」ではない
- 連続増配3年以上かつ配当性向も取得できた103社のうち、配当性向50%以下は43社(41.7%)
- 国別はドイツ10・イギリス9・フランス8・イタリア6・スイス5・スペイン5
- 43社のうち利回り3%超は13社だけで、増やす余裕といまの受取額の大きさは両立しにくい
- 連続増配の計測上限は4年、銀行はECBの配当自粛の影響を受けている可能性がある
- 配当性向の低さは増配の余地を示すものであり、実際に増配するかどうかは別の話
今回まとめた43社は、「買うべき銘柄リスト」ではありません。通っているのは「連続増配3年以上」と「配当性向50%以下」という、2つの数字の条件だけです。無理をして配っているわけではない会社の一覧、というのが実際の位置づけだと思います。
今回の実測でいちばんの収穫だと感じているのは、利回りの高さと増やす余地が両立しにくいという点が、数字としてはっきり見えたことです。43社のうち13社しか利回り3%を超えていないという結果は、増配が続いている会社を探すときに、利回りの高さだけを基準にすると見落としてしまう会社が多いということを示しているのではないかと思います。
この記事の検証方法
- 今回の数値は、2026年9月2〜3日に取得した欧州株264銘柄のデータにもとづきます
- 連続増配年数は、各社の暦年ごとの配当合計から算出しました。取得できる履歴が5年分のため、連続年数として数えられるのは最大4年です
- 配当性向は同じ日に取得した実績ベースの値です
- 連続増配3年以上かつ配当性向も取得できたのは103社で、そのうち配当性向50%以下は43社でした
- 銀行が連続年数・増配率で高く出やすい背景には、ECBが2020年3月から2021年9月まで銀行に配当自粛を求めていた影響があると考えられます
- この記事の一覧は、あくまで今回対象とした264銘柄の中での集計であり、欧州の上場企業全体を代表するものではありません
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する銘柄を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の連続増配年数・配当性向・配当利回りなどは2026年9月2〜3日時点で取得した情報にもとづいており、市場の変動により変更される場合があります。特定の銘柄が割安・割高であること、あるいは今後増配が続くことを示すものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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