※本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれます。
この記事の結論
- 欧州株206銘柄の浮動株比率(自由に売買できる株の割合)を実測したところ、平均は70.2%でした(2026年8月29日時点)
- 国別ではイギリス91.3%に対しスペイン50.8%と、40ポイント以上の差がありました
- 浮動株が少ない銘柄の上位には、同族の資産管理会社や財団、親会社が株式の大半を握る企業が並びます
- 浮動株が少ないことは良し悪しではなく性格の違いです。買う前には出来高を確認することをおすすめします
「欧州企業は創業家や財団が株を握っていて、日本の株のように自由に売買できる部分が少ない」。そう聞いたことがある方もいるかもしれません。よく言われる話ですが、実際にどのくらいの比率なのか、数字で見た記事はあまり見かけません。
そこで今回、当サイトが記事化している欧州株について、浮動株比率(発行済株式のうち、自由に売買できる株の割合)を全件実測しました。結果、国によってはっきりとした差が出ました。この記事では、その実測データを3つの表で示しながら、浮動株比率という指標をどう読めばよいかを整理します。
欧州株206銘柄の浮動株比率を実測:平均70.2%
2026年8月29日、当サイトが記事化している欧州株について、株価データサイト(stockanalysis.com)の統計ページから発行済株式数と浮動株数(Float)を機械的に取得し、浮動株比率=浮動株数 ÷ 発行済株式数を計算しました。今回、数値を取得できたのは206銘柄です。
206銘柄の分布は次のとおりです。
| 浮動株比率 | 社数 |
|---|---|
| 30%未満 | 16社 |
| 30〜50% | 40社 |
| 50〜70% | 34社 |
| 70〜90% | 53社 |
| 90%以上 | 63社 |
平均は70.2%で、90%以上の銘柄が63社ともっとも多い一方、30%未満の銘柄も16社ありました。単純平均だけを見ると「大半の株はほぼ自由に売買できる」という印象になりますが、分布を見ると裾野に一定数の「発行済株式の大半を、限られた株主が握る企業」が存在することが分かります。
ここでひとつ、大事な注意点があります。浮動株の定義と算出方法は、データ提供元による目安です。厳密な株主構成の開示ではなく、機関の推計が含まれます。また、今回の集計はあくまで今回実測した206銘柄に限ったものであり、欧州市場全体を代表する数字ではありません。この点を踏まえたうえで、傾向として読んでいただければと思います。
国で驚くほど違う浮動株比率:イギリス91.3%、スペイン50.8%
今回の実測でもっとも興味深かったのが、国別に平均を出したときの差です。7か国について、浮動株比率の平均を並べました。
| 国 | 平均浮動株比率 | 社数 |
|---|---|---|
| イギリス | 91.3% | 40社 |
| デンマーク | 80.6% | 15社 |
| スイス | 79.8% | 30社 |
| フランス | 74.4% | 29社 |
| ドイツ | 59.9% | 35社 |
| イタリア | 52.4% | 31社 |
| スペイン | 50.8% | 26社 |
イギリスとスペインで40ポイント以上の差があります。同じ「欧州株」とひとくくりにされがちですが、株主構成の傾向はまったく違うようです。イギリスは機関投資家が広く分散して株式を持つ市場とされ、南欧やドイツは同族企業や財団による所有が根強い文化があるとよく説明されます。ただし、当サイトはこの背景を学術的に検証したわけではないので、「そう説明されることが多い」という位置づけで受け取ってください。
なお、大型株と中型株どちらから始めるかを比較した記事でも触れましたが、中型株は情報開示が薄く、創業家が経営に残っているケースが目立ちます。浮動株比率の低さは、その傾向とも重なっている印象です。
こうした国ごとの違いを踏まえて銘柄を選びたい場合、日本からはサクソバンク証券であれば主要な欧州の取引所を横断して個別株を取引できます。
浮動株比率が低い10社:同族・財団・親会社が握る欧州企業
今回の実測206銘柄のうち、浮動株比率がもっとも低かった10社です。
| 比率 | 会社 | 国 | 業種 |
|---|---|---|---|
| 6.4% | ヘラ | イタリア | 総合公益 |
| 15.9% | アリストン | イタリア | 給湯・暖房機器 |
| 18.2% | プロセグール | スペイン | 警備・現金輸送 |
| 22.9% | タランクス | ドイツ | 保険 |
| 23.8% | ゲスタンプ | スペイン | 自動車部品 |
| 24.3% | ホッホティーフ | ドイツ | 建設 |
| 24.6% | シクスト | ドイツ | レンタカー・モビリティ |
| 26.0% | CIEオートモーティブ | スペイン | 自動車部品 |
| 27.1% | フィールマン | ドイツ | メガネ小売 |
| 27.7% | サンロレンツォ | イタリア | 高級ヨット |
この中には、当サイトが個別に記事化している銘柄もあります。シクストは、創業家の資産管理会社が普通株の58.3%を保有していることを当サイトの実測で確認しています。タランクスは、大手再保険会社ハノーバー再保険の親会社にあたる構造を持つ企業です。フィールマンとホッホティーフについても、当サイトの個別記事で支配株主の存在を確認しています。
反対に、浮動株比率がほぼ100%だった銘柄もあります。ABB、ウニクレディト、ドイツ取引所、フィネコバンク、ソシエテジェネラル、ロンザです。同じ欧州の大型株でも、株主構成の姿はここまで違います。
浮動株が少ないのは「性格」であって良し悪しではない
浮動株が少ない、つまり創業家や財団、親会社が株式の大半を握っているという状態は、良い悪いで採点できるものではないと筆者は考えています。むしろ、その企業の「性格」を表す情報として読むのが実用的です。
良い面としては、支配株主が短期の株価より長期の事業を優先しやすいとされ、敵対的買収の対象にもなりにくいと言われます。一方で悪い面もあります。少数株主の意見が議決権に反映されにくいこと、そして市場に出回る株式が少ないぶん、出来高が薄く、売買したいときにすぐ売買できないことがあることです。値動きも、流動性の高い銘柄と比べて荒くなりやすい傾向があります。
つまり、浮動株比率は「長期安定と引き換えに、流動性と株主としての発言力を差し出す」というトレードオフを映す数字です。どちらが優れているという話ではなく、投資する側がその性格を理解したうえで選ぶかどうかの問題だと思います。
実務的な使い方:買う前に出来高を見る
ここまでの実測を踏まえて、実務的に使える視点をひとつ挙げます。浮動株比率が低い銘柄を検討するときは、注文を出す前に出来高(1日あたりの売買される株数)を確認しておくことです。市場に出回っている株式そのものが少ないため、少額の注文でも株価が動きやすく、指値と実際の約定価格がずれることがあります。
反対に、浮動株比率がほぼ100%の銘柄は、機関投資家を含め幅広い株主に株式が分散しているぶん、出来高も比較的安定している傾向があります。今回の実測で分かったのは、こうした違いが銘柄ごと、国ごとにはっきり存在するということです。個別株を選ぶときの一つの判断材料として、覚えておいて損はないと思います。
まとめ:浮動株比率は、株価の動き方を左右する
- 欧州株206銘柄を実測すると、浮動株比率の平均は70.2%だが、国によって大きく違う(英91.3%〜西50.8%)
- 浮動株比率が低い銘柄には、同族の資産管理会社や財団、親会社が株式の大半を握る企業が並ぶ
- 浮動株が少ないことは良し悪しではなく、長期安定と引き換えに流動性と発言力を差し出す「性格」である
- 浮動株比率が低い銘柄を検討するときは、買う前に出来高を確認する
「誰が持っている会社か」は、業績と同じくらい株価の動き方を決めていると思います。
この記事の検証方法
- 浮動株比率は、2026年8月29日に、当サイトが記事化している欧州株について、株価データサイト(stockanalysis.com)の統計ページから発行済株式数と浮動株数(Float)を機械的に取得し、浮動株数 ÷ 発行済株式数で算出しました
- 数値を取得できたのは206銘柄です。取得できなかった銘柄は集計から除外しています
- 浮動株の定義と算出方法はデータ提供元による目安であり、厳密な株主構成の開示ではありません。また、今回の集計は当サイトが取り上げた銘柄に限ったものであり、欧州市場全体を代表するものではありません
- シクストの株主構成(普通株の58.3%)は、当サイトの個別記事で実測した数値です
- タランクス・フィールマン・ホッホティーフの支配株主に関する記載は、当サイトの個別記事での確認にもとづきます
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する個別銘柄を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
あわせて読みたい
免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の浮動株比率・分布・各社の数値は本文記載の時点で確認した情報にもとづいており、データ提供元の定義や取得方法によって変動する可能性があります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

コメント