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この記事の結論
- 欧州株で暗号資産に「直接」関わることはできません。今回実測した264銘柄のなかに、暗号資産を主業とする会社はありません
- 関われるとすれば、決済・取引所・カストディなど周辺の事業を持つ会社を通じてです
- EUは暗号資産の扱いをMiCA(暗号資産市場規則)という法律で先に定めています。「制度が先に決まる」という構造はESGと同じです
- 周辺株を見るときは、本業が別にある会社が多いことと、成長分野は配当が出ないことが多いことに注意が必要だと考えます
暗号資産に関する話題は、投資の世界でも見かける機会が増えました。そのなかで「欧州株を通じて暗号資産に関われないか」という発想が出てくることがあります。日本の証券会社では扱いのない欧州株を調べていると、決済や取引所を手がける企業に行き当たることがあるからです。
先に結論を書きます。欧州株で暗号資産そのものに直接関わる方法はありません。関わるとすれば、暗号資産の周辺で商売をしている会社の株を通じてであり、それは暗号資産を買うこととは別のことです。この記事では、当サイトが実測したデータと、EUの制度(MiCA)をもとに、この違いを整理します。暗号資産の価格や将来性については当サイトの範囲外のため触れません。
前提:欧州株で暗号資産に「直接」関わることはできない
まず確認しておきたいのは、欧州株の枠組みのなかに、暗号資産そのものを保有する方法は存在しないという点です。株式は会社の持ち分であり、暗号資産は会社の持ち分ではありません。この2つは仕組みとして別物です。
今回実測した264銘柄のなかを見ても、暗号資産そのものを主業とする会社はありませんでした。以前の記事で扱ったとおり、関われるとすれば、決済・取引所・カストディ(暗号資産の保管サービス)など、暗号資産の周辺で商売をしている上場企業を通じてです。
ここから言えるのは、「欧州株で暗号資産に投資する」という言い方そのものが、実態から遠いということです。正確には「暗号資産の周辺事業を持つ会社の株を買う」であり、買っているのは暗号資産ではなく会社です。この違いを最初に押さえておくと、以降の話が分かりやすくなると思います。
制度は先に決まっている——MiCAという枠組み
欧州で暗号資産の話をするときに欠かせないのがMiCA(暗号資産市場規則)です。別記事で扱ったとおり、これはEUが暗号資産の取り扱いについて定めた法律で、条文の詳細はその記事に譲りますが、ここで押さえておきたいのは「まず法律で扱いを決めてから、市場が動く」という順番です。
この順番は、当サイトがESG投資の記事で書いた構造とよく似ています。欧州は「何をしてよいか」を先に法律で決め、企業や市場がそれに合わせて動く、という進み方をする傾向があると考えられます。暗号資産の分野でも、同じ順序が見られます。
この順番のよいところは、制度は予測ではなく事実として追えるという点です。地政学リスクの記事でも書きましたが、「この先どうなるか」を当てにいくのではなく、「今、何が決まっているか」を確認するほうが、当サイトとしては手堅いやり方だと思っています。暗号資産についても、価格の予測ではなく、制度がどう定められているかを見る姿勢を続けたいと考えています。
周辺株を見るときの注意
暗号資産の周辺で商売をしている会社の株を見るときに、当サイトが注意したほうがよいと考えている点を3つ挙げます。
- 本業が別にある会社が多いこと。決済やカストディは、その会社の事業の一部であることが多く、暗号資産に関する事業が売上のどれくらいを占めるかは、会社ごとに違います。当サイトはこの比率を個別には確認していません。
- 成長分野は配当が出ないことが多いこと。当サイトが無配銘柄を実測した別記事では、264社中17社が無配で、そのなかにはITサービスや医療・バイオといった成長分野が目立ちました。暗号資産の周辺事業も、性質としては同じ成長分野に近いと考えられます。
- 期待が株価に入っている会社は、実績PERが高くなること。当サイトがPERを実測した別記事では、実績PERが30倍を超える会社が42社ありました。成長への期待が大きいほど、株価にその期待が織り込まれやすいという傾向自体は、暗号資産の周辺株にも当てはまると考えます。
この3つをまとめると、「暗号資産関連」という括りでまとめて買うと、実際には別の商売に投資していることになりうる、ということです。会社の名前や事業紹介の一文だけで「暗号資産関連株」と判断すると、期待していたものと中身がずれる可能性があります。
どう考えるか
ここまでの内容から、当サイトなりの考え方を整理します。
暗号資産そのものを持ちたいのであれば、株ではなく暗号資産を直接扱う口座を使うほうが素直だと思います。ただし、当サイトはヨーロッパの株式・ETFを扱うサイトであり、暗号資産の売買方法や取引所の紹介はしていません。この点は当サイトの範囲外として、はっきりお伝えしておきます。
一方、株というかたちで関わりたいのであれば、その会社が実際に何をしている会社なのかを見ることが欠かせません。当サイトが銘柄の選び方の記事や決算の読み方の記事で書いてきた見方は、暗号資産の周辺株を見るときにもそのまま使えます。事業の中身、売上の構成、決算に出てくる数字を確認する姿勢は、分野が変わっても変わりません。
当サイトが買う前に見る6つの数字としてまとめた記事も、この分野で同じように使えると考えています。「暗号資産関連」という言葉に反応する前に、いつもと同じ手順で会社の中身を確認する。そのひと手間が、期待と実態のずれを小さくすると思います。
まとめ:関われるのは会社であって、暗号資産そのものではない
- 欧州株で暗号資産に直接関わることはできません。今回実測した264銘柄のなかに、暗号資産を主業とする会社はありません。
- 関わるとすれば、決済・取引所・カストディなど周辺の事業を持つ会社を通じてです。
- EUはMiCAで暗号資産の扱いを先に法律として定めています。欧州は制度を先に決めてから市場が動く、という進み方が見られます。
- 周辺株は、本業が別にあることや、成長分野ゆえに配当が出ないこと、期待が株価に織り込まれやすいことに注意が必要です。
- 暗号資産そのものを持ちたいなら株ではない方法のほうが素直です。株で関わるなら、会社の中身を見る必要があります。
「暗号資産関連株」という言葉は便利ですが、中身は会社ごとにかなり違います。何をしている会社なのかを見てから判断するほうが、期待とのずれが小さいと思います。
この記事の検証方法
- この記事は考え方の整理であり、個別銘柄の推奨や暗号資産の価格・将来性についての予測を行うものではありません。
- 暗号資産そのものの売買方法・取引所の紹介は当サイトの範囲外です。
- 「264銘柄」「無配17社」「実績PER30倍超42社」の実測データは、2026年9月2〜3日に当サイトが調査したものです。
- 個別の周辺株について、暗号資産関連事業が売上に占める比率は確認していません。この記事では扱いません。
- MiCAの条文の詳細は別記事に譲り、この記事では制度の位置づけのみを扱っています。
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する分野の銘柄を保有しているとは限りません)。
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。暗号資産そのものの売買・取引所の利用については当サイトの範囲外であり、本記事はその方法を案内するものではありません。記載の実測データは2026年9月2〜3日時点で取得した情報にもとづいており、市場の変動や制度の変更により内容が変わる場合があります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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