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この記事の結論
- 今回実測した264銘柄のうち、PERが30倍を超えていたのは42社(15.9%)でした
- 高PERには「期待が高いから高い」型と「利益が一時的に落ちているから高い」型の2種類があると考えられます
- 予想PERを並べると型がはっきり分かれます。たとえばバーバリーは実績PER183倍ですが、予想PERは27.9倍まで下がります
- スウォッチの実績PER1,054倍は他社と桁が違うため、この記事の比較からは外しています
PERが高いと聞くと「割高」という言葉が浮かびます。ですが、当サイトがPER10倍未満の欧州株を集めた記事で見たとおり、PERが低い理由は業種によってさまざまでした。同じことは高PER側にも言えるはずだと考え、今回はPERが高い銘柄だけを抜き出して顔ぶれを確認しました。
結論を先に言うと、実績PERが高いことと「割高」は同じではありません。高PERの中身を見ていくと、市場からの期待が高いために高くなっている会社と、直近の利益が一時的に小さくなっているために高くなっている会社が混ざっていました。この2つは数字の見た目は似ていても、意味はまったく違うと思います。
264銘柄中42社(15.9%)がPER30倍超——上位12社の顔ぶれ
今回実測した264銘柄のうち、PERが算出できて30倍を超えていたのは42社でした。全体に占める割合は15.9%です。このうち、PERが高い順に上位12社を並べると、次のようになりました。
| PER | 会社 | 国 | 業種 |
|---|---|---|---|
| 1,054倍 | スウォッチ | 瑞 | 時計 |
| 183倍 | バーバリー | 英 | ラグジュアリー |
| 159倍 | フェラガモ | 伊 | ラグジュアリー |
| 84倍 | VATグループ | 瑞 | 半導体製造装置部品 |
| 78倍 | ザルトリウス | 独 | バイオ医薬機器 |
| 66倍 | ツァランド | 独 | ファッションEC |
| 61倍 | インフィニオン | 独 | 半導体 |
| 53倍 | ザルツギッター | 独 | 鉄鋼 |
| 52倍 | シムライズ | 独 | 香料・美容成分 |
| 49倍 | ベリモ | 瑞 | 空調制御機器 |
| 48倍 | ポルシェ | 独 | 自動車 |
| 46倍 | シーメンス・エナジー | 独 | 発電設備 |
まず目を引くのが、上位12社中ドイツの企業が7社を占めている点です。当サイトが業種別に実測した別記事によると、PERが高くなりやすい医薬・ヘルスケアと資本財・機械はどちらもドイツの銘柄が最多でした。ドイツが多いのは、こうした業種構成と整合する観察だと考えられます。
高PERには2つの型がある——期待が高い型と、利益が一時的に落ちている型
上位12社の中身を見ていくと、高PERになっている理由は大きく2つの型に分かれると思います。
1つめは、市場からの期待が高い型です。VATグループ(半導体製造装置部品)、インフィニオン(半導体)、ザルトリウス(バイオ医薬機器)、シムライズ(香料・美容成分)、ベリモ(空調制御機器)がこれにあたります。当サイトが業種別に実測したところ、PERが最も高いのは医薬・ヘルスケア(中央値23.58倍)と資本財・機械(中央値25.24倍)の2業種でした。この5社はどちらかの業種に属しており、業種全体の水準の高さが個社のPERにも表れていると考えられます。
2つめは、直近の利益が一時的に落ちている型です。バーバリー(183倍)、フェラガモ(159倍)、ザルツギッター(53倍)、ツァランド(66倍)がこれにあたります。PERは株価を1株あたり利益で割って求める数字なので、分母の利益が小さくなれば、株価が変わらなくてもPERは大きく上がります。この4社は、そうした状態にある可能性があると考えられます。ただし、それぞれの会社の業績がなぜ落ちたのかについて、当サイトで理由を確認できているわけではないため、ここでは数字の提示にとどめます。
予想PERを並べると型が分かれる——バーバリー183倍が27.9倍に
2つの型を見分ける手がかりになるのが、予想PERです。当サイトが実績PERと予想PERを比べた記事で実測したところ、「利益が一時的に落ちている型」に挙げた会社の予想PERは、バーバリーが183倍から27.9倍、ザルツギッターが53倍から10.1倍、ツァランドが66倍から14.3倍と、いずれも実績PERから大きく下がっていました。分母の利益がアナリストの予想では回復する見込みになっている、ということだと考えられます。
一方、「期待が高い型」に挙げたVATグループやインフィニオンのような会社は、予想PERも実績PERと近い水準にとどまる傾向があります。実績PERだけを見ていると同じ「高PER」にしか見えませんが、予想PERまで並べると、両者の型がはっきり分かれます。
ここで必ず書いておきたいのは、予想PERはアナリストの予想にもとづく数字であって、確定した事実ではないということです。予想は外れます。実績PERから大きく下がる予想が出ているからといって、その通りに利益が回復すると決まったわけではありません。あくまで「市場が今どう見ているか」を示す参考値として読む必要があります。
スウォッチとポルシェは別枠で見る
上位12社の中でも、スウォッチの実績PER1,054倍は他社と桁が違います。2位のバーバリー(183倍)と比べても5倍以上の開きがあり、この記事で挙げている他の11社とは異質な数字です。当サイトはこの水準になっている理由を確認できていないため、指標として他社と比べられる状態にはないと考え、ここまでの表以外での比較からは外しています。
もう1社、気になったのがポルシェ(48倍)です。当サイトが実測した別記事によると、ポルシェの浮動株比率は6.1%と、当サイトが対象にした銘柄の中で最も低い水準でした。浮動株比率が低い、つまり市場で売買される株式が少ない銘柄は、株価指標が他の銘柄と同じようには読めない面があります。ポルシェのPERが高いことと浮動株比率が低いことの間に因果関係があるとまでは言えませんが、あわせて見ておく価値はある数字だと思います。
まとめ:PERが高いから割高、とは言えない
- 今回実測した264銘柄のうち、PER30倍超は42社(15.9%)
- 高PERには「期待が高い型」と「利益が一時的に落ちている型」の2種類がある
- 予想PERを並べると型が分かれる(バーバリーは183倍→27.9倍)。ただし予想PERは確定した事実ではない
- スウォッチの1,054倍は桁が違うため比較から除外。ポルシェの48倍は浮動株比率の低さとあわせて見ておきたい
PERが高いから割高、低いから割安——という読み方だと、どちらも外すことがあると思います。実績PERと予想PERを並べてから考えるほうが、納得できる判断に近づくのではないでしょうか。
この記事の検証方法
- PERは、2026年9月3日に株価データサイト(stockanalysis.com)から同じ日に一斉取得しました
- 対象は今回実測した264銘柄です。赤字などでPERが算出されない銘柄は集計から除外しています
- PERが30倍を超えていたのは42社でした。全体のPER中央値18.18倍は別記事の集計によるものです
- スウォッチ(実績PER1,054倍)は他社と桁が違い、指標として比較できないため、表の掲載以外の比較からは外しています。この水準になっている理由は確認できていないため推測していません
- 予想PER(バーバリー27.9倍・ザルツギッター10.1倍・ツァランド14.3倍)は予想PERを実測した別記事の集計によるもので、この記事単独の集計ではありません。予想PERはアナリストの見通しにもとづく数字であり、確定した事実ではありません。実際の結果とは異なる場合があります
- 業種別のPER中央値(医薬・ヘルスケア23.58倍、資本財・機械25.24倍)は業種別に実測した別記事の集計によるものです
- ポルシェの浮動株比率6.1%は別記事の集計によるもので、PERとの因果関係を示すものではありません
- 各社の業績が変動した理由について、当サイトが個別に確認・推測した内容は含んでいません
- この記事の業種分類は当サイトが独自に付けたもので、公式の産業分類とは異なる場合があります
- この記事の数値は今回実測した264銘柄に限った集計であり、欧州市場全体を代表するものではありません
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する銘柄を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載のPERは2026年9月3日時点で取得した情報にもとづいており、市場の変動により変更される場合があります。特定の銘柄が割安・割高であることを示すものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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