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この記事の結論
- NISA成長投資枠に「外国株は対象外」という制度上の制限はない(買えるかは証券会社次第)
- サクソバンク証券は欧州株はあるがNISA口座がなく、IB証券は2025年7月開始のNISAで欧州株を対象に含むと公式に説明
- NISAでも現地の配当源泉税(独26.375%・瑞35%)はそのまま引かれる
- NISA口座は外国税額控除が使えないが、日本分20.315%が非課税になるため配当の手取りは課税口座より多い
当サイトでは、ラインメタル・LVMH・ネスレなどSBI証券や楽天証券では買えない欧州の個別株を42本紹介してきました。そのすべてで「サクソバンク証券はNISAに対応していません」と書いてきましたが、これは「欧州株はNISAで一切買えない」という意味ではありません。
NISAの成長投資枠は、制度上「日本株だけ」に限定されているわけではありません。実際、インタラクティブ・ブローカーズ証券(IB証券)は2025年7月にNISA口座の提供を開始し、欧州を含む海外の証券取引所の株式にも成長投資枠を使えるとしています。
この記事では、制度としてのNISAが欧州株にどこまで使えるのかを、金融庁と各社の公式情報をもとに整理します。あわせて、多くの人が誤解している「NISAでも現地の配当源泉税は取られる」という点も具体的な数字で説明します。
結論:欧州個別株をNISAで持てるかは証券会社次第
「欧州株をNISAで買えるか」は、①その証券会社がNISA口座を扱っているかと②その証券会社が欧州の個別株を扱っているかの掛け算で決まります。この2つが両方そろっている会社は多くありません。
| サクソバンク証券 | インタラクティブ・ブローカーズ証券 | SBI・楽天・マネックス | |
|---|---|---|---|
| NISA口座の取扱い | × なし | ○ あり(2025年7月開始) | ○ あり |
| 欧州個別株の取扱い | ○ 独仏瑞英伊西丁の7取引所 | ○ 欧州を含む世界17ヵ国 | × なし |
| 欧州株をNISAで持てるか | × 課税口座のみ | ○ 成長投資枠の対象とされる | × そもそも買えない |
ポイントは、SBI・楽天・マネックスは「NISAはあるが欧州株がない」、サクソバンク証券は「欧州株はあるがNISAがない」という、きれいに裏返しの関係になっていることです。両方そろうのが現状ではIB証券という構図になります。
各社の手数料や使い勝手を含めた比較は欧州株が買えるネット証券の比較記事にまとめています。この記事では、その手前にあるNISAという制度そのものを掘り下げます。
NISA成長投資枠に「外国株は対象外」という制限はない
まず制度の枠組みを確認します。金融庁が公表しているNISAの内容は次のとおりです。
| つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
|---|---|---|
| 年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
| 併用時の合計 | 年間360万円 | |
| 非課税保有限度額 | 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで) | |
| 非課税保有期間 | 無期限 | |
| 口座開設期間 | 恒久化 | |
注目してほしいのは成長投資枠の「対象外」とされている商品です。金融庁は除外対象として、①整理・監理銘柄、②信託期間20年未満・毎月分配型・デリバティブ取引を用いた一定の投資信託等、を挙げています。
この除外リストに「外国の株式」は入っていません。つまり、外国の証券取引所に上場している株式を成長投資枠で持つことは、制度として禁じられているわけではないということです。
それでも多くの人が「NISAは日本株と米国株だけ」と感じるのは、制度の制限ではなく、証券会社が何を品ぞろえしているかの問題だからです。
大手ネット証券のNISAで買える外国株の範囲
楽天証券は、NISA成長投資枠で購入できる外国株式を「米国株式、米株積立、中国株式、アセアン株式、海外ETF」と公式に明記しています。欧州の個別株はここに含まれていません。
SBI証券も外国株式の取扱いは米国・中国・韓国・ロシア・ベトナム・インドネシア・シンガポール・タイ・マレーシアの9ヵ国で、ドイツのXetraやユーロネクスト・パリといった欧州の取引所は含まれていません。NISA以前に、そもそも商品として置いていないのです。
この「大手3社では欧州株が買えない」という構造そのものについては、なぜSBI証券・楽天証券では欧州株が買えないのかで42銘柄の実例とともに解説しています。
サクソバンク証券にNISA口座はない
サクソバンク証券で開設できるのは基本口座と、希望に応じて選べる特定口座(源泉徴収あり・なし)・一般口座・オプション取引口座で、NISA口座という選択肢は用意されていません。欧州7市場の個別株を1,700銘柄以上そろえている一方で、非課税制度は使えないというのが同社の立ち位置です。
したがってサクソバンク証券で欧州株を買う場合、売却益と配当には日本国内で約20.315%の課税が発生します。当サイトの各銘柄記事で繰り返し注意喚起してきたとおりです。
IB証券は2025年7月にNISAの提供を開始した
インタラクティブ・ブローカーズは2025年7月30日、日本の関連会社であるインタラクティブ・ブローカーズ証券株式会社(IBSJ)でNISA口座の提供を開始したと発表しました。同社の公式ページで確認できる内容は次のとおりです。
- 成長投資枠の対象商品は「上場株式、ETF、投資信託」(年間投資上限240万円、非課税保有限度額1,800万円のうち1,200万円まで)
- 「NISAを利用して、国内の投資信託だけでなく、日本はもちろん、米国や欧州など世界各地の証券取引所の株式を含む広範な商品から投資先を選ぶことができます」と記載
- 株式取引全体としては日本・米国・欧州・アジアの世界17ヵ国の株式市場にアクセスできるとしている
- 日本株以外であれば、NISA成長投資枠で端株取引が可能(1株未満の単位で、購入価格を指定して発注できる)
- 成長投資枠の最低投資額は1万円から、最低売却単位は株式1株から
つまり「欧州の証券取引所の株式もNISAの対象に含まれる」と同社が公式に説明している状態です。当サイトで扱ってきたネスレやBMWのような銘柄も、条件が合えば非課税で保有できる可能性があるということになります。
ただし「NISA成長投資枠で買える欧州銘柄・欧州取引所の具体的な一覧」は公表されていません。取扱いがあることと、特定の1銘柄がNISAで発注できることは別の話です。狙っている銘柄が決まっているなら、口座開設の前にその銘柄名を挙げて同社に直接確認してください。
もう1つ、IB証券のNISAには構造上の注意点があります。同社ではNISA口座で現金残高を保有できず、取引時に一般口座から自動的に資金が振り替えられる仕組みです。NISA口座を開設するには一般口座が必要になります。
最大の誤解:NISAでも現地の配当源泉税は取られる
ここが本記事で最も重要な部分です。
NISAで非課税になるのは日本国内の課税分(約20.315%)だけです。配当が支払われる国で先に引かれる「現地源泉税」は、NISA口座であっても引かれます。マネックス証券も公式のQ&Aで「現地で源泉徴収された税金を非課税とすることはできません」と明記しています。
欧州株の場合、この現地源泉税が米国株より重いため、影響は無視できません。当サイトで確認してきた税率は次のとおりです。
| 国 | 現地源泉税 | 課税口座の手取り | NISA口座の手取り |
|---|---|---|---|
| ドイツ | 26.375% | 約58.7 | 約73.6 |
| スイス | 35% | 約51.8 | 約65.0 |
| フランス(条約限度税率10%が適用された場合) | 10% | 約71.7 | 約90.0 |
配当を100としたときの概算です。課税口座は「現地源泉税を引いた後の金額にさらに日本で20.315%」、NISA口座は「現地源泉税を引いた時点で終わり」という計算になります。
スイス株の欄を見てください。NISAで持っても、配当100のうち35は取られたままです。「NISAだから配当は全額非課税」と思ってネスレのようなスイス株を買うと、想定と3割以上ずれます。
国ごとの税率差そのものについては欧州株の配当税を国別に比較した記事で詳しく扱っています。表面利回りと実質利回りの差は欧州の高配当株ランキングでも銘柄ごとに出しています。
もう1つの落とし穴:NISA口座では外国税額控除が使えない
課税口座で外国株の配当を受け取ると、現地と日本で二重に課税されます。この二重課税は、確定申告で外国税額控除を使えば、租税条約の限度税率までは調整できます。
ところがNISA口座では、この外国税額控除が使えません。理屈はシンプルで、マネックス証券の説明どおりです。
国内で非課税とされた配当所得については、確定申告をすることができません。そのため、外国税額控除の適用を受けることもできません。
NISAでは日本の税金がそもそも発生しないので、「日本の税金から差し引く」という形の控除が成り立たないのです。現地で引かれた分は、そのまま負担として残ります。
それでも配当の手取りはNISAのほうが多くなる
「控除が使えないなら課税口座のほうがいいのでは」と思うかもしれませんが、計算するとそうはなりません。
外国税額控除で取り戻せるのは、あくまで日本で課された税金の一部です。控除をどれだけ使っても、課税口座の手取りが「現地源泉税を引いた後の金額」を上回ることはありません。一方NISAは、その「現地源泉税を引いた後の金額」がまるごと手取りになります。上の表でNISA列が常に大きいのはこのためです。
ただしNISAには損益通算と繰越控除が使えないという別のデメリットがあります。NISA口座で出た損失は他の口座の利益と相殺できず、翌年以降に繰り越すこともできません。値動きの大きい銘柄を非課税枠に入れる場合は、この点も込みで考える必要があります。
実際どちらを選ぶべきか
判断の分かれ目は「非課税枠を優先するか、銘柄の選択肢と扱いやすさを優先するか」です。
| こんな人には | 候補 | 理由 |
|---|---|---|
| 非課税での長期保有を最優先したい | インタラクティブ・ブローカーズ証券 | 欧州株を成長投資枠の対象としている唯一の選択肢。ただし目当ての銘柄が対象かは要確認 |
| 欧州の銘柄を幅広く選びたい/手数料体系が分かりやすいほうがいい | サクソバンク証券 | 独仏瑞英伊西丁の7市場で1,700銘柄以上。特定口座があり確定申告の手間が軽い |
| 配当より値上がり益を狙う | どちらでも可 | 売却益はNISAなら全額非課税。現地源泉税の問題は配当固有のもの |
1つ補足すると、現地源泉税の重さは配当にしかかかりません。ドイツ株を値上がり益狙いで買うなら、NISAの非課税メリットは素直に効きます。逆に高配当目的でスイス株を狙うなら、NISAに入れても35%は残るので期待値を下げておく必要があります。
また、非課税枠は有限です。成長投資枠は年間240万円・生涯1,200万円までしかありません。手数料や取引のしやすさで欧州株の本数を確保したいなら、課税口座で運用するという判断も十分成り立ちます。当サイトが銘柄記事でサクソバンク証券を軸に案内しているのは、取扱銘柄数と手数料体系の分かりやすさが理由です。
よくある質問
NISAの成長投資枠で外国の個別株は買えますか?
制度としては可能です。金融庁が示す成長投資枠の除外商品は整理・監理銘柄と一定の投資信託等であり、外国株式は除外されていません。ただし実際に買えるかは証券会社の取扱いに依存します。楽天証券はNISA成長投資枠の外国株式を米国・中国・アセアンと明記しており、欧州の個別株は含まれていません。
サクソバンク証券にNISA口座はありますか?
ありません。同社で選べるのは特定口座(源泉徴収あり・なし)、一般口座、オプション取引口座で、NISA口座は用意されていません。欧州株を同社で買う場合、利益には日本国内で約20.315%が課税されます。
NISAなら欧州株の配当は全額非課税になりますか?
なりません。非課税になるのは日本国内の約20.315%の部分だけで、ドイツの26.375%やスイスの35%といった現地源泉税は、NISA口座であっても差し引かれます。配当100のスイス株なら、NISAでも手取りは約65です。
NISA口座で外国税額控除は使えますか?
使えません。NISA口座の配当所得は国内で非課税とされるため確定申告の対象にならず、確定申告を前提とする外国税額控除も適用できません。現地で引かれた税金は取り戻せない負担として残ります。
まとめ
- NISA成長投資枠に「外国株は対象外」という制度上の制限はない。買えるかどうかは証券会社の取扱い次第
- SBI・楽天・マネックスはNISAはあるが欧州個別株を扱っていない。楽天証券の成長投資枠の外国株式は米国・中国・アセアンのみ
- サクソバンク証券は欧州7市場・1,700銘柄以上を扱うがNISA口座がない
- IB証券は2025年7月30日にNISAを開始し、欧州を含む世界の取引所の株式を成長投資枠の対象としている。ただし対象銘柄の具体的な一覧は公表されておらず、事前確認が必要
- NISAでも現地の配当源泉税は引かれる。ドイツ26.375%・スイス35%はそのまま残る
- NISA口座では外国税額控除が使えない。それでも日本分20.315%が非課税になるため、配当の手取り自体は課税口座より多くなる
- NISAには損益通算・繰越控除が使えないというデメリットもある
| こんな人は | やり方 |
|---|---|
| 非課税での長期保有を最優先したい | IB証券でNISA口座(欧州株も成長投資枠の対象、要事前確認) |
| 欧州株を幅広く選びたい/手数料体系が分かりやすい方がいい | サクソバンク証券で課税口座(評判・デメリットはこちら) |
| 配当より値上がり益を狙う | どちらでも可(現地源泉税は配当のみにかかる) |
この記事の検証方法
- 手数料はサクソバンク証券の公式手数料表から計算しています
- 株価・為替レートは本文記載の基準日に実測した値です
- 業績・配当は企業の公式IR資料(一次資料)のみを出典としています
- 筆者はヨーロッパ在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座で欧州株を実際に保有しています
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄・証券会社の利用や税務上の助言を目的としたものではありません。記載のNISA制度の内容・税率・各社の取扱状況は2026年8月14日時点で金融庁および各社の公式情報により確認できた内容に基づく概算であり、税制および各社のサービス内容は今後変更される可能性があります。特にNISA口座で購入できる具体的な銘柄・市場の範囲は証券会社ごとに異なり随時変更されるため、口座開設および取引の前に必ず各社の公式サイトでご確認ください。実際の課税関係は口座の種類・証券会社の手続き・個々の状況により異なります。税務上の最終的な判断については、税理士または所轄の税務署にご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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