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この記事の結論
- フランス0.4%・イタリア0.2%・スペイン0.2%・イギリス0.5%の4か国だけ、欧州株を買うときに金融取引税・印紙税がかかります。売るときにはかかりません
- この税は取引手数料とは別に上乗せされます。フランスの大型株では、手数料の4倍を超える金額になります
- ドイツ・スイス・デンマークには、この種の買付税の記載がありません
- サクソバンク証券の明細にこの税がどう表示されるかは、当サイトでは確認できていません。法律上は注文を執行した業者が納税義務者とされているため、海外の証券会社経由でもかかる仕組みです
欧州株を買ったあと、明細に見覚えのない項目が引かれていた、という経験はないでしょうか。取引手数料の欄とは別に、もう一段小さな金額が引かれていることがあります。これは手数料の計算ミスでも、証券会社の追加料金でもなく、買うときにだけかかる税金である可能性があります。
結論から言うと、フランス・イタリア・スペイン・イギリスの4か国には、欧州株を買うときに課される金融取引税・印紙税があります。売るときにはかかりません。そして、この税は取引手数料と比べてかなり大きく、フランスの大型株では手数料の4倍を超えます。手数料表だけを見て「安い」と判断すると、この税の分だけ想定より高くつく、ということが起こり得ます。
先にお断りしておくと、本記事は制度の一般的な説明であり、税務アドバイスではありません。以下の税率・条件は2026年9月11日に一次資料で確認した内容ですが、実際の取引にあたっては、お取引の証券会社や税理士にご確認ください。
買うときの税と、配当の税は別物
先に線を引いておきます。この記事で扱うのは、株式を買うときにかかる税金です。一方、配当を受け取るときにかかる現地の源泉税は、まったく別の制度です。どちらも「欧州株にかかる税金」ではありますが、課税されるタイミングも、根拠となる法律も異なります。
配当にかかる現地源泉税については、配当税を国別に比較した記事で扱っています。この記事では、買うときの税だけに絞って見ていきます。
4か国の買付税——率・対象・根拠
サクソバンク証券の取引概要「課税について(市場別)」には、フランス・イタリア・スペイン・イギリスの4か国について、買付税の記載があります。それぞれの税の中身を、各国の一次資料で確認しました。
| 国 | 税の名前 | 率 | かかる条件 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| フランス | 金融取引税 (Taxe sur les transactions financières) | 0.4% (2025年4月1日以降の取得。それ以前は0.3%) | フランスに本社があり、前年12月1日時点の時価総額が10億ユーロを超える会社の株式を取得するとき。注文を執行した業者が、所在地を問わず納税義務者(海外の証券会社経由でもかかる) | BOFIP(2025年財政法第98条による引き上げ) CGI第235 ter ZD条 |
| イタリア | 金融取引税 (Imposta sulle transazioni finanziarie) | 規制市場での取得0.2% (2026年1月1日以降。2026年予算法で0.1%→0.2%に倍増。規制市場外は0.4%) | 時価総額5億ユーロ超のイタリア企業の株式。除外される小型企業の一覧を財務省(MEF)が毎年公表 | MEF「Principali misure della legge di bilancio 2026」 Agenzia delle Entrate |
| スペイン | 金融取引税 (Impuesto sobre las Transacciones Financieras) | 0.2% | 前年12月1日時点で時価総額10億ユーロ超のスペイン企業の株式の取得。対象企業一覧をAEATが毎年公表 | Ley 5/2020(BOE) AEAT |
| イギリス | 印紙税予約税 (Stamp Duty Reserve Tax) | 0.5% (1ペニー単位に四捨五入) | 英国企業の株式を電子取引で買うとき。買いのみ。売りにはかからない。自動で徴収される | gov.uk「Tax when you buy shares」 |
4か国に共通するのは、買うときだけかかり、手数料とは別枠で上乗せされる点です。対象の絞り方には違いがあり、フランスとスペインは時価総額10億ユーロ超の大型株に限られ、イタリアは5億ユーロ超が対象です。イギリスだけは、規模を問わず英国企業の株式すべてが対象になります。
手数料と並べると何倍か
率だけを見ると小さく感じるかもしれませんが、取引手数料と並べてみると印象が変わります。サクソバンク証券の公式手数料表(クラシック口座・2026年8月19日版)をもとに、買うときにかかる合計を並べました。
| 国 | 取引手数料(片道) | 買付税 | 買うときの合計 |
|---|---|---|---|
| フランス(大型株) | 0.088%(最低2.2ユーロ) | 0.4% | 約0.49% |
| イギリス | 0.088%(最低3.3ポンド) | 0.5% | 約0.59% |
| イタリア | 0.132%(最低5.5ユーロ) | 0.2% | 約0.33% |
| スペイン | 0.132%(最低5.5ユーロ) | 0.2% | 約0.33% |
| ドイツ | 0.088%(最低3.3ユーロ) | なし | 0.088% |
| スイス | 0.132%(最低5.5フラン) | なし | 0.132% |
| デンマーク | 0.132%(最低38.5クローネ) | なし | 0.132% |
この表でいちばん伝えたいのは、買付税は取引手数料の2〜6倍になるという点です。フランスは手数料そのものが0.088%ともっとも軽い部類の国ですが、対象になる大型株を買うと、税を足した合計はドイツの5倍以上になります。「フランスは手数料が安い」というのは、買付税を含めない場合の話にとどまります。
具体的な金額で見てみます。1万ユーロ分のLVMH株を買うと、手数料は8.8ユーロ、買付税は40ユーロです。手数料だけを見ていると、この40ユーロは想定外の出費になります。
かからない国——ドイツ・スイス・デンマーク
サクソバンク証券の取引概要には、ドイツ・スイス・デンマーク・オランダ・スウェーデンについて、この種の買付税の記載がありません。上の表でも、この3か国は買付税の欄が「なし」になっています。同じ欧州株でも、どの国の会社を買うかによって、買うときのコストの構造が変わるということになります。
なお、配当は別の話です。サクソバンク証券の取引概要には、配当は「適用される源泉税を差し引いて」入金される、とも記載されています。買付税がかからない国でも、配当には現地の源泉税がかかりますので、配当税を国別に比較した記事もあわせてご確認ください。
この税は取り戻せない。だから買う回数で効いてくる
買付税には、配当の源泉税のような還付の手続きがありません。売るときにはかからず、取り戻す仕組みもないため、買った時点で確定するコストです。
この性質を踏まえると、影響の大きさは投資のスタイルによって変わります。一度買ってから長く持ち続けるのであれば、買付税がかかるのは最初の1回だけです。一方、同じ銘柄を何度も買い増ししたり、売買を頻繁に繰り返したりする場合は、そのたびに税がかかるため、積み重なった影響は大きくなります。
サクソバンク証券の明細にこの税が実際にどう表示されるのかは、当サイトでは確認できていません。「必ず引かれる」と言い切ることはできませんが、フランスの一次資料には、注文を執行した業者が所在地を問わず納税義務者になる、と明記されています。つまり法律上は、海外の証券会社を経由してもかかる仕組みになっています。実際の表示のされ方は、お取引の証券会社にご確認いただくのが確実だと思います。
まとめ:買付税は4か国だけ、でも侮れない大きさ
- 買付税があるのはフランス0.4%・イタリア0.2%・スペイン0.2%・イギリス0.5%の4か国。買うときだけかかり、売るときにはかからない
- フランス・スペインは時価総額10億ユーロ超、イタリアは5億ユーロ超の大型株が対象。イギリスは規模を問わず対象
- ドイツ・スイス・デンマークには買付税の記載がない
- 買付税は取引手数料の2〜6倍。1万ユーロのLVMH株なら、手数料8.8ユーロに対し税は40ユーロ
- 買付税に還付の手続きはなく、取り戻せない。長期保有なら最初の1回だけだが、頻繁な売買では積み重なる
今回調べていちばん驚いたのは、手数料だけ見て国を選ぶと順位が入れ替わるという点でした。フランスは手数料表だけ見れば最も軽い部類に入りますが、対象になる大型株を買う場面では、税を足すとドイツの5倍以上のコストになります。「フランスは安い」と思い込んでいたのは、正直に言うと筆者も同じだったと思います。
筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しており、個別株を頻繁に売買することはあまりありません。そのため、この買付税を強く意識する場面は多くないというのが実感です。ただ、買付税は「1回だけ・取り戻せない・売りにはかからない」性質なので、長く持つつもりであれば過度に気にしすぎなくてもよいのではないかと思います。一方で、同じ銘柄を短い間隔で売買するスタイルの方にとっては、率の数字以上に効いてくるコストだと思います。
この記事の検証方法
- サクソバンク証券の取引概要「課税について(市場別)」を公式サイトで2026年9月11日に当サイトが確認しました
- フランスの制度は、BOFIP(2025年財政法第98条による引き上げ)およびCGI第235 ter ZD条を、legifranceをもとに2026年9月11日に当サイトが確認しました
- イタリアの制度は、財務省(MEF)「Principali misure della legge di bilancio 2026」およびAgenzia delle Entrateの公式情報を2026年9月11日に当サイトが確認しました
- スペインの制度は、Ley 5/2020(BOE)およびAEATの公式情報を2026年9月11日に当サイトが確認しました
- イギリスの制度は、gov.uk「Tax when you buy shares」を2026年9月11日に当サイトが確認しました
- 手数料の数字は、サクソバンク証券の公式手数料表(クラシック口座・2026年8月19日版)を使用しています
- サクソバンク証券の明細にこの税が実際にどう表示されるかは、当サイトでは確認できていません。お取引される証券会社に個別にご確認ください
- 手数料の記事と総コストの記事には、本記事の公開にあわせて買付税の記載を反映しました
- 本記事は制度の一般的な説明であり、税務アドバイスではありません。実際の取引にあたっては、税理士やお取引の証券会社にご確認ください
- 記載の税率・条件は2026年9月11日時点のものです。将来変更される可能性があるため、お取引の前に必ず最新情報をご確認ください
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。本記事は制度の一般的な説明であり、税務アドバイスではありません。記載の金融取引税・印紙税の税率、対象、条件は2026年9月11日に当サイトが一次資料で確認した内容にもとづいており、制度の変更により内容が変わる場合があります。サクソバンク証券の明細への実際の表示のされ方については、お取引される証券会社に個別にご確認ください。個別の取引・税務判断については、税理士や現地当局に必ずご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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