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この記事の結論
- 2026年8月30日、実績PER15倍以下×配当利回り3%以上×配当性向80%以下の3条件で絞り込むと45社が残りました
- イタリア13社・フランス11社・スペイン8社の南欧3か国だけで32社、45社の7割を占めます
- 業種も偏っており、金融14社・公益6社を合わせると20社、4割超です
- 利回り上位には特別配当・不動産の評価益・業績の振れという3種類の落とし穴が混ざっています。これは推奨リストではありません
以前、欧州株のPERを同じ日に全部調べた記事で、当サイトが記事化している欧州株のPERの中央値は17.74倍、高配当だけで組むことの是非を考えた記事では配当利回りの中央値は2.81%という数字を出しました。ここまでは、それぞれ単独で分布を見た記事です。
今回は一歩進めて、「割安」と「高配当」を同時に満たす銘柄を実際に絞り込むと、どんな顔ぶれが残るのかを見てみます。2026年8月30日、当サイトが記事化している欧州株の実績PER・配当利回り・配当性向を同じ日に一斉に取得し、次の3つの条件で絞りました。
- ①実績PERが15倍以下
- ②配当利回りが3%以上
- ③配当性向が80%以下(利益を超えて配当していないこと)
③の配当性向について補足します。当サイトは、配当性向が100%を超えている銘柄については記事化そのものを見送る基準を持っています。今回の80%以下という条件は、それよりもう一段厳しい水準です。
結果、45社が残りました。先に断っておきたいのですが、この記事は「この45社を買えばよい」という推奨リストではありません。3つの数字の条件を機械的に通過しただけで、各社の事業内容、財務の中身、業界の見通しは一切見ていません。以下で見ていくとおり、条件を通過した銘柄の中には、数字だけでは見えない事情を抱えたものが少なくありません。
3条件を通過した45社——国別ではイタリア・フランス・スペインが7割
まず、45社を国別に分けるとこうなりました。
| 国 | 社数 |
|---|---|
| イタリア | 13社 |
| フランス | 11社 |
| スペイン | 8社 |
| ドイツ | 5社 |
| イギリス | 5社 |
| デンマーク | 2社 |
| スイス | 1社 |
見ての通り、イタリア13社・フランス11社・スペイン8社の南欧3か国だけで32社、45社の実に7割を占めます。これは偶然ではないと思います。PERを同じ日に調べた記事の実測でも、この3か国はもともと中央値PERが最も低いグループでした(フランス14.92倍・イタリア14.97倍・スペイン15.43倍)。PERの出発点が低い国ほど、「15倍以下」という条件を通過しやすいのは、考えてみれば当然の結果だと思います。
業種にも同じ偏りがある——金融と公益で4割超
国だけでなく、業種で見ても偏りは明らかです。
| 業種 | 社数 |
|---|---|
| 金融(銀行・保険・資産運用) | 14社 |
| 公益・エネルギー | 6社 |
| その他 | 25社 |
金融(銀行・保険・資産運用)と公益・エネルギーを合わせると20社、45社の4割を超えます。当サイトはこれまで銀行株や公益株を取り上げた記事の中で、「割安×高配当を探すと、必ずこの2業種に行き着く」と書いてきましたが、今回の実測はそれをそのまま裏付ける結果になったと思います。
利回りが高い順に見ると——上位10社
45社を全部並べても読みにくいので、利回りが高い順に上位10社だけを表にしました。
| 順位 | 会社 | 国 | 業種 | 利回り | PER | 配当性向 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ダネルム | 英 | 家庭用品小売 | 8.01% | 11.84倍 | 60% |
| 2 | ルノー | 仏 | 自動車 | 7.69% | 8.83倍 | 66% |
| 3 | スカンジナビアン・トバコ・グループ | 丁 | たばこ(葉巻) | 6.44% | 9.22倍 | 54% |
| 4 | インペリアル・ブランズ | 英 | たばこ | 6.39% | 11.78倍 | 74% |
| 5 | フォノビア | 独 | 住宅賃貸(不動産) | 6.27% | 4.65倍 | 27% |
| 6 | カルフール | 仏 | 小売・スーパー | 6.10% | 12.29倍 | 70% |
| 7 | ナトゥルジー | 西 | ガス・電力 | 5.98% | 13.00倍 | 48% |
| 8 | バンコBPM | 伊 | 銀行 | 5.97% | 12.53倍 | 79% |
| 9 | プロセグール | 西 | 警備・現金輸送 | 5.82% | 12.73倍 | 77% |
| 10 | バンカ・メディオラヌム | 伊 | 銀行・資産運用 | 5.41% | 13.67倍 | 71% |
一見、利回りが高いほど魅力的に見えます。ただ、この並びをそのまま受け取ると見誤ると思います。理由を次で説明します。
この表には3つの落とし穴がある
1位ダネルムの8.01%は、特別配当を含んだ数字です。当サイトの実測では、直近1年の配当0.700ポンドのうち0.250ポンドが特別配当で、通常配当だけで計算すると利回りは約5.04%になります。スクリーニングの数字は、この特別配当分を区別してくれません。
5位フォノビアのPER4.65倍は、不動産の評価益による見かけの低PERです。不動産会社の利益には保有物件の評価益が混ざることがあり、他の業種と同じ意味でPERを比べることはできません。この点は欧州の不動産株の記事で詳しく書いています。
2位ルノーの7.69%にも注意が要ると思います。当サイトは自動車を、業績の振れが大きい業種として扱っています。利益がたまたま良い時期に当たると、PERは低く、利回りは高く見えることがあります。
機械的なスクリーニングは、こうした3種類の罠を必ず拾ってしまうものだと思います。だからこそ、条件を通過したあとに、1社ずつ中身を確かめる作業が要ります。その確かめ方については、当サイトが記事にしない欧州株の条件をまとめた記事で書いています。
まとめ:スクリーニングは候補を減らす道具
- 2026年8月30日の実測で、PER15倍以下×利回り3%以上×配当性向80%以下の3条件を通過したのは45社
- 国別ではイタリア・フランス・スペインの南欧3か国で7割、業種では金融・公益で4割超
- 利回り上位には特別配当・不動産の評価益・業績の振れという落とし穴が混ざっている
- この記事は推奨リストではなく、条件を通った顔ぶれとその偏りを示したもの
スクリーニングは候補を減らすための道具であって、選ぶための道具ではないと思います。3つの数字を通っただけの45社から、実際にどれかを選ぶとすれば、そこから先は1社ずつ事業内容や決算を確かめる作業になります。今回の実測が、その最初の絞り込みの一つの目安になれば嬉しいです。
この記事の検証方法
- 2026年8月30日、当サイトが記事化している欧州株の実績PER・配当利回り・配当性向を同じ日に一斉に取得しました
- 絞り込みの条件は①実績PERが15倍以下 ②配当利回りが3%以上 ③配当性向が80%以下の3つです
- この3条件をすべて満たしたのは45社でした
- この記事は「買うべき銘柄」を推奨するものではありません。3つの数値条件を機械的に通過した銘柄を示しただけで、各社の事業内容・財務の中身・業界の見通しは検証していません
- 国別・業種別の内訳は、条件を通過した45社を当サイトの分類で集計したものです。業種分類は当サイトの整理によるもので、GICSなどの公式な業種分類ではありません
- 表中の利回り・PER・配当性向は、いずれも2026年8月30日時点の数値です。ダネルムの利回りには特別配当が含まれており、通常配当だけで計算すると数値は変わります
- この記事の数値は当サイトが取り上げた銘柄に限った集計であり、欧州市場全体を代表するものではありません
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する銘柄を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載のPER・配当利回り・配当性向は2026年8月30日時点で取得した情報にもとづいており、市場の変動により変更される場合があります。本記事に登場する銘柄は3つの数値条件を機械的に通過したものであり、購入を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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