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この記事の結論
- 2026年8月時点で、ECBの預金ファシリティ金利は2.25%、イングランド銀行(BOE)は3.75%、スイス国立銀行(SNB)は0.00%です。欧州はひとつではありません
- ユーロ圏のインフレ率(HICP)は2.9%(2026年7月速報値)で、ECBの目標である中期的な2%をまだ上回っています
- 足元は利下げ局面ではありません。ECBは2026年6月11日に金利を引き上げています
- 金利は業種ごとに逆向きに効くとされ、銀行と不動産は反対方向に動きやすいため、両方持っていれば打ち消し合う面があります
「欧州の金利」とひとくくりに語られることがありますが、実際には欧州には複数の中央銀行があり、それぞれ違う水準の政策金利を持っています。この記事では、2026年8月時点の実績値だけを使って、欧州の主要な政策金利がいま何%なのかを整理します。将来の金利がどうなるかという予想は書きません。実績と、すでに公表されている次回決定日だけを扱います。
そのうえで、金利が欧州株のどこに効くのかを、業種ごとの教科書的な整理として書きます。個別銘柄の株価がこう動くという予想はしません。あくまで「一般にこう説明される」という整理です。
欧州の政策金利は、いま何%か|ECBの3つの金利
ユーロ圏の中央銀行であるECB(欧州中央銀行)は、政策金利を1つではなく3つ発表しています。銀行がECBに資金を預けるときの金利、銀行同士の資金調達の基準になる金利、銀行がECBから資金を借りるときの金利の3種類です。ニュースで「ECBが金利を据え置いた」と言うときに基準になるのは、このうち預金ファシリティ金利です。
| 金利 | 現在値 | 決定日 | 有効日 |
|---|---|---|---|
| 預金ファシリティ金利 | 2.25% | 2026年6月11日 | 2026年6月17日 |
| 主要リファイナンス金利 | 2.40% | 2026年6月11日 | 2026年6月17日 |
| 限界貸付金利 | 2.65% | 2026年6月11日 | 2026年6月17日 |
直近の政策理事会は2026年7月23日に開かれましたが、3つの金利はいずれも据え置かれました。つまり2026年8月時点の最新値は、6月11日に決定された上の表の水準のままということになります。
「欧州」はひとつではない|BOE3.75%・SNB0.00%との違い
ここで見落とされがちなのが、ユーロを使っていない国です。イギリスはユーロ圏に含まれず、独自の中央銀行であるイングランド銀行(BOE)が政策金利を決めています。スイスも同様に、スイス国立銀行(SNB)が独自の金利を持ちます。つまり「欧州の金利」を1つの数字で語ることはできません。
| 中央銀行 | 政策金利 | 直近の決定 |
|---|---|---|
| イングランド銀行(BOE) | 3.75% | 2026年7月30日に据え置き。次回決定日は2026年9月17日 |
| スイス国立銀行(SNB) | 0.00% | 2026年6月18日に据え置き |
ECBの2.25%、BOEの3.75%、SNBの0.00%。同じ「欧州の中央銀行」でも、水準は3.75ポイントも開いています。欧州株に投資するときは、対象企業がどの通貨圏に属しているかによって、効いてくる金利がまったく違うという点を押さえておく必要があります。なお、ECBの次回の政策理事会の日付は本記事執筆時点で確認できていないため、ここには書きません。BOEについては次回決定日が9月17日と公表済みのため、事実として記載しています。
足元は利下げ局面ではない|2026年6月の引き上げ
ECBは2024年半ばから利下げの流れに転じ、その後も金利を段階的に下げてきました(各回の日付と幅は当サイトで確定できなかったため、ここでは書きません)。ただし2026年6月11日の決定は「引き上げ」です。中東情勢によるエネルギー価格上昇が背景にあると報じられています。つまり、2024年からの利下げの流れは、2026年6月にいったん反転しました。
この点は誤解されやすいところです。「ECBは利下げを続けている」という認識のまま情報を追うと、足元の状況を取り違えます。2026年7月時点のユーロ圏のインフレ率(HICP、速報値)は2.9%で、6月の2.8%からわずかに上昇しました。内訳ではエネルギーが10.0%と特に高く、6月から1.5ポイント上がっています。ECBの物価目標は中期的に2%であることを踏まえると、インフレはまだ目標を上回ったままです。「金利が下がるから不動産株が有利」といった単純な話が、いまの局面にはそのまま当てはまらないということです。
なお、日本の投資家にとっては、金利差は株価だけでなく為替を通じても効きます。円建ての損益は株価と為替の両方で決まるため、金利の話と為替の話は切り離せません。この点は欧州株の為替リスクを解説した記事で詳しく整理しています。
金利は欧州株のどこに効くか|銀行・不動産・公益の教科書的な整理
金利水準そのものの次に押さえておきたいのが、金利が業種ごとにどう効くとされているかです。ここは一般的な整理であり、個別銘柄の株価がこの通りに動くという予想ではありません。
| セクター | 金利が上がると | 金利が下がると |
|---|---|---|
| 銀行 | 貸出金利と預金金利の差(利ざや)が広がりやすく、収益にプラスとされる | 利ざやが縮みやすい。一方で借入需要は増えるとされる |
| 不動産・REIT | 借入コストが上がり、物件取得の採算が悪化しやすいとされる | 借入コストが下がり、住宅ローン金利も下がるため需要にプラスとされる |
| 公益(電力・ガス・送電網) | 大型の設備投資を借入で賄うため、調達コスト上昇が重荷になるとされる | 調達コストが下がる。また高い配当利回りの相対的な魅力が増すとされる |
加えて、金利が上がると将来のキャッシュフローの割引率が上がるため、成長株の理論価値が下がりやすいという一般論もよく語られます。これも「必ずそうなる」という話ではなく、金利と株価評価の関係を説明するときの基本的な考え方として理解しておくとよいと思います。
当サイトの掲載銘柄で言えば、銀行はウニクレディト・BNPパリバ・カイシャバンク、不動産はフォノビア・クレピエール、公益はエネル・イベルドローラ・スナム・テルナなどが該当する業種にあたります。繰り返しになりますが、これらの企業の株価が金利の動きにこの通り連動するという予想ではなく、業種の性質としてこう説明されることが多い、という整理です。
まとめ:欧州はひとつではなく、業種によって効き方も逆
- 2026年8月時点、ECBの預金ファシリティ金利は2.25%、BOEは3.75%、SNBは0.00%。同じ「欧州」でも水準はばらばら
- ユーロ圏のインフレ率は2.9%(2026年7月速報値)でECBの目標2%を上回っている
- 足元は利下げ局面ではない。2026年6月11日にECBは金利を引き上げた
- 金利は業種ごとに逆向きに効くとされ、銀行は金利上昇でプラス、不動産は金利上昇でマイナスに働きやすいとされる
- 保有する企業がどの通貨圏かによって、効いてくる金利も為替リスクも変わる
銀行と不動産は、金利に対して反対方向に動きやすいとされる業種です。両方をあわせて持っていれば、金利の動きが片方に与える影響を、もう片方がある程度打ち消してくれる面があります。金利の水準そのものを予想するより、こうした業種ごとの性質を知ったうえで、自分の持ち方を整理しておくほうが実務的だと思います。
この記事の検証方法
- ECBの3つの政策金利はECB公式サイトの発表資料(2026年6月11日決定分、2026年7月23日据え置き分)を出典としています
- ユーロ圏のインフレ率(HICP)はEurostat公表の速報値(2026年7月分)を出典としています
- BOE・SNBの政策金利と決定日は各中央銀行の公式発表を出典としています
- 2026年6月11日のECBの決定が「引き上げ」であり、中東情勢によるエネルギー価格上昇が背景とされている点は、公表資料と報道をもとにしています
- ECBの次回政策理事会の日付、および2024〜2025年の利下げ各回の詳細な日付・幅は、当サイトで確認できなかったため本文に記載していません
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事の内容は特定銘柄の保有状況とは関係ありません)
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の政策金利・インフレ率は本文記載の各時点で確認した情報に基づいており、今後変更される場合があります。将来の金利水準を予想するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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