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この記事の結論
- 2026年8月30日、当サイトが記事化している欧州株について、配当の権利落ち履歴から連続増配年数を数えました。判定できたのは201銘柄です
- 取得できる履歴が5年分ほどのため、この集計では「4年連続」が上限になります。実際にはもっと長く増配を続けている会社があっても、当サイトのデータでは区別できません。
- 4年連続で増やした銘柄は39社。一方で57社は直近の年で増配が止まっています
- 4年連続組は英国企業と、規制で収益が読める公益銘柄に目立ちます
「配当貴族」という言葉を聞くと、何十年も増配を続けてきた会社を思い浮かべる方が多いと思います。当サイトでも欧州に配当貴族はいるのかという記事で、米国の25年基準に対して欧州の制度が10年基準であることを書きました。ただあの記事は「制度上そう呼べるか」という話で、当サイトが取り上げている銘柄が実際に何年増配を続けているかは、まだ数えていませんでした。
そこで今回、2026年8月30日に株価データサイト(stockanalysis.com)の配当ページから権利落ちの履歴を取得し、暦年ごとの配当合計を作って、前年より増えた年が何年続いているかを機械的に数えました。2025年までの完全な年で判定し、途中である2026年は数えていません。実際に数えてみると、増配の続き方には偏りがあり、しかも当サイトのデータには数え切れない上限があることも分かりました。その上限を含めて、正直にお伝えします。
全体像:4年連続は39社、直近で止まっているのは57社
まず全体の分布です。連続増配年数を判定できたのは201銘柄で、内訳は次のようになりました。
| 連続増配年数 | 社数 |
|---|---|
| 0年(前年より減ったか横ばい) | 57社 |
| 1年 | 26社 |
| 2年 | 34社 |
| 3年 | 45社 |
| 4年(今回の集計の上限) | 39社 |
ここで一番大事な但し書きを先にお伝えします。今回の集計で取得できる配当履歴は5年分ほどしかないため、連続増配年数は「4年」までしか数えられません。39社は当サイトのデータ上「4年連続」ですが、この中には実際には10年でも20年でも増配を続けている会社が含まれている可能性があります。当サイトのデータだけでは、4年より先を区別できないということです。この上限を踏まえたうえで読んでいただければと思います。
もう一つ目を引くのが0年の57社です。直近の年で配当合計が前年より減ったか横ばいだった会社で、201社中で最も多い層になります。連続増配というと右肩上がりの会社ばかりを想像しがちですが、実際に数えてみると、直近で足踏みしている会社のほうが多いというのがこの分布から見える実態です。
4年連続組の顔ぶれは英国に集中している
4年連続で増配している39社のうち、一部を国と業種とあわせて並べてみます。配当額や利回りではなく、会社と国・業種だけを見ていただきたい表です。
| 会社 | 国 | 業種 |
|---|---|---|
| バンズル | 英 | 業務用消耗品の流通 |
| インターテック | 英 | 検査・認証・試験 |
| ハルマ | 英 | 安全・環境機器 |
| セバーン・トレント | 英 | 水道 |
| ユナイテッド・ユーティリティーズ | 英 | 水道 |
| ウィアー・グループ | 英 | 鉱山機械 |
| スミス・グループ | 英 | 産業機器 |
| ライトムーブ | 英 | 不動産情報サイト |
| BPERバンカ | 伊 | 銀行 |
| トリグ | 丁 | 損害保険 |
| バンキンテル | 西 | 銀行 |
| ビスコファン | 西 | 食品用ケーシング |
並べてみると英国企業が目立ちます。水道のセバーン・トレントとユナイテッド・ユーティリティーズが2社そろって入っているのも印象的です。水道のように規制で収益がある程度読める公益は、業績が景気に振られにくく、増配を続けやすい構造なのだろうと思います。
ここでも繰り返しますが、この12社は「4年連続」であって「4年しか増配していない」という意味ではありません。当サイトが取得できる履歴の範囲でそう見えているだけで、実際の増配年数はもっと長い可能性があります。
なぜ英国に多いのか——浮動株比率という観察
英国企業に4年連続組が多いことについて、断定はできませんが、一つ整合する事実があります。当サイトの実測では、イギリスの浮動株比率が91.3%と7か国の中で最も高く、機関投資家中心の市場であることが分かっています。機関投資家は配当という定期的な現金収入を重視する傾向があるとされ、英国では中間配当と期末配当の年2回払いが慣行になっている(当サイトの実測では年2.35回)ことも、配当を経営の約束として扱う文化と関係しているのかもしれないと思います。
ただし、これはあくまで整合する観察であり、浮動株比率が高いから増配が続くという因果関係を確認したわけではありません。他にも業種構成や会計慣行など、いろいろな要因が重なっている可能性があります。断定はせず、一つの見方として受け止めていただければと思います。
利回りランキングとは別の顔ぶれになる
当サイトでは以前、欧州株の減配はどう起きるかという記事で、利回りが高い銘柄ほど減配リスクを抱えていることがある事例を紹介しました。今回の連続増配の顔ぶれを見ても、それを裏づけるように、高い利回りで名前が挙がるような銘柄はほとんど入っていません。増配を続けている会社は、利回りの数字だけを見ていると目立たないことが多いというのが実感です。
利回りランキングと増配ランキングは、見ている軸がそもそも違います。利回りは「今いくら配当をもらえるか」という一時点の数字で、連続増配は「配当を増やし続けているかどうか」という経営の姿勢に近い数字です。どちらが優れているという話ではなく、両方を見て初めて、その会社の配当政策が見えてくるのだと思います。
もう一つ付け加えると、0年(増配が止まっている)が悪いことだとは限りません。特別配当の反動で前年が高すぎただけの場合もありますし、成長投資を優先して配当を据え置く局面もあります。ただ、増配が止まったこと自体は数字として分かりますので、年1回のポートフォリオ点検の記事で書いた確認項目の一つに加えるとよいと思います。
まとめ:高い利回りより、増やし続けている会社を探す
- 2026年8月30日に実測した結果、判定できた201銘柄のうち4年連続増配が39社、直近で止まっているのが57社
- 取得できる履歴が5年分ほどのため、この集計の上限は「4年連続」です。実際にはもっと長く増配している会社がある可能性があります
- 4年連続組は英国企業と、規制で収益が読める公益銘柄に目立ち、英国の浮動株比率の高さと整合する観察です(因果関係は断定しません)
- 利回りランキングと連続増配ランキングは別の顔ぶれになります
高い利回りを探すよりも、増やし続けている会社を探すほうが、当サイトの実測を見るかぎり静かで確実な作業だと思います。今回の集計が、その探し方の一つの手がかりになれば嬉しいです。
この記事の検証方法
- 2026年8月30日に、株価データサイト(stockanalysis.com)の配当ページから権利落ちの履歴を取得し、暦年ごとの配当合計を作りました
- 連続増配年数は「前年より年間合計が増えた年が何年続いているか」で数えました。2025年までの完全な年で判定し、途中である2026年は数えていません
- 判定できたのは201銘柄です
- 【重要】取得できる配当履歴は5年分ほどのため、この集計では「4年連続」が上限になります。実際にはもっと長く増配を続けている会社があっても、当サイトのデータでは区別できません
- この記事の数値は当サイトが取り上げた銘柄に限った集計であり、欧州市場全体を代表するものではありません
- 4年連続増配の顔ぶれは、判定できた39社のうち一部を掲載しています。配当額・利回りは記載していません
- 英国の浮動株比率91.3%は、当サイトの別記事での実測にもとづく数値です
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する銘柄を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ヨーロッパ在住30代・サイドFIRE中の兼業投資家。日本の証券会社では買えない欧州株を、現地から実際の数字で解説しています。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の連続増配年数は2026年8月30日時点で取得したデータにもとづく当サイト独自の集計であり、取得できる履歴が5年分ほどのため4年連続を上限としています。実際の増配年数がこれより長い会社が含まれる可能性があります。将来の増配や株価の推移を保証するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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