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この記事の結論
- STOXX Europe 600の予想PERは約15.4倍(2026年7月1日時点)、S&P500は約19.5〜20.1倍(2026年8月26日時点)です。算出基準・時点が違うため、いずれも2026年夏時点の目安として見てください
- 差がつく理由として、業種構成・利益成長率・構造要因の3つが金融機関の分析として挙げられています
- 「安いから買い」にはバリュートラップ論という反論があります。安さが構造的なら、縮まらなくても不思議はありません
- 筆者の意見:PERの差は業種と成長率の違いの値段。買う理由は「安いから」ではなく中身に置くほうが筋がよいと思います
「欧州株は割安」という言葉を、投資系のメディアやSNSでよく見かけます。実際に予想PER(株価収益率)を並べると、欧州の指数の方が低い数字が出てくるのは事実です。ただし、その数字を「割安だから今すぐ買うべき」とそのまま受け取ってよいかどうかは、まったく別の話です。
この記事では、欧州株と米国株の予想PERの差を出典つきで確認したうえで、その差がなぜ生まれているのかを金融機関の分析にもとづいて整理します。あわせて、「安いから上がるはず」という見方への反論(バリュートラップ論)も、同じだけの熱量で紹介します。指数がこの先どちらに動くかについて、当サイトは何の予想もしません。
予想PERで比べると、欧州は15倍・米国は20倍前後
まず数字を確認します。STOXX Europe 600(欧州600銘柄の代表指数)の予想PERは約15.4倍(2026年7月1日時点、Siblis Researchの集計)。S&P500(米国の代表指数)の予想PERは約19.5〜20.1倍(2026年8月26日時点)で、データ提供元によって数字に幅があります。
| 指数 | 予想PER | 時点 | 出典 |
|---|---|---|---|
| STOXX Europe 600(欧州) | 約15.4倍 | 2026年7月1日 | Siblis Research |
| S&P500(米国) | 約19.5〜20.1倍 | 2026年8月26日 | データ提供元により幅 |
【注意】この2つの数値は、算出方法も確認した時点も違います。予想PERは将来利益の見積もり方によって数字が変わるため、STOXXとS&P500を同じ物差しで測った値ではありません。セクター構成の記事で書いたとおり、両指数は業種分類の基準自体も異なります。ここで挙げる数字は、いずれも2026年夏時点の目安として読んでください。
そのうえで見ると、同じ利益水準に対して欧州には2〜3割ほど安い値段がついている計算になります。金融機関のレポートの中には、欧州株を米国株に対して「35%のディスカウント」と表現するものもあるとの指摘があります。数字の幅はレポートによって異なりますが、方向としては「欧州の方が利益に対して安く買える」という点でおおむね一致しています。
差がつく理由として説明されている3つのこと
この差は「欧州株が不当に安く売られている」という意味ではありません。金融機関の分析では、主に次の3つの理由が挙げられています。
- 業種構成の違い。S&P500は情報技術と通信サービスを合わせて4割を超える構成であるのに対し、STOXX Europe 600のテクノロジーは1割弱とされています。当サイトのセクター勢力図の記事で実測したところ、米国のテクノロジーは36.6%、欧州のテクノロジーは8.0%でした。もともとPERが高くつきやすいテクノロジー業種の比率が違えば、指数全体のPERも違ってくると説明されています
- 利益成長率の差。欧州企業の2026年の増益率は3.6〜5%程度にとどまると予想されています。これはモルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスといった金融機関の予想であり、各社の見通しとして紹介するもので、当サイトの予想ではありません。米国はテクノロジー大手を中心とした高い成長率が織り込まれているのに対し、欧州は相対的に緩やかな成長率が織り込まれている、という説明です
- 構造要因とされるもの。エネルギーコストの高さ、規制の重さ、中国企業との競争激化、人口動態の重さといった要因が、欧州経済の重荷として挙げられています
この格差は2008年の金融危機のあとから開き始め、2015年以降とくに顕著になったとされています。ここ1〜2年の一時的な現象ではなく、10年以上続いている構造だという点は押さえておく必要があります。
業種構成の違いをふまえると、指数全体をひとくくりに見るより、実際にどの業種・どの企業が欧州の中身を構成しているかを見ていく方が実態に近づけます。個別の企業を選んで持ちたい場合、日本からはサクソバンク証券がほぼ唯一の入り口になります。
「安いから買い」で本当にいいのか|バリュートラップという反論
ここまでの数字だけを見ると、「欧州は割安なのだから、いま買うべきだ」と思いたくなるかもしれません。しかし、この考え方には有力な反論があります。それがバリュートラップ論です。
業種構成や利益成長率の差は、明日になって急に変わるものではありません。安く見える理由が構造的なものであるなら、その安さが今後も続いたとしても不思議ではない、という考え方です。実際、過去10年以上にわたって「欧州株は割安だ」と言われ続けてきましたが、その間に差が縮まったという実感は乏しいとされています。割安に見える指数を買って、割安なまま何年も置かれる。これがバリュートラップと呼ばれる状態です。
一方で、2026年には「この格差は歴史的に見ても開ききった水準にある」との指摘も出てきています。ただし、これも「だからここから縮まる」と予想する材料にはなりません。格差が広がりきったという観測と、格差が縮まるという予想はまったく別のものだからです。当サイトは、この指数の差が今後どちらに動くかについて、いずれの予想もしません。「割安だから上がる」「いずれ是正される」といった言い方は、この記事ではしません。
結論:PERの差は「業種と成長率」の値段
ここまで見てきた数字をふまえて、筆者はこう考えます。PERの差は「お買い得」を示す値札ではなく、業種構成と成長率の違いに対してついている値段です。安いのには理由があり、その理由の多くは構造的なものだと説明されています。
欧州株を買う理由を置くなら、「安いから」ではなく、資本財・銀行・ヘルスケアといった業種の中身や配当といった、実際にそこにあるものに置くほうが筋がよいと思います。割安さは、買う理由の一覧に最後に一行足す程度のものであって、最初に持ってくるものではない、というのが筆者の意見です。
まとめ:割安は買う理由の最後に足すもの
- STOXX Europe 600の予想PERは約15.4倍、S&P500は約19.5〜20.1倍(いずれも2026年夏時点の目安。算出基準・時点が違う)
- 差がつく理由として業種構成・利益成長率・構造要因の3つが金融機関の分析として挙げられている
- この格差は2008年の金融危機後から拡大し、2015年以降とくに顕著とされる、10年以上続く構造
- 「安いから買い」にはバリュートラップ論という反論がある。安さが構造的なら縮まらなくても不思議はない
- 筆者の意見:PERの差は業種と成長率の違いの値段。買う理由は中身に置くほうが筋がよい
数字の差を知ったうえで、それでも欲しいと思える中身が欧州株にあるかどうかを、ご自身の目で確かめてみてください。
この記事の検証方法
- STOXX Europe 600の予想PERはSiblis Researchを出典とし、2026年7月1日時点の数値です
- S&P500の予想PERは複数のデータ提供元を確認したところ約19.5〜20.1倍の幅があり、2026年8月26日時点の情報です
- 業種構成の数値(米テック36.6%・欧テック8.0%)は当サイトの別記事(欧州株のセクター勢力図)で実測した数値を再掲しています
- 利益成長率の予想はモルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックスなどのレポートを出典とし、各社の予想として紹介しています。当サイトの予想ではありません
- 「35%のディスカウント」という表現は、金融機関のレポートにある指摘として紹介しています
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事の指数を直接保有しているわけではありません)
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の予想PER・業種構成比・利益成長率の見通し等は本文記載の各出典・各時点で確認した情報に基づいており、変更される場合があります。指数の将来の値動きについて、当サイトはいかなる予想も断定も行いません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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