※この記事の数字は、2026年9月に集計の誤りを直したうえで取り直したものです。経緯は末尾の「この記事の検証方法」に書いています。
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この記事の結論
- 2026年9月2日に実測すると、欧州の保険株15社の配当利回りの中央値は4.58%でした。銀行(4.33%)と僅差の上位2業種のひとつで、取得日によって順位が入れ替わる程度の差です
- 理由は保険料を先に受け取り、支払いは後から起きるという商売の形にあると思います。銀行のような大きな設備投資も、医薬のような研究開発費も要りません
- ただし配当性向が100%を超えている会社が混じっています(アビバ222%・トリグ111%)。業種の中央値だけでは、1社ずつの状態までは分かりません
- 再保険3社が揃って低PER(9.77倍〜11.48倍)という特徴もありますが、理由までは当サイトで確認できていません
2026年9月2日、欧州の保険株15社について、利回り・PER・配当性向を同じ日に実測しました。結論から言うと、保険が高配当になりやすいのは、保険料を先に受け取り、支払いは後から起きるという商売の形そのものに理由があると思います。ただし、業種の中央値だけを見て個別の銘柄に飛びつくのは危ないと感じる実例も、今回のデータには混ざっていました。
実測15社:保険株の配当利回りは中央値4.58%
今回実測した15社を、利回りが高い順に並べました。
| 会社 | 国 | 利回り | PER | 配当性向 | 事業 |
|---|---|---|---|---|---|
| リーガル&ジェネラル | 英 | 7.58% | 25.36倍 | 59% | 保険・資産運用 |
| アビバ | 英 | 5.48% | 40.35倍 | 222% | 保険 |
| トリグ | 丁 | 5.46% | 21.07倍 | 111% | 損害保険 |
| アクサ | 仏 | 5.36% | 11.69倍 | 52% | 保険 |
| チューリッヒ保険 | 瑞 | 5.03% | 14.91倍 | 78% | 保険 |
| ハノーバー再保険 | 独 | 4.88% | 11.48倍 | 46% | 再保険 |
| ポステ・イタリアーネ | 伊 | 4.68% | 14.42倍 | 67% | 郵便・金融・保険 |
| ミュンヘン再保険 | 独 | 4.58% | 9.77倍 | 44% | 再保険 |
| スイス再保険 | 瑞 | 4.57% | 10.67倍 | 47% | 再保険 |
| スイス・ライフ | 瑞 | 4.01% | 19.87倍 | 79% | 生命保険・資産管理 |
| ゼネラリ | 伊 | 3.83% | 14.96倍 | 60% | 保険 |
| アリアンツ | 独 | 3.81% | 14.73倍 | 56% | 保険 |
| マプフレ | 西 | 3.28% | 11.44倍 | 51% | 保険 |
| タランクス | 独 | 3.06% | 12.48倍 | 36% | 保険 |
| リネア・ディレクタ | 西 | 2.68% | 15.53倍 | 32% | 損害保険 |
15社の中央値は利回り4.58%、PER14.73倍、配当性向56%です。当サイトが業種別に実測した記事では、銀行の利回り中央値は4.33%でした。保険と銀行はどちらも上位に来る業種で、その差はわずかです。取得する日によっては順位が入れ替わってもおかしくない程度の僅差だと考えています。
なぜ保険は高配当になりやすいのか——保険料を先に受け取る商売
保険という商売の特徴は、お金の入り方と出方の順番にあります。契約者から保険料を先に受け取り、事故や病気が起きて保険金を支払うのは後になります。この間、保険会社の手元にはお金が滞留します。
この商売の形は、他の業種と比べると際立っています。銀行のように大規模な店舗網やシステムへの設備投資を継続的に積み上げる必要はなく、医薬・ヘルスケアのように新薬開発に何年もの研究開発費を投じ続ける必要もありません。稼いだ利益を、次の投資に回す代わりに株主還元へ回しやすい構造だと言えます。
実際、今回の15社の配当性向の中央値は56%でした。8業種の中でも中位にあたる水準で、無理に利益を取り崩して配っているわけではないと見ています。利益のかなりの割合を配当に回しやすいという意味で、保険という業種の性格が数字に表れていると思います。
再保険3社が揃って低PER、理由は確認できていない
今回の15社の中で目を引くのが、再保険3社のPERです。ミュンヘン再保険9.77倍、スイス再保険10.67倍、ハノーバー再保険11.48倍と、いずれも15社の中央値14.73倍を下回っています。
再保険とは、保険会社が自分自身のリスクを分散するために保険をかける相手、いわば「保険会社に保険をかける会社」です。自然災害の発生状況によって業績が動くという、一般の保険会社とは違う要因を抱えています。ただし、この3社のPERがなぜそろって低くなっているのか、その理由までは当サイトで確認できていません。推測は避け、事実として3社が低PERに並んでいることだけをお伝えします。
配当性向100%超が2社——アビバ222%・トリグ111%
ここが今回いちばん書いておきたい点です。15社の表をもう一度見ると、アビバの配当性向は222%、トリグは111%です。配当性向が100%を超えるということは、その年に稼いだ利益よりも多い金額を配当として払い出しているということです。利益を超えて配っている状態だと言えます。
当サイトでは、配当性向がこの水準に達している銘柄は記事化を見送る基準にしています。誤解のないように書いておくと、配当性向が100%を超えているからといって、この2社が近いうちに減配するとは限りません。その年だけ利益が小さかったという場合もありますし、この2社が100%を超えている理由までは当サイトで確認できていません。ここで言えるのは「利益を超えて配っている状態にある」という事実までで、その先の予測はできません。
保険という業種全体の配当性向は中央値56%で、8業種の中では中位です。ただ、その中央値だけで「保険株は高配当だから安心」と考えてしまうと、実際とは違うことがあると思います。業種の傾向と、1社ずつの数字は別物です。今回の15社のように、同じ業種の中でも32%から222%まで幅があることを、実測して初めて実感しました。なお、PERも9.77倍から40.35倍まで4倍以上の開きがあり、PERだけで比べにくい業種だと感じます。理由までは確認できていないため、ここでは注意にとどめておきます。
保険は7か国すべてに散っている業種
今回の15社の国の内訳は、ドイツ4社・スイス3社・スペイン2社・イギリス2社・イタリア2社・デンマーク1社・フランス1社です。当サイトが取り上げている7か国すべてに、保険株が入っていることになります。
これは他の業種にはあまり見られない特徴だと思います。保険という商売は、その国の規制のもとで、その国に住む顧客を相手にすることが多く、国境を越えて一つの会社が市場を席巻するという形になりにくいのではないかと思います。どの国にも、その国で長く商売をしてきた保険会社がある、という状態が今回の実測にも表れているのだと思います。
まとめ:高配当の理由と、混じっている注意点
- 2026年9月2日に実測した結果、保険15社の配当利回りは中央値4.58%で、銀行(4.33%)と僅差の上位2業種のひとつ
- 理由は保険料を先に受け取り、支払いは後から起きる商売の形にある
- 再保険3社が揃って低PER(9.77倍〜11.48倍)だが、理由は確認できていない
- 配当性向が100%を超えている会社が混じっている(アビバ222%・トリグ111%)。業種の中央値だけで飛びつかない
- 7か国すべてに散っている業種で、国ごとの規制と顧客に根ざした商売だと考えられる
高い利回りには理由があります。保険の場合は商売の形からくるものですが、そのなかにも利益を超えて配っている会社が混じっています。1社ずつ配当性向を見ておくと安心だと思います。
この記事の検証方法
- この記事は、公開後に集計の誤りが見つかったため数字を全面的に見直しています。当初の集計には当サイトが初期に取り上げたアリアンツ・ミュンヘン再保険・スイス再保険・チューリッヒ保険の4社が含まれておらず、業種の顔ぶれと中央値が実態とずれていました
- 利回り・PER・配当性向は、2026年9月2日に266銘柄を同じ日に一斉に取り直しました。初期に取り上げた銘柄も対象に加えたうえでの再取得です
- 対象は今回実測した欧州の保険関連銘柄15社です。当サイトの記事に登場した銘柄の中から選んでおり、欧州市場に存在する保険株すべてを網羅したものではありません
- 配当性向100%超の会社について「近いうちに減配する」といった予測はしていません。利益を超えて配っている状態にある、という事実の提示にとどめています
- 再保険3社のPERがそろって低い理由(保有資産の評価損益・保険金支払いの振れなど)は、当サイトとして個別に確認したものではありません。推測は書かず、事実の提示にとどめています
- 国別の内訳・業種の分類は、当サイトが各社の事業内容から機械的に整理したものです。公式な業種分類(GICS等)ではありません
- 配当利回りは取得元の表示をそのまま使っており、日によって動きます。数値は2026年9月2日時点のものです
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する銘柄を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の利回り・PER・配当性向は2026年9月2日時点で取得した情報にもとづいており、市場の変動により変更される場合があります。配当性向が高い銘柄について将来の減配・増配を示すものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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