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この記事の結論
- 2026年9月3日、欧州の航空・防衛関連10社の配当利回り・PER・配当性向を実測しました。配当利回りの中央値は1.22%、PERの中央値は28.90倍です
- 10社すべてが配当利回り2.05%以下で、中央値1.22%は当サイトが実測したどの業種よりも低い水準です。高配当を探している方には向かない業種だと思います
- PER中央値28.90倍は、資本財・機械(25.24倍)や医薬・ヘルスケア(23.58倍)よりも高い数字です
- 配当性向の中央値は45%で中位です。利回りが低いのは「配らないから」ではなく「株価が高いから」だと考えられます
欧州には、BAEシステムズやエアバス、ラインメタルなど、航空・防衛の分野で名前の知られた企業がいくつもあります。防衛費の見通しや受注の動きについては別記事で扱っているので、この記事ではそちらには触れません。ここで見るのは、あくまで2026年9月3日時点で実測した配当利回り・PER・配当性向の数字です。
対象は防衛メーカーだけでなく、エアバスのような航空機メーカー、MTUエアロエンジンズ・サフラン・ロールス・ロイスといった航空エンジンメーカーまで含めた10社です。業種としてのくくりを広げることで、「航空・防衛株は配当の面でどんな性格を持つ業種なのか」が見えやすくなると考えました。
配当利回り1.22%——実測10社すべてが2.05%以下
まず結果を一覧で見ていただくのが早いと思います。今回実測した10社を、配当利回りが高い順に並べました。
| 会社 | 国 | 利回り | PER | 配当性向 | 事業 |
|---|---|---|---|---|---|
| キネティック | 英 | 2.05% | 24.41倍 | 45% | 防衛技術サービス |
| BAEシステムズ | 英 | 1.68% | 28.90倍 | 52% | 防衛 |
| タレス | 仏 | 1.64% | 32.66倍 | 54% | 防衛エレクトロニクス |
| エアバス | 仏 | 1.54% | 26.13倍 | 57% | 航空機 |
| レオナルド | 伊 | 1.22% | 26.16倍 | 32% | 防衛 |
| MTUエアロエンジンズ | 独 | 1.05% | 19.86倍 | 21% | 航空エンジン |
| サフラン | 仏 | 1.02% | 35.61倍 | 36% | 航空エンジン |
| ラインメタル | 独 | 0.98% | 41.38倍 | 75% | 防衛 |
| ロールス・ロイス | 英 | 0.75% | 40.33倍 | 26% | 航空エンジン |
| バブコック・インターナショナル | 英 | 0.66% | 24.31倍 | 16% | 防衛・原子力サービス |
見ていただくとおり、最も利回りが高いキネティックでも2.05%です。10社すべてが2.05%以下に収まっており、中央値は1.22%でした。当サイトでは業種ごとの配当利回りを別記事で実測していますが、そちらで最も利回りが低かった医薬・ヘルスケアの1.71%と比べても、今回の航空・防衛は下回っています。高い配当を目的にこの業種を選ぶのは、あまり向いていないと思います。
PER28.90倍——資本財25.24倍・医薬23.58倍よりも高い
一方で、PERの中央値は28.90倍でした。業種別の実測記事で最もPERが高かったのは資本財・機械の25.24倍、次いで医薬・ヘルスケアの23.58倍でしたが、今回の航空・防衛はそのどちらよりも高い数字になっています。
PERが高いということは、それだけ株価に将来への期待が織り込まれていると読めます。この記事では株価が今後どう動くかには踏み込みませんが、少なくとも「配当利回りが低い割に株価は割安ではない」という組み合わせの業種だということは、数字から言えると思います。
配当性向45%は中位——利回りが低いのは「配らないから」ではない
配当利回りが低いと聞くと、「利益をあまり株主に還元していない業種」だと思われるかもしれません。ですが、配当性向(利益のうちどれだけを配当に回しているか)の中央値を見ると45%で、極端に低い数字ではありません。最も低いバブコック・インターナショナルの16%はともかく、BAEシステムズは52%、タレスは54%、エアバスは57%と、半分以上を配当に回している会社もあります。
配当性向が中位なのに利回りが低いということは、「配らないから利回りが低い」のではなく、「株価が高いから利回りが低い」と読むほうが自然です。これは以前実測した産業機械の業種でも見られた構造で、PERが高くなりやすい業種に共通する傾向のように感じます。
航空エンジンは整備で長く稼ぐ商売
今回の10社のうち、MTUエアロエンジンズ・サフラン・ロールス・ロイスの3社は航空エンジンメーカーです。この3社は、エンジンを売り切って終わりではなく、納入後に何十年も続く整備・保守で稼ぐビジネスの性格を持っていると言われています。エンジン単体の販売より、その後の長い保守契約のほうが収益の柱になりやすい商売だということです。
この3社の利回りはいずれも低く、ロールス・ロイスは0.75%、サフランは1.02%です。ただし、利回りが低いことと、株主還元を増やしていないことは別の話です。サフランは、当サイトが連続増配を実測した別記事で、4年連続増配に入っていることを確認しています。利回り自体は低くても、配当を減らさず増やし続けている会社もあるということは、あわせて知っておいていただきたい点です。
ラインメタルのPER41.38倍・配当性向75%という数字
今回の10社の中で、もう一つ目を引く数字がラインメタルです。PER41.38倍は10社の中で最も高く、配当性向も75%と最も高い数字になっています。PERが高い会社は配当性向が低くなりがちなものですが、ラインメタルはその両方が同時に高いという、やや珍しい組み合わせです。
この組み合わせの背景については、当サイトでは確認できていません。ですので、この記事では数字をそのままお伝えするにとどめ、理由についての推測は控えます。
まとめ:配当目当てで選ぶ業種ではないと思います
- 2026年9月3日に実測した航空・防衛10社の配当利回りの中央値は1.22%で、10社すべてが2.05%以下
- PER中央値28.90倍は資本財・機械(25.24倍)や医薬・ヘルスケア(23.58倍)より高い
- 配当性向の中央値は45%で中位。利回りが低いのは配らないからではなく株価が高いから
- 航空エンジン3社はエンジン販売後の整備で長く稼ぐ性格。サフランは利回り1.02%でも4年連続増配
ここまでの数字を見るかぎり、航空・防衛は高い配当を目的に選ぶ業種ではないと思います。むしろ、株価にどれだけの期待が織り込まれているかを意識して見る業種ではないでしょうか。配当を目当てにするのか、それとも別の理由でこの業種を持つのか。何を期待して持つのかを先に決めてから買うほうが、あとで納得しやすいはずです。
この記事の検証方法
- 配当利回り・PER・配当性向は、2026年9月3日に株価データサイト(stockanalysis.com)から機械的に取得しました
- 対象は防衛メーカーに加え、航空機メーカー(エアバス)と航空エンジンメーカー(MTUエアロエンジンズ・サフラン・ロールス・ロイス)を含めた10社です
- 各項目の数値は中央値を使っています。平均だと極端な数字を出す1社に結果が引っ張られるためです
- 資本財・機械(25.24倍)・医薬・ヘルスケア(23.58倍・利回り1.71%)の数値は、業種別に実測した別記事の集計によるもので、この記事単独の集計ではありません
- サフランの連続増配年数は、連続増配を実測した別記事の集計によるものです
- この記事は配当利回り・PER・配当性向の実測にとどめており、防衛費の増減や受注の見通しは扱っていません。その内容は別記事で取り上げています
- この記事の数値は今回対象とした10社に限った集計であり、欧州の航空・防衛セクター全体を代表するものではありません
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する銘柄を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の配当利回り・PER・配当性向は2026年9月3日時点で取得した情報にもとづいており、市場の変動により変更される場合があります。特定の銘柄が割安・割高であることを示すものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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