MENU

欧州の小売・外食株をどう見るか|13社中8社がイギリスという偏り【2026年】

欧州の小売・外食株をどう見るか|13社中8社がイギリスという偏り【2026年】

※この記事の数字は、2026年9月に集計の誤りを直したうえで取り直したものです。経緯は末尾の「この記事の検証方法」に書いています。

※本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれます。

この記事の結論

  • 2026年9月2日、欧州の小売・外食株13社を実測すると、8社がイギリス企業でした
  • 配当利回りは最高のダネルム8.01%から最低のマークス・アンド・スペンサー1.09%まで、7倍以上の開きがあります
  • ダネルムの8.01%には特別配当が含まれており、通常配当だけなら約5.04%です
  • 配当性向は12%から113%まで幅があり、カルフールは利益を超えて配当を出している状態です

欧州株の配当利回りを業種別に実測した記事で、業種を選ぶことは、実は国を選ぶことでもあると書きました。今回はその指摘がいちばん分かりやすい形で出る業種として、小売・外食を取り上げます。

2026年9月2日、欧州の小売・外食株のうち13社を実測しました(対象は当サイトが記事化してきた銘柄です)。スーパーマーケット、ホームセンター、外食、アパレルと業態はさまざまですが、並べてみると国の内訳に極端な偏りが出ています。利回りと配当性向の幅も予想以上に広く、数字を見るときの注意点も見えてきました。

目次

全体像:小売・外食は13社中8社がイギリス

今回実測した13社の国別内訳は、イギリス8社・デンマーク1社・ドイツ1社・イタリア1社・フランス1社・スペイン1社です。当サイトが取り上げた範囲での話ではありますが、それでもこの偏りは際立っています。

小売や外食は、その国の消費者を相手にする商売です。スーパーやホームセンター、ベーカリーは、国境を越えて同じ店を展開しにくい業種だと思います。フランスのカルフールやスペインのインディテックス(ZARA)のように海外展開している例もありますが、上場している大手企業の本拠地という意味では、自国の消費者市場を背景にした企業が中心になりやすいと感じます。

もう一つ、当サイトが浮動株比率を調べた記事では、イギリスの浮動株比率が97.6%と欧州で最も高いという実測結果が出ています。イギリスに上場小売企業が多いことは、この浮動株比率97.6%と最も高いことと整合する観察だと思いますが、これが直接の原因だと断定できるわけではありません。上場のしやすさや会計制度、市場の歴史的な厚みなど、他の要因も絡んでいるはずです。

実測データ:利回り8.01%〜1.09%、配当性向12%〜113%

13社の実測結果を一覧にしました。配当利回り・PER(実績)・配当性向の順に並べています。

会社利回りPER配当性向事業
ダネルム8.01%11.32倍60%家庭用品小売
セインズベリー7.40%18.76倍80%スーパーマーケット
カルフール7.29%12.74倍113%スーパーマーケット
ネクスト4.14%20.36倍32%アパレル・小売
キングフィッシャー3.86%22.41倍89%ホームセンター
グレッグス3.74%14.31倍53%外食・ベーカリー
フィールマン3.61%15.79倍46%メガネ小売
テスコ3.23%17.40倍52%スーパーマーケット
インディテックス(ZARA)西2.47%27.84倍アパレル・小売
マタス2.18%17.62倍37%化粧品・日用品小売
JDスポーツ1.50%9.60倍12%スポーツ用品小売
ブルネロ・クチネリ1.19%41.87倍51%高級アパレル
マークス・アンド・スペンサー1.09%31.25倍30%小売(衣料・食品)
2026年9月2日時点、当サイトが実測。13社。中央値:利回り3.61%/PER17.62倍/配当性向52%

この業種に共通しているのは、何をしている会社か日本の読者にも想像しやすいことです。スーパー、ホームセンター、ベーカリー、メガネ屋。どれも日本に置き換えて考えられる商売で、事業内容を調べる手間が他の業種より少なくて済むのは、小売という業種の入りやすさだと思います。

利回りの幅は7倍以上——ダネルムの8.01%には注意が要ります

利回りが最も高いダネルムの8.01%と、最も低いマークス・アンド・スペンサーの1.09%では、7倍以上の差があります。同じ小売でも、利益を積極的に配当へ回している会社と、成長や事業の立て直しに回している会社に分かれているのだと思います。ダネルムやセインズベリーのように配当性向が60〜80%と高い会社がある一方、JDスポーツは12%、マークス・アンド・スペンサーは30%にとどまっています。

ただし、ダネルムの8.01%はそのまま受け取らないほうがいいと思います。当サイトの実測では、直近1年の配当0.700ポンドのうち0.250ポンドが特別配当でした。通常配当だけで計算すると、利回りは約5.04%まで下がります。スクリーニングサイトが表示する利回りの数字は、通常配当と特別配当を区別しないことが多く、この点はPERと利回りでスクリーニングした記事でも触れた注意点と同じです。高利回りの銘柄を見つけたときほど、直近の配当が一時的なものを含んでいないか、確認しておいたほうが安心です。

配当性向113%のカルフールと、高級アパレルの別世界のPER

今回の実測でもう一つ目を引くのが、カルフールの配当性向113%です。利益より多く配っている欧州株を数えた記事でも触れましたが、配当性向が100%を超えるということは、その期の利益を超えて配当を出している状態を意味します。なぜそうなっているのかは確認できていないので、ここでは数値の提示にとどめます。継続できる配り方かどうかは、今後の決算で確認していきたいと思います。

もう一つの見どころが、高級アパレル2社のPERです。ブルネロ・クチネリが41.87倍、インディテックス(ZARA)が27.84倍と、他の小売・外食企業とは別世界の水準にあります。欧州のラグジュアリー株が強い理由を書いた記事とも重なりますが、値上げをしても顧客が離れにくいブランド力を持つ会社は、同じ小売でも評価のされ方が違うのだと思います。ブルネロ・クチネリは配当性向が51%とダネルムに近い水準で、高PERでありながら利益の半分程度を配当にも回しています。

もう一段幅を広げると、セインズベリーが80%、キングフィッシャーが89%と、利益の大部分を配当に回している会社もあります。小売は仕入れと店舗運営のコストがかさみ、利益率がもともと薄い商売です。少ない利益の中から配当を出そうとすると、配当性向は自然と高くなりやすいのだと思います。分かりやすさの一方で、配当の持続性という意味では、性向の高さは一度確認しておいたほうがいい数字です。

今回の実測にあたって、分類を2件手直ししたことも正直に書いておきます。電力・ガス小売を手がけるセントリカは、事業内容としては「小売」という言葉が使われますが、実態は公益(電力・ガス)に近いため、この記事の対象からは外し「公益」に分類し直しました。逆に、店舗を持たず衛生用品や家庭用品を製造・販売するレキットベンキーザーは、小売業として扱われることがありますが、実態はメーカーであるため、この記事の小売・外食の対象からは外しています。どちらも「小売」という言葉だけで機械的に集めると混ざってしまう例で、実測のたびに一件ずつ確認する必要があると感じました。

まとめ:業種の分かりやすさと、配当の持続性は別の話

  • 2026年9月2日時点の実測で、小売・外食13社のうち8社がイギリス企業
  • 利回りは8.01%〜1.09%で7倍以上、配当性向は12%〜113%まで分かれる
  • ダネルムの8.01%は特別配当込みで、通常配当だけなら約5.04%
  • カルフールの配当性向113%は利益を超えて配っている状態、高級アパレル2社はPERが別世界

やっていることが想像しやすいのは、小売という業種の良いところだと思います。ただ、その分かりやすさと配当の持続性は別の話なので、配当性向は一度見ておくと安心です。

この記事の検証方法

  • 配当利回り・PER(実績)・配当性向は、2026年9月2日に266銘柄を同じ日に取り直しました。当初の公開版は、当サイトが初期に取り上げたテスコ・インディテックス(ZARA)・ブルネロ・クチネリの3社が集計から抜けており、10社だけの数字になっていました。今回この3社を加えた13社で取り直しています
  • 対象は欧州の小売・外食株13社です(当サイトが記事化してきた銘柄の中から選びました)
  • 分類を2件手直ししています。電力・ガス小売のセントリカは実態が公益であるため「公益」に分類し、店舗を持たない家庭用品メーカーのレキットベンキーザーは小売の対象から外しました
  • ダネルムの配当利回りは、直近1年の配当0.700ポンドのうち0.250ポンドが特別配当であることを確認した上で、通常配当ベースの利回り(約5.04%)を併記しています
  • 配当利回りは取得元の表示をそのまま使っており、日によって動きます。この記事の数字は2026年9月2日時点のものです
  • この記事の数値は当サイトが取り上げた銘柄に限った集計であり、欧州の小売・外食セクター全体を代表するものではありません
  • 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する銘柄を保有しているとは限りません)

この記事を書いた人:Kawa

ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール

あわせて読みたい

免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の配当利回り・PER・配当性向は2026年9月2日時点で取得した情報にもとづいており、市場の変動により変更される場合があります。特定の銘柄が割安・割高であることを示すものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

Kawa
サイドFIRE生活中
ヨーロッパ在住30代。兼業投資家として株式投資、FX、不動産投資を行う。株式投資やFX取引では、ダウ理論とグランビルの法則を用いたテクニカル分析メインで、ファンダメンタルズ分析も組み合わせて投資判断を行う。欧州の不動産市場にも注力し、賃貸収入やキャピタルゲインを狙った長期的な投資を狙う。夢はボルゾイを飼うこと。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次