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この記事の結論
- 欧州の運輸・物流株17社を、2026年9月3日に同じ日で一斉に実測しました。中央値は利回り2.19%・PER17.68倍・配当性向47%です
- 空港運営会社が4社入っていて、うち3社が利回り上位でした(アエナ4.16%・チューリッヒ空港4.11%・パリ空港3.57%)
- 空港は場所を独占し、料金が規制で決まる商売だと考えられます。公益に近い性格を持っていて、同じ「運輸」でも航空会社とは中身が違うと感じました
- 航空会社は無配と高利回りに割れます。ルフトハンザは利回り4.34%で全体最高、一方でエールフランスKLMとアルストムは無配でした
当サイトでは業種別に配当利回りを実測した記事で、複数の業種を横並びで比較しました。あの記事で最後まで残っていたのが「運輸・物流」で、17社と最も多くの銘柄が含まれています。ただ、この17社を眺めると、空港・航空・海運・鉄道・物流という性格の異なる事業が同じ枠に入っていることに気づきました。
そこで、運輸・物流に分類される17社だけを取り出し、2026年9月3日に株価データサイト(stockanalysis.com)からPER・配当利回り・配当性向を同じ日で一斉に取得し直しました。ひとことで「運輸株」とまとめるより、事業の種類ごとに見たほうが実態がつかめるのではないかと考えたからです。
実測結果——17社の中央値は利回り2.19%・PER17.68倍
まず、今回実測した17社を一覧にしました。利回りの高い順に並べています。
| 会社 | 国 | 利回り | PER | 配当性向 | 事業 |
|---|---|---|---|---|---|
| ルフトハンザ | 独 | 4.34% | 13.61倍 | 60% | 航空 |
| アエナ | 西 | 4.16% | 17.24倍 | 74% | 空港運営 |
| チューリッヒ空港 | 瑞 | 4.11% | 18.01倍 | 62% | 空港運営 |
| パリ空港 | 仏 | 3.57% | 17.68倍 | 63% | 空港運営 |
| DHLグループ | 独 | 3.44% | 16.92倍 | 57% | 物流・郵便 |
| キューネ・アンド・ナーゲル | 瑞 | 2.81% | 29.33倍 | 83% | 国際物流 |
| CAF | 西 | 2.25% | 14.38倍 | 27% | 鉄道車両・バス |
| D/Sノルデン | 丁 | 2.19% | 10.88倍 | 24% | 海運 |
| マースク | 丁 | 2.19% | 20.73倍 | 47% | 海運 |
| インターロール | 瑞 | 2.13% | 23.96倍 | 49% | 物流搬送機器 |
| イージージェット | 英 | 1.96% | 12.43倍 | 24% | 格安航空 |
| クノールブレムゼ | 独 | 1.93% | 28.24倍 | 52% | 鉄道・商用車ブレーキ |
| ボサード | 瑞 | 1.73% | 20.16倍 | 34% | 締結部品・生産物流 |
| フラポート | 独 | 1.59% | 14.85倍 | 24% | 空港運営 |
| DSV | 丁 | 0.51% | 43.50倍 | 25% | 物流 |
| アルストム | 仏 | 0.00% | 26.38倍 | 14% | 鉄道車両・信号システム |
| エールフランスKLM | 仏 | 0.00% | 2.86倍 | 6% | 航空 |
国の内訳はスイス4社・ドイツ4社・フランス3社・デンマーク3社・スペイン2社・イギリス1社です。17社という数の割に、事業の中身は空港運営・航空・海運・鉄道車両・物流と幅広く分かれています。表の上から順に見ていくと、利回りの高いほうに空港運営会社が並んでいることに気づきます。
空港4社が利回り上位に入りました
今回の表には空港運営会社が4社入っています。アエナ・チューリッヒ空港・パリ空港・フラポートです。このうちアエナ(4.16%)・チューリッヒ空港(4.11%)・パリ空港(3.57%)の3社が、利回り上位に入りました。フラポートは1.59%で他の3社より低く、4社が一様に高いわけではありません。
空港は、その土地でしか離着陸できないという意味で場所を独占する商売です。また、着陸料などの料金は規制で決まる仕組みになっていると考えられます。その性格は、当サイトで以前取り上げた公益株(電力・ガス・水道)に近いのではないかと思います。同じ「運輸」というくくりでも、次に見る航空会社とは事業の性格がまるで違うということです。なお、各国で空港の料金規制がどのような制度になっているかまでは、今回確認していません。
航空会社は無配と高利回りに割れる
今回の17社のうち、航空会社にあたるのはルフトハンザ・イージージェット・エールフランスKLMの3社です。ルフトハンザは利回り4.34%で17社の中で最も高く、イージージェットも1.96%と中央値に近い水準でした。一方で、エールフランスKLMは無配です。同じ航空会社でも、配当については両極端に分かれています。
エールフランスKLMはPERも2.86倍と、17社の中で際立って低い数値でした。ただし、この数値だけを見て「割安」と判断するのは早計だと思います。自動車株を実測した記事でも触れましたが、業績の振れが大きい業種の低PERは、必ずしも割安の証拠にはなりません。今回はPERと利回りの数値を提示するにとどめ、なぜエールフランスKLMだけが極端に低いのか、その理由の推測はしません。
もう1社、無配だったのが鉄道車両・信号システムのアルストムです。配当性向も14%と17社の中で低いほうに位置しています。こちらも無配の理由については、今回のデータからは推測しないでおきます。
物流と海運は同じ「運輸」でも中身が違う
物流にあたる会社は、DHLグループ・キューネ・アンド・ナーゲル・DSVの3社です。DHLグループは利回り3.44%・PER16.92倍、キューネ・アンド・ナーゲルは利回り2.81%・PER29.33倍、DSVは利回り0.51%・PER43.50倍でした。同じ物流という事業でも、利回りは3社で6倍以上、PERは2倍以上の開きがあります。物流とひとことで言っても、事業のかたちや評価のされ方は会社によって異なると感じます。
海運にあたるのはマースクとD/Sノルデンの2社です。どちらも利回りは2.19%と中央値に並びますが、配当性向はマースクが47%、D/Sノルデンが24%で、利益の半分以下しか配当に回していません。当サイトが自社株買いを実測した記事で確認したところ、マースクは発行済株式数を前年比5.95%減らしていました。配当ではなく、自社株買いのほうに利益を回している例のひとつだと考えられます。
鉄道車両・部品まわりでは、CAF・クノールブレムゼ・ボサード・インターロールの4社があります。利回りは1.73%から2.25%の範囲に収まっていますが、PERは14.38倍から28.24倍まで開きがあり、こちらも一様ではありません。
まとめ:「運輸株」でひとくくりにしない
- 今回実測した17社の中央値は利回り2.19%・PER17.68倍・配当性向47%(2026年9月3日時点)
- 空港運営会社は4社中3社が利回り上位(アエナ4.16%・チューリッヒ空港4.11%・パリ空港3.57%)で、場所の独占と規制料金という公益に近い性格を持つと考えられます
- 航空会社は無配と高利回りに割れます(ルフトハンザ4.34%とエールフランスKLM無配)
- 物流・海運・鉄道関連は、同じ枠に入っていても会社ごとに利回り・PER・配当性向がばらばらでした
「運輸株」という区分だけで銘柄を選ぶより、空港なのか、航空会社なのか、物流会社なのかを見たほうが、事業の性格がつかみやすいと思います。同じ業種名がついていても、中身は会社ごとに違うということを、今回の実測データから感じました。
この記事の検証方法
- PER・配当利回り・配当性向は、2026年9月3日に株価データサイト(stockanalysis.com)から機械的に取得しました。17社をすべて同じ日に取得し直しているため、横並びで比較できます
- 対象は、業種別実測の記事で運輸・物流に分類していた17社です
- 中央値(利回り2.19%・PER17.68倍・配当性向47%)は、17社の数値を小さい順に並べた際の中央の値です
- この記事の数値は今回対象にした17社に限った集計であり、欧州の運輸・物流業界全体を代表するものではありません。旅客数や貨物量といった業界動向のデータは、今回確認していないため扱っていません
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する銘柄を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載のPER・配当利回り・配当性向は2026年9月3日時点で取得した情報にもとづいており、市場の変動により変更される場合があります。特定の銘柄が割安・割高であることを示すものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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