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欧州の高齢化と投資|65歳以上22%・中位年齢44.9歳という前提【2026年】

欧州の高齢化と投資|65歳以上22%・中位年齢44.9歳という前提【2026年】

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この記事の結論

  • EUの65歳以上人口比率は22.0%、中位年齢は44.9歳です(Eurostat、2025年1月1日時点)
  • 高齢者扶養率は34.5%から2100年には59.7%へ、ほぼ倍増すると予測されています
  • ただし「人口が減る=企業の売上が減る」ではありません。世界で売る会社と、国内向けの会社を分けて見る必要があります
  • 追い風になりやすいのは医薬・ヘルスケア、逆風になりうるのは財政と内需型のビジネスというのが筆者の見方です

「欧州は高齢化が進んでいて、これから成長しない」。この記事を書いている当ブログにも、そういうイメージを持たれることがあります。ただ、この言葉は雰囲気で語られがちで、実際の数字とセットで確認されることは多くありません。そこでこの記事では、欧州の高齢化をEurostat(EU統計局)の公式統計だけで確かめたうえで、投資家としてどう受け止めればよいかを整理します。

先に結論を書きます。人口が減ることと、企業の売上が減ることはイコールではありません。当サイトが扱う欧州企業には世界で売る会社が多く、国内の人口動態だけで業績が決まるわけではないからです。そのうえで、高齢化という「かなり確実に分かっている未来」が、業種によってどう追い風・逆風になりうるかを見ていきます。

目次

数字で見る欧州の高齢化:65歳以上22.0%、中位年齢44.9歳

まず前提となる数字です。Eurostatが公表している2025年1月1日時点の統計によると、EU全体で65歳以上の人口が占める比率は22.0%。「5人に1人以上」という水準です。年齢の真ん中を示す中位年齢は44.9歳。働く世代1人あたりで高齢者を支える負担度合いを示す高齢者扶養率は34.5%で、これがEurostatの予測では2100年に59.7%まで上がるとされています。国別に見ると差もあり、高齢化率が最も高いのはイタリアの24.7%、最も低いのはルクセンブルクの15.2%です。

指標数値時点・予測
EU全体の65歳以上人口比率22.0%2025年1月1日
同・2100年予測32.5%Eurostat予測
中位年齢44.9歳2025年1月1日
高齢者扶養率34.5%2025年1月1日
同・2100年予測59.7%Eurostat予測
高齢化率が最も高い国イタリア 24.7%2025年1月1日
高齢化率が最も低い国ルクセンブルク 15.2%2025年1月1日
出典:Eurostat「Population structure and ageing」(2026年8月29日に確認)

高齢者扶養率がほぼ倍増するという予測は、年金や医療といった社会保障の負担が長期的に重くなることを意味します。ここまでは、よく語られる「欧州は高齢化が進んでいる」という話の中身そのものです。問題は、この先をどう投資に結びつけるかです。

「人口が減る=企業の売上が減る」ではない

高齢化は労働力人口の減少を通じて、一国の経済成長率にとって重荷になるとされています。欧州株はなぜ米国株より安いのかという記事で挙げた構造要因のひとつも、この人口動態でした。ただ、ここで区別しておきたいことがあります。一国の経済成長率と、個別企業の売上は同じものではないということです。

当サイトが扱ってきた欧州企業には、世界で売る会社が少なくありません。ネスレは世界中で食品を、LVMHは世界中でラグジュアリー品を、ASMLは世界の半導体メーカーに製造装置を、スイスのシーカやボサードも建材・締結部品を世界に供給しています。こうした会社にとって、欧州域内の人口が減ることは、売上の一部の前提が変わることではあっても、事業全体を左右する話ではありません。欧州株のセクター勢力図の記事で書いたとおり、欧州株は工業や消費財の比率が高く、内需だけに頼らない業種構成になっています。

もちろん、これは「高齢化は関係ない」という話ではありません。国内向けの比率が高い会社ほど影響を受けやすく、世界に売る会社ほど影響が薄まる。この区別を持っておくことが、悲観論をそのまま受け取らないための最初の一歩だと思います。

追い風になりやすい業種:医薬・ヘルスケア

高齢化が素直に追い風として働きやすいのが、医薬・ヘルスケア業種です。当サイトが業種別に実測したところ、医薬・ヘルスケア業種のPER(株価収益率)の中央値は23.96倍で、全業種のなかで最も高い水準でした。PERが高いということは、それだけ市場がその業種の先行きに期待を寄せているという事実を示しています。

とくに加齢とともに需要が増えやすい分野として、補聴器・歯科インプラント・眼科があります。当サイトで扱ってきた企業でいえば、補聴器ではソノヴァ(スイス)やデマント(デンマーク)、歯科インプラントではストローマン(スイス)、眼科機器ではカールツァイス・メディテック(ドイツ)、医療機器全般ではコロプラスト(デンマーク)などが該当します。これらは高齢化という需要側の変化が、比較的そのまま業績に結びつきやすい商売だと言えます。

日本からこうした欧州の医薬・ヘルスケア企業を個別株で持ちたい場合、現地市場をそのまま取り扱っているのはサクソバンク証券がほぼ唯一の入り口です。SBI証券・楽天証券・マネックス証券では、スイスやドイツ、デンマークの現地上場株を直接買うことはできません。

逆風になりうる領域:財政と内需型のビジネス

逆に、高齢化が負担として効きやすい領域もあります。ひとつは国の財政です。高齢者扶養率が34.5%から59.7%まで上がれば、年金や医療にかかる支出は増えます。その分をまかなうための増税や社会保障改革は、企業にとってもコスト増につながりうるものです。欧州の政策金利を整理した記事で見た金利や物価の動きも、こうした財政の話と無関係ではありません。

もうひとつは、小売・不動産・公益といった、国内の人口に業績が直結しやすい業種です。世界に売る会社が高齢化の影響を薄められるのに対して、こうした内需型のビジネスは、国内の消費者や世帯数がそのまま需要の土台になります。同じ「欧州株」でも、どちらのタイプかによって高齢化の効き方はかなり違う、というのがここまでの整理です。

日本の投資家にとっての読み方

ここで日本の投資家に有利な点をひとつ挙げておきます。日本はEUよりも高齢化が先に進んでいる国です。EUの65歳以上22.0%・中位年齢44.9歳という数字を見て、「日本で先に起きたことが、欧州でも順を追って起きていくかもしれない」という視点で考えられるのは、日本に住む投資家ならではの利点だと思います。

ただし、これはあくまで視点の話であって、予測ではありません。日本の医薬・ヘルスケア株がどう推移してきたかと、欧州の同業種がこの先どう推移するかは別の話ですし、この記事では経済成長率や株価の先行きについて何かを断定するつもりはありません。移民政策のような制度面の論点も、この記事の範囲では扱いません。あくまで「そういう順番で考えられる」というところまでにとどめておきます。

まとめ:人口動態は「かなり確実に分かっている未来」

  • EUの65歳以上人口比率は22.0%、中位年齢は44.9歳(Eurostat、2025年1月1日時点)
  • 高齢者扶養率は34.5%から2100年に59.7%へ、ほぼ倍増する予測
  • 「人口が減る=企業の売上が減る」ではない。世界で売る会社と内需型の会社を分けて見る
  • 追い風は医薬・ヘルスケア(当サイト実測でPER中央値23.96倍と全業種で最高)、逆風は財政と内需型のビジネス
  • 日本はEUより高齢化が先に進んでいるため、順番で考えられるのが日本の投資家の利点

人口動態は数少ない「かなり確実に分かっている未来」ですが、それが株価に効く順番までは分からないと思います。

この記事の検証方法

  • EUの65歳以上人口比率・中位年齢・高齢者扶養率・国別の最高値と最低値は、Eurostat「Population structure and ageing」(2026年8月29日に確認)を出典としています
  • 医薬・ヘルスケア業種のPER中央値23.96倍は、当サイトが業種別に実測した値です
  • サクソバンク証券の取扱銘柄・証券会社ごとの取扱可否は、各社の公式サイトの記載にもとづいています
  • 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事で挙げた個別企業を保有しているとは限りません)

この記事を書いた人:Kawa

ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール

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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の統計・数値は本文記載の各時点で確認した情報にもとづいており、変更される場合があります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報にもとづく損失について一切の責任を負いません。

Kawa
サイドFIRE生活中
ヨーロッパ在住30代。兼業投資家として株式投資、FX、不動産投資を行う。株式投資やFX取引では、ダウ理論とグランビルの法則を用いたテクニカル分析メインで、ファンダメンタルズ分析も組み合わせて投資判断を行う。欧州の不動産市場にも注力し、賃貸収入やキャピタルゲインを狙った長期的な投資を狙う。夢はボルゾイを飼うこと。
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