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欧州の産業機械株をどう見るか|利回り2%・PER25倍という評価【2026年】

欧州の産業機械株をどう見るか|利回り2%・PER25倍という評価【2026年】

※この記事の数字は、2026年9月に集計の誤りを直したうえで取り直したものです。経緯は末尾の「この記事の検証方法」に書いています。

※本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれます。

この記事の結論

  • 2026年9月2日、欧州の資本財・機械セクターに分類される15社を同じ日に実測すると、配当利回りの中央値は1.80%、PERの中央値は25.24倍でした
  • 配当をもらうより、値上がりを期待されている業種だと言えそうです
  • ただし配当性向の中央値は49%と中位です。利回りが低いのは配っていないからではなく、株価が高いからだと読めます
  • プール設備、飲料製造設備、衛生配管、食品加工機械、鉱山機械など、何を作っている会社なのかが具体的にわかるのがこの業種の特徴です

当サイトでは以前、欧州株の配当利回りを業種別に実測した記事で、保険4.62%から医薬・ヘルスケア1.65%まで、業種によって利回りに約3倍の差があることを書きました。あの記事の中で、資本財・機械という業種だけがやや特殊でした。利回りは8業種中7位と低いのに、PERは8業種の中で最も高かったからです。

資本財・機械には、プール設備や飲料製造設備、鉱山機械のように、何を作っている会社なのかが名前だけでイメージしやすい会社が多く並びます。そのわりに配当は少なめで、株価の評価は高い。今回はこの業種だけを取り出して、15社の実測データをもとに、その評価の中身を見ていきたいと思います。

目次

実測結果:利回り1.80%・PER25.24倍の15社

2026年9月2日に、当サイトが記事化している欧州株のうち、資本財・機械に分類できる15社を同じ日に一斉に実測しました。業種の分類は当サイトが各記事の業種表記からまとめ直したもので、GICSなどの公式な業種分類ではありません。結果は次のとおりです。

会社利回りPER配当性向事業
フルイドラスペイン3.45%21.57倍70%プール設備
ブヘルスイス3.45%17.57倍60%農業機械・特殊車両
スピーフランス2.52%25.24倍62%技術サービス・設備工事
クローネスドイツ2.37%12.68倍30%飲料製造設備
ゲベリットスイス2.26%30.03倍68%衛生設備・配管
GEAドイツ2.01%24.03倍49%食品加工機械
シーメンスドイツ1.93%27.78倍52%産業機器
スミス・グループイギリス1.80%34.18倍61%産業機器
ルグランフランス1.76%27.09倍47%電気設備・配線器具
ウィアー・グループイギリス1.58%26.59倍41%鉱山機械
キオンドイツ1.57%14.49倍21%産業車両・倉庫自動化
シュナイダーエレクトリックフランス1.45%34.49倍50%電気設備
インターパンプイタリア0.97%18.02倍17%産業機械
FLSmidthデンマーク0.80%20.33倍14%鉱山機械
シーメンス・エナジードイツ0.45%45.89倍22%発電設備
2026年9月2日、当サイトが機械的に取得。15社の中央値は利回り1.80%・PER25.24倍・配当性向49%

国の内訳はドイツ5社、フランス3社、イギリス2社、スイス2社、スペイン・デンマーク・イタリアが各1社と、7か国全体に散っています。特定の国に偏った業種ではなく、ヨーロッパ全域に同じような性格の会社があるということだと思います。

PERの幅も広く、最も低いクローネスの12.68倍から最も高いシーメンス・エナジーの45.89倍まで、3.6倍の開きがあります。同じ業種とひとくくりにしても、市場の評価はかなりばらついていることがわかります。

利回りが低いのは「配らない」からではなく「株価が高い」から

資本財・機械の配当利回り1.80%は、当サイトが調べた8業種の中で7位という低さです。「稼いだ分をあまり配っていないのだろう」と思われるかもしれませんが、配当性向の中央値を見ると、そう単純ではないことがわかります。

資本財・機械15社の配当性向の中央値は49%です。利益のおよそ半分を配当に回しているわけで、これは8業種の中でも中位の水準です。つまり、この業種の利回りが低いのは、配っていないからではなく、株価がすでに高く評価されているからだと読めます。分母である株価が大きいぶん、同じ配当額でも利回りの数字は小さくなります。実際、PERの中央値25.24倍は、当サイトが調べた8業種の中で最も高い水準です。

この点は、同じく利回りが低い医薬・ヘルスケアと比べるとはっきりします。医薬・ヘルスケアの配当性向は44%で、資本財・機械の49%よりやや低い水準です。医薬・ヘルスケアが低利回りなのは、稼いだ利益の多くを配当ではなく研究開発に回しているからだと考えられます。一方、資本財・機械は配当性向で見れば大きくは変わらないのに、利回りは低い。理由は分母である株価の高さにあります。同じ「低利回り」という結果でも、理由はまったく違うというのが、この業種を見て気づいたことです。

何を作っている会社なのかが、名前だけでわかる業種

資本財・機械のもうひとつの特徴は、事業の中身が具体的でわかりやすいことだと思います。フルイドラはプール設備、クローネスは飲料製造設備、ゲベリットは衛生設備・配管、GEAは食品加工機械、ウィアー・グループとFLSmidthは鉱山機械、キオンは産業車両と倉庫自動化、シーメンス・エナジーは発電設備、ルグランとシュナイダーエレクトリックは電気設備。それぞれ「誰の何を作っている会社か」が説明できます。

これは欧州の「ニッチ世界一」企業を取り上げた記事で書いた、欧州企業の強みとも重なります。派手さはなくても、特定の分野で長く事業を続けている会社が多いという印象です。

顧客の設備投資に業績が左右されるという共通の性格

資本財・機械の会社に共通するのは、顧客の設備投資が業績を左右するという性格だと思います。鉱山機械を作るウィアー・グループやFLSmidthは、資源会社が採掘設備にどれだけ投資するかによって受注が変わります。飲料製造設備のクローネスも、飲料メーカーが工場をどれだけ新設・更新するかに左右されます。発電設備のシーメンス・エナジーや電気設備のシュナイダーエレクトリック・ルグランも、電力会社やインフラ事業者の投資計画に業績が連動しやすい立場です。つまり、自社の努力だけでなく、顧客側の投資計画に業績が連動しやすい業種だということです。

ただし、今回の実測は利回り・PER・配当性向にとどまり、各社の受注残高や足元の受注動向までは当サイトで確認していません。「設備投資が今後回復するから株価が上がる」といった予測はできませんし、するべきではないと思います。ここで書けるのは、この業種が構造としてそういう性格を持っているということまでです。

まとめ:高配当株を探すなら候補には入らない業種

  • 2026年9月2日の実測で、資本財・機械15社の利回り中央値は1.80%、PER中央値は25.24倍
  • 配当性向は49%と中位。利回りが低いのは「配らない」からではなく「株価が高い」から(医薬・ヘルスケアの配当性向44%とは理由が違う)
  • プール設備・飲料製造設備・衛生配管・食品加工機械・鉱山機械・倉庫自動化・発電設備・電気設備など、事業内容が具体的にわかりやすい会社が並ぶ
  • 顧客の設備投資に業績が左右されるという共通の性格があるが、各社の受注状況は当サイトで確認していない

高配当株を探しているときに、この業種はまず候補に入ってこないと思います。ですが「欧州株は高配当」というひとくくりが当てはまらない領域があることは、知っておいてよいのではないかと思います。

この記事の検証方法

  • 利回り・PER・配当性向は、2026年9月2日に株価データサイトから同じ日に一斉に機械的に取得しました
  • 資本財・機械に分類したのは15社です。業種分類は当サイトが各記事の業種表記から機械的にまとめ直したもので、GICSなどの公式な業種分類ではありません
  • この記事は公開後に集計の誤りが見つかり、数字を見直したものです。当初の12社には、シーメンス・シュナイダーエレクトリック・シーメンス・エナジーが含まれていませんでした。2026年9月2日、当サイトが記事化している欧州株全体を対象に、266銘柄を同じ日に取り直しました。資本財・機械はそのうち15社で再集計しています
  • 中央値は、各項目の値を小さい順に並べた際の中央の値です。平均ではなく中央値を使っているのは、一部の極端な数値に結果が引っ張られないようにするためです
  • この記事の数値は今回実測した15社に限った集計であり、欧州の資本財・機械セクター全体を代表するものではありません
  • 各社の受注残高・受注動向は当サイトで確認しておらず、本記事では扱っていません
  • 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する銘柄を保有しているとは限りません)

この記事を書いた人:Kawa

ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール

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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の利回り・PER・配当性向は2026年9月2日時点で取得した情報にもとづいており、市場の変動により変更される場合があります。特定の銘柄が割安・割高であることを示すものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

Kawa
サイドFIRE生活中
ヨーロッパ在住30代。兼業投資家として株式投資、FX、不動産投資を行う。株式投資やFX取引では、ダウ理論とグランビルの法則を用いたテクニカル分析メインで、ファンダメンタルズ分析も組み合わせて投資判断を行う。欧州の不動産市場にも注力し、賃貸収入やキャピタルゲインを狙った長期的な投資を狙う。夢はボルゾイを飼うこと。
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