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この記事の結論
- 2026年9月3日、欧州のIT・ソフト関連8社を実測しました。PERの中央値は22.74倍、配当利回りの中央値は1.93%です
- 8社中5社はITサービス・コンサルティング企業です。自社製品を消費者に売るのではなく、企業のシステムを作って運用する商売が中心でした
- 8社中6社が配当を出しており、配当性向の中央値は36%です
- PERは13.35倍から65.63倍まで約5倍の開きがあり、受託型は低く、EC・成長型は高い傾向が見えました
「欧州にはGAFAMがない」とはよく言われますし、これは事実だと思います。検索・SNS・スマートフォンOSのような消費者向けプラットフォームを、欧州発の企業が握っている場面はほとんどありません。当サイトでも半導体株の買い方マップの記事で、欧州が強いのは川上の製造装置や素材であって、川下の完成品ではないという実測結果を書きました。ITやソフトウェアの分野でも、同じような「欧州らしさ」があるのではないかと考えました。
そこで、欧州のIT・ソフト関連企業から8社を選び、2026年9月3日にPER・配当利回り・配当性向を実測しました。「GAFAMがない」というのは事実として認めたうえで、では欧州のIT・ソフト株は実際に何をしている会社なのかを、数字で確かめてみます。
欧州のIT・ソフト株を実測した結果——8社中5社が受託・コンサルティング型
今回実測した8社を、PERが低い順に並べるとこうなりました。
| 会社 | 国 | 配当利回り | PER | 配当性向 | 事業 |
|---|---|---|---|---|---|
| キャップジェミニ | 仏 | 3.24% | 13.35倍 | 41% | ITサービス・コンサルティング |
| レプライ | 伊 | 1.13% | 17.58倍 | 19% | ITコンサルティング |
| ベヒトレ | 独 | 1.93% | 18.30倍 | 36% | ITシステム・サービス |
| アマデウス | 西 | 2.19% | 18.54倍 | 48% | ITサービス(旅行予約) |
| ダッソー・システムズ | 仏 | 1.22% | 22.74倍 | 27% | ソフトウェア(設計) |
| インドラ | 西 | 0.40% | 24.23倍 | 10% | 防衛・IT |
| ネットカンパニー | 丁 | 無配 | 34.94倍 | — | ITサービス |
| ツァランド | 独 | 無配 | 65.63倍 | — | ファッションEC |
8社のうち、キャップジェミニ・ベヒトレ・レプライ・インドラ・ネットカンパニーの5社はITサービス・コンサルティングに分類できる会社です。自社の製品を消費者に売るのではなく、企業や政府のシステムを作り、運用まで請け負う商売が中心だと考えられます。国の内訳は独2・仏2・西2・伊1・丁1で、特定の一国に偏っているわけでもありませんでした。
プラットフォームではなく、企業の業務に組み込まれるソフトが中心
受託・コンサルティング以外の3社を見ても、消費者向けプラットフォームとは性格が違います。ダッソー・システムズは設計ソフトで、製造業が製品の3Dモデルを作るために使う業務ソフトです。アマデウスは旅行の予約システムで、航空会社や旅行代理店が裏側で使うインフラに近い存在です。どちらも一般消費者が直接アプリを開いて使うようなサービスではなく、企業の業務に組み込まれて動いている点が共通していると思います。
8社の中で消費者向けのサービスに一番近いのは、ファッションECのツァランドです。逆に言えば、今回実測した8社のうち消費者向けと呼べるのは1社だけで、残りの7社は企業や政府を相手にする商売でした。「欧州のIT株」とひとくくりにするより、受託・業務ソフト・消費者向けの3つに分けて見たほうが実態に近いはずです。
配当を出す会社が多い——配当性向の中央値は36%
今回実測した8社のうち、配当を出しているのは6社で、配当性向の中央値は36%です。最も高いアマデウスは48%、最も低いインドラは10%と幅はありますが、無配なのはネットカンパニーとツァランドの2社にとどまりました。企業向けにシステムやサービスを提供する商売は、消費者向けの派手な成長よりも利益が安定しやすく、その分を配当として株主に戻す会社が多いのではないかと思います。米国のテック企業がどの程度配当を出しているかは当サイトで実測していないため比較はできませんが、少なくとも今回実測した欧州のIT・ソフト株については、配当を出す会社のほうが多数派でした。
PERの幅は13.35倍から65.63倍まで——受託型は低く、EC・成長型は高い
8社のPERを並べると、最も低いキャップジェミニの13.35倍から、最も高いツァランドの65.63倍まで約5倍の開きがあります。低いほうに並ぶのは受託・コンサルティング型の会社で、高いほうに並ぶのはネットカンパニーやツァランドのように、まだ利益の規模が小さく成長を織り込まれている会社です。
ツァランドの実績PER65.63倍は、他社と比べてかなり高い数字に見えます。ただし、実績PERと予想PERを比べた別記事の実測では、ツァランドの予想PERは14.3倍でした。これは市場が今後の大幅な増益を見込んでいるという意味であり、アナリストの予想にもとづく数字で、予想は外れることもあります。実績PERが高いことも、予想PERが低いことも、どちらも一つの見方として受け止めるべきで、どちらかだけを根拠に判断するのは危ういと思います。
まとめ:欧州のIT株は「受託と業務ソフト」の性格が強い
- 2026年9月3日に実測した結果、PERの中央値は22.74倍、配当利回りの中央値は1.93%(8社)
- 8社中5社がITサービス・コンサルティング企業で、企業のシステムを作って運用する商売が中心
- ダッソー・システムズ(設計ソフト)やアマデウス(旅行予約システム)のように、消費者向けプラットフォームではなく企業の業務に組み込まれるソフトが目立つ
- 8社中6社が配当を出しており、配当性向の中央値は36%
- PERは13.35倍〜65.63倍で約5倍の開き。受託型は低く、EC・成長型は高い
欧州のIT株を「米国のテック株の欧州版」と思って見ると、期待がずれると思います。何をしている会社なのかを見てから判断するほうが、納得しやすいはずです。
この記事の検証方法
- 調査日は2026年9月3日です。PER・配当利回り・配当性向は、株価データサイト(stockanalysis.com)から機械的に取得しました
- 対象はIT・ソフト関連企業から選んだ8社です。欧州のIT・ソフト業界全体を代表するものではありません
- 米国のテック企業の数値は、当サイトで実測していないため本記事には記載していません。米国との比較は数値ではなく観察の範囲にとどめています
- ツァランドの予想PER14.3倍は実績PERと予想PERを比べた別記事の実測によるもので、アナリスト予想にもとづく数字です。予想は外れることもあるため、事実として断定していません
- 配当性向は、無配の銘柄については算出せず「—」としています
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する銘柄を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載のPER・配当利回り・配当性向は2026年9月3日時点で取得した情報にもとづいており、市場の変動により変更される場合があります。特定の銘柄が割安・割高であることを示すものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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