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この記事の結論
- 今回実測した欧州のコモディティ関連株15社のうち、資源そのものを掘る会社は実質1社(アントファガスタ、銅鉱山)だけでした
- 残り14社は化学・セメント・産業ガス・特殊紙・電線・鉄鋼・商社などで、資源を加工したり周辺サービスを提供する側の会社です
- 鉱山機械のウィアー・グループとFLSmidthの2社は、資源を掘るのではなく、掘る会社に機械を売る商売です
- 利回りは全体に低く、最高のBASFでも4.41%。国別の内訳は独4・伊3・西2・瑞2・英2・仏1・丁1です(いずれも2026年9月3日時点)
「コモディティ関連株」と聞くと、資源価格が上がれば株価も連動して動くようなイメージを持つ方が多いかもしれません。当サイトでは以前、欧州の資源・素材株について商品市況と炭素コストの両方が効くという記事で整理しました。ただ、あの記事は「資源・素材株」をひとまとめに扱ったもので、その中に実際どんな事業の会社が含まれているのかは、個別には見せていませんでした。
そこで今回は、コモディティ関連に分類される銘柄の中から15社を選び、2026年9月3日時点で一社ずつ事業の中身を確認し直しました。結果からお伝えすると、地中から資源そのものを掘り出している会社は、今回実測した15社のうち実質1社だけでした。順に見ていきます。
15社の実測結果——資源そのものを掘るのは実質1社
対象とした15社の利回り・PER・事業を一覧にすると、次のとおりです。
| 会社 | 国 | 利回り | PER | 事業 |
|---|---|---|---|---|
| BASF | 独 | 4.41% | 22.56倍 | 化学 |
| レプソル | 西 | 3.93% | 9.10倍 | 石油・エネルギー |
| ブレンタッグ | 独 | 3.12% | 24.84倍 | 化学品商社 |
| ミケル・イ・コスタス | 西 | 3.02% | 11.88倍 | 特殊紙 |
| EMSケミー | 瑞 | 2.36% | 39.06倍 | 化学 |
| ハイデルベルク・マテリアルズ | 独 | 2.22% | 14.28倍 | セメント・建材 |
| チェメンティール | 伊 | 2.09% | 11.47倍 | セメント・建材 |
| エア・リキード | 仏 | 2.02% | 31.16倍 | 産業ガス |
| シーカ | 瑞 | 1.97% | 28.94倍 | 建設用化学品・接着剤 |
| ブッツィ | 伊 | 1.78% | 8.25倍 | セメント |
| ウィアー・グループ | 英 | 1.58% | 26.59倍 | 鉱山機械 |
| FLSmidth | 丁 | 0.80% | 20.33倍 | 鉱山機械 |
| プリズミアン | 伊 | 0.72% | 25.35倍 | 電線・ケーブル |
| ザルツギッター | 独 | 0.36% | 52.98倍 | 鉄鋼 |
| アントファガスタ | 英 | 0.01% | 30.43倍 | 銅鉱山 |
この15社のうち、地中から資源そのものを掘り出しているのは、銅鉱山を持つアントファガスタ1社だけです。残る14社は、化学・セメント・産業ガス・特殊紙・電線・鉄鋼・商社など、資源を原料として使う側、あるいは資源産業に機械やサービスを提供する側の会社です。「コモディティ関連」というくくりの中身は、思っていたより「掘る会社」が少ないというのが、この表から見える実態です。
鉱山機械の2社は「掘る」のではなく「掘る会社に売る」商売
15社の中には、ウィアー・グループとFLSmidthという鉱山機械の会社が2社含まれています。名前だけを見ると資源に近い印象を受けますが、この2社が売っているのは鉱山で使う機械や設備であり、資源そのものを掘っているわけではありません。顧客は鉱山会社で、この2社自身は資源を保有していないという点が、アントファガスタとは決定的に違います。
つまり、この2社の商売の性格は、当サイトが産業機械株として実測した会社と近いと考えられます。資源を掘る会社の設備投資に商売が左右されるという点で、資源価格に直接連動する会社とは別の性質を持っていると言えそうです。
ここまでを整理すると、15社のうち「掘る」のは1社、「掘る会社に売る」のは2社、残り12社は化学・セメント・産業ガス・特殊紙・電線・鉄鋼・商社といった加工や流通の会社です。「コモディティ関連株」といっても、実態の大半は素材メーカーだというのが、今回の実測から見える姿です。
利回りは全体に低く、減配していた会社も3社含まれる
今回の15社の利回りは、最高のBASFでも4.41%です。下位のザルツギッターは0.36%、アントファガスタは0.01%と、1%を下回る会社も複数あります。業種別に実測した別記事と見比べても、コモディティ関連は利回りが低い部類に入ります。
また、当サイトが過去に実測した配当が減っていた欧州株の記事によると、今回の15社の中には、BASF(年平均−13%)、ザルツギッター(−36%)、アントファガスタ(−32%)と、通算で配当を減らしていた会社が3社含まれています。減配の理由については、この記事では扱いません。
さらに、今回の15社の中には、セメントのハイデルベルク・マテリアルズ・チェメンティール・ブッツィ、鉄鋼のザルツギッターのように、CBAM(炭素国境調整措置)の対象品目を扱う会社も含まれています。CBAMは2026年1月から本格適用され、対象6品目にはセメント・鉄鋼・アルミが含まれます(制度の詳細は当サイトのCBAM解説記事をご覧ください)。この記事では、株価への影響には踏み込みません。
まとめ:資源価格に乗りたいなら、欧州株は回り道かもしれません
- 今回実測した15社のうち、資源そのものを掘る会社は実質1社(アントファガスタ、銅鉱山)だけ
- 残り14社は化学・セメント・産業ガス・鉱山機械・商社など、加工や周辺サービスの会社
- 鉱山機械の2社は掘る会社に機械を売る商売で、資源そのものを掘っているわけではない
- 利回りは全体に低く、通算で配当を減らしていた会社も3社含まれる
- CBAMの対象品目(セメント・鉄鋼・アルミ)を扱う会社も含まれる
資源価格の動きに乗りたいという目的なら、欧州株は回り道になるかもしれません。素材を作る会社として見るほうが、実態に近いと思います。
この記事の検証方法
- 対象15社の利回り・PERは、2026年9月3日に株価データサイト(stockanalysis.com)から機械的に取得しました
- 対象は、コモディティ関連に分類される銘柄の中から選んだ今回実測した15社です
- 各社の事業内容(掘る・加工する・機械を売るなど)は、各社の公表資料をもとに当サイトが分類しました
- 減配実績(BASF・ザルツギッター・アントファガスタ)の数値は別記事の集計によるもので、この記事単独の集計ではありません
- CBAMの対象品目については別記事で解説しています。本記事はCBAMが株価に与える影響を示すものではありません
- この記事の数値は当サイトが取り上げた銘柄に限った集計であり、欧州のコモディティ関連市場全体を代表するものではありません
- 本記事は資源価格の見通しを示すものではありません
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する銘柄を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の利回り・PERは2026年9月3日時点で取得した情報にもとづいており、市場の変動により変更される場合があります。特定の銘柄が割安・割高であることを示すものではなく、資源価格の見通しを示すものでもありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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