分散投資、本当にできていますか?
米国株や日本株に投資している個人投資家は多いですが、ヨーロッパ株はまだまだ見落とされがち。しかし実は今、欧州の高配当・安定成長銘柄をまとめて狙える「ヨーロッパ株ETF」が、資産形成の新たな武器として注目を集めています。
この記事では、2025年最新版の視点で選んだ「おすすめのヨーロッパ株ETF 7選」をご紹介。
高配当銘柄を中心に、安定成長が期待できるETFを厳選し、投資スタイル別の選び方や購入方法まで完全解説します。
「米国株一辺倒から抜け出したい」「インフレや為替の影響を分散したい」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
ヨーロッパ株ETFとは?|分散投資の新定番
ETFの基本とヨーロッパ株ETFの特徴
ETF(Exchange Traded Fund)は、株式と同じように証券取引所で売買できる投資信託です。
特徴としては以下の3点が挙げられます。
- ✅ 少額から幅広い銘柄に分散投資できる
- ✅ 手数料が安く、透明性が高い
- ✅ 日中いつでも市場価格で売買できる
ヨーロッパ株ETFは、欧州全体に広く分散されたものから、ドイツやフランスなど国別に特化したタイプ、さらには高配当株やESG銘柄に絞った戦略型ETFまで種類が豊富です。
ETFを使えば、「1本買うだけで欧州の有力企業にまとめて投資できる」という効率性の高さが魅力。特に米国市場に上場しているETFであれば、日本の証券会社からでも簡単に購入できます。
米国株ETFとの違いはここにある
近年、米国株ETFはS&P500やNASDAQ100に連動する代表的な投資先として人気ですが、ヨーロッパ株ETFには米国ETFとは異なる魅力があります。
比較項目 | 米国株ETF | ヨーロッパ株ETF |
---|---|---|
成長性 | 高い(特にハイテク) | 安定感と成熟産業が中心 |
配当利回り | 低〜中 | 高め(3〜5%が中心) |
為替リスク | 円/ドル | 円/ユーロ or ドル経由で間接ユーロ |
産業構成 | ハイテク・金融中心 | ラグジュアリー・製薬・エネルギーなど多様 |
また、アメリカ一極集中のリスクを避けたい投資家にとって、ヨーロッパ市場は「地政学的・通貨的・経済的な分散効果」をもたらす重要な選択肢です。
👉 ヨーロッパ株ETFの投資メリットや市場の違いについては、以下の記事でさらに詳しく解説しています:
なぜ今ヨーロッパ株ETFに注目すべきか
これまで欧州株は、「米国株の影に隠れがち」な存在でした。しかし今、ヨーロッパ株ETFが中長期の資産形成を狙う投資家から再注目されています。
その背景には、経済回復・政策支援・優良企業の多さという3つの明確な追い風があります。
欧州経済の回復と成長分野
パンデミック後の欧州経済は、エネルギー危機やインフレの影響を乗り越えつつ、2024〜2025年にかけて回復基調が続いています。特に注目されている成長分野がこちら:
- 再生可能エネルギー(風力・水素など)
- EV・バッテリー関連
- ラグジュアリーブランド・観光業の復活
- 製薬・ヘルスケアの安定成長
こうした分野に強みを持つ企業が多いのが、ヨーロッパ株市場の特徴です。
ETFで投資すれば、個別銘柄のリスクを抑えつつ、これら成長分野の恩恵をまるごと享受できるのが魅力です。
グリーンディール・デジタル課税など政策の追い風
欧州連合(EU)は現在、「欧州グリーンディール」や「CBAM(炭素国境調整メカニズム)」といった環境・規制政策を積極推進しています。
これにより、次のような企業が大きく恩恵を受けています:
- 再生エネルギー関連(例:Orsted、Vestas)
- エネルギー効率化インフラ企業
- ESGスクリーニングをクリアする大手企業群
また、デジタル課税やAI関連の規制整備も進み、欧州独自のガバナンスが企業の長期的な安定経営を後押ししています。
👉 これらの政策的支援については、以下の記事で詳しく解説しています:

高配当&優良企業が揃う市場構造
ヨーロッパ株市場は、配当利回りが高く、財務の安定した老舗企業が多いのが特長です。
特に以下のような企業群は、グローバルブランド+安定収益+株主還元意識を兼ね備えています:
- LVMH(フランス:ラグジュアリー)
- Nestlé(スイス:食品)
- ASML(オランダ:半導体装置)
- TotalEnergies(フランス:エネルギー)
- Novartis(スイス:医薬品)
こうした企業にまとめてアクセスできるETFは、高配当と安定性を両立する手段として非常に有効です。
【2025年版】ヨーロッパ株ETFおすすめ7選
ここでは、2025年最新版の視点で選んだ「おすすめのヨーロッパ株ETF」を7本厳選して紹介します。各ETFには明確な特徴と投資戦略があり、あなたの投資スタイルに合わせて選ぶことができます。
※各ETFの数値は2025年4月のものを記載
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バンガード・FTSE・ヨーロッパETF(VGK)
欧州全体に広く分散できる王道ETF。超低コストが魅力。
VGKは、FTSE Developed Europe Indexに連動するETFで、英国、フランス、ドイツ、スイスなど欧州先進国の大型・中型株に幅広く投資します。特にコストの安さ(信託報酬0.11%)が強みで、長期保有に最適です。
指標 | 内容 |
---|---|
運用会社 | Vanguard(バンガード) |
対象指数 | FTSE Developed Europe Index |
保有銘柄数 | 約1,300社 |
信託報酬 | 0.06% |
分配金利回り | 3.20% |
特徴と魅力:
- ヨーロッパ先進国の大型〜中型株を幅広く網羅
- 英・独・仏・スイスなど主要国にバランスよく分散
- 手数料が非常に低く、長期投資向けの鉄板ETF
こんな人におすすめ:
- 初心者〜中級者で「まずは一本で欧州全体に投資したい」人
- 分散性と安定性を重視したい長期保有派
iシェアーズ・MSCIヨーロッパETF(IEV)
欧州の大型株に集中投資。メガキャップ重視の投資家向け。
IEVはS&P Europe 350指数に連動し、欧州主要国の代表的な企業に絞って投資します。VGKより銘柄数が少なく、より集中的なポートフォリオが特徴。やや信託報酬は高め(0.59%)ですが、銘柄選別力を重視する人におすすめ。
指標 | 内容 |
---|---|
運用会社 | BlackRock(iShares) |
対象指数 | S&P Europe 350 Index |
保有銘柄数 | 約350社 |
信託報酬 | 0.59% |
分配金利回り | 2.78% |
特徴と魅力:
- 欧州の大型株に集中投資(LVMH、Nestlé、SAPなど)
- 銘柄数が絞られており、より濃い内容で欧州の中核企業に投資
こんな人におすすめ:
- 米国ETFのような「絞られた優良銘柄投資」が好きな人
- VGKよりも「厳選された企業に集中したい」人
iシェアーズ・ヨーロッパ高配当株ETF(IDV)
高配当戦略に特化。安定したインカムを求めるならこれ。
IDVは配当利回りが高い欧州企業を中心に構成されており、金融、エネルギー、公益などのセクターが多め。インカムゲイン重視の投資家には非常に魅力的な選択肢です。
指標 | 内容 |
---|---|
運用会社 | BlackRock |
対象指数 | Dow Jones EPAC Select Dividend Index |
保有銘柄数 | 約100社(欧州比率高め) |
信託報酬 | 0.49% |
分配金利回り | 5.59%(超高配当) |
特徴と魅力:
- 世界中の高配当株を選定、特にヨーロッパ銘柄が多い
- セクターはエネルギー・金融・公益が中心
- 高配当インカム狙いに最適
こんな人におすすめ:
- 毎月の配当収入を重視する投資家
- 株価の値動きより「安定した利回り」を求める人
ストックス・ヨーロッパ600 ETF(FEZ)
※正式名称はSPDR EURO STOXX 50 ETF。
ユーロ圏の超優良企業50社に厳選投資。
FEZはEURO STOXX 50に連動し、ユーロ圏を代表する大型株のみで構成されます。英スイスなどは含まれませんが、欧州経済の中核にアクセスしたい人には理想的です。信託報酬も比較的低め(0.29%)。
指標 | 内容 |
---|---|
運用会社 | State Street |
対象指数 | Euro STOXX 50 |
保有銘柄数 | 50社 |
信託報酬 | 0.29% |
分配金利回り | 2.74% |
特徴と魅力:
- ユーロ圏の大型株50社に集中
- フランス・ドイツ・オランダの企業が中心
- ボラティリティが高く、短中期の値動き狙いも◎
こんな人におすすめ:
- ユーロ圏限定で投資したい人
- 少数精鋭の銘柄でリターンを狙いたい中〜上級者
iシェアーズ・MSCI・ユーロ圏ETF(EZU)
ユーロ圏全体に広く投資。中型株もカバー。
EZUはMSCI EMU Indexに連動し、ユーロ圏の大型・中型株に分散投資します。FEZより銘柄数が多く、より幅広い分散が可能。ドイツ、フランス、オランダ、イタリアなどが主要構成国です。
指標 | 内容 |
---|---|
運用会社 | BlackRock |
対象指数 | MSCI EMU Index |
保有銘柄数 | 約200社 |
信託報酬 | 0.51% |
分配金利回り | 2.57% |
特徴と魅力:
- FEZと同じくユーロ圏に特化、中型株も含むのが特徴
- より広い分散性を求めるならこちらが◎
こんな人におすすめ:
- FEZより分散重視のユーロ圏投資がしたい人
- 株価の安定性も求める中長期投資家
ウィズダムツリー 欧州為替ヘッジ付き株式ETF(HEDJ)
為替リスクを抑えたい投資家向け。
HEDJは、欧州の大型輸出企業に投資しながら、為替変動の影響を軽減できる「為替ヘッジ付きETF」です。
構成企業には、Siemens、Sanofi、SAPなど、国際競争力の高いグローバル企業が多く含まれています。
ユーロ安に左右されず、企業の実力で勝負したい中長期投資に最適です。
指標 | 内容 |
---|---|
運用会社 | WisdomTree(ウィズダムツリー) |
対象指数 | WisdomTree Europe Hedged Equity Index |
保有銘柄数 | 約120社 |
信託報酬 | 0.58% |
分配金利回り | 3.22% |
特徴と魅力:
- 為替ヘッジ付きでユーロ安リスクを回避
- 欧州輸出企業が中心の構成
- 配当利回りも3%超とバランス型
こんな人におすすめ:
- 為替変動が気になる投資家
- 欧州の成長を取り込みつつ、リスクヘッジも重視したい人
- 分配金も期待しながら安定運用したい人
iシェアーズMSCI Europe SRI(ESGD)
ESGやサステナビリティに注目する投資家向け。
ESGDは、環境・社会・ガバナンスに優れた企業のみを組み入れたSRI(社会的責任投資)ETF。構成企業には再生可能エネルギー関連やヘルスケア企業が多く、持続可能性を意識した中長期投資に適しています。
指標 | 内容 |
---|---|
運用会社 | BlackRock |
対象指数 | MSCI Europe SRI Index |
保有銘柄数 | 約150社 |
信託報酬 | 約0.20% |
分配金利回り | 2.48% |
特徴と魅力:
- ESG評価の高い企業のみを選定
- 再エネ・ヘルスケア・IT企業の構成比が高い
- 将来性+社会的意義のある投資ができる
こんな人におすすめ:
- ESG投資に関心がある人
- 中長期で成長を取り込みたいサステナビリティ志向の投資家
✅ 【2025年版】ヨーロッパ株ETFおすすめ7選 比較一覧表
番号 | ETF名(日本語名) | ティッカー | 信託報酬 | 分配金利回り | 特徴 | 向いている投資家 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | バンガード・FTSE・ヨーロッパETF | VGK | 0.06% | 3.20% | 欧州全体に超広範囲で分散、超低コスト | 初心者〜中級者、長期投資家 |
2 | iシェアーズ・MSCIヨーロッパETF | IEV | 0.59% | 2.78% | 大型株中心、S&P Europe 350に連動 | 厳選された欧州コア銘柄に投資したい人 |
3 | iシェアーズ・ヨーロッパ高配当株ETF | IDV | 0.49% | 5.59% | 高配当銘柄に特化、利回り高め | 配当収入を重視する中長期投資家 |
4 | SPDRユーロストックス50 ETF | FEZ | 0.29% | 2.74% | ユーロ圏の大型株50社に集中 | 値動きのある少数精鋭投資が好みの人 |
5 | iシェアーズ・MSCI・ユーロ圏ETF | EZU | 0.51% | 2.57% | ユーロ圏のみ、分散性◎ | 通貨をユーロ圏に絞りたい投資家 |
6 | ウィズダムツリー 欧州為替ヘッジ付き株式ETF | HEDJ | 0.58% | 3.22% | ユーロ安を避けられる為替ヘッジ付き | 為替リスクを抑えて欧州株に投資したい人 |
7 | iシェアーズMSCI Europe SRI ETF | ESGD | 0.20% | 2.48% | ESG優良企業のみで構成、サステナブル | ESG・再エネ・社会的責任に関心がある人 |
これらのETFを活用することで、ヨーロッパ市場の成長性・安定性・高配当といった複数の恩恵を受けることができます。次章では、あなたの投資スタイルに合ったETF選びのポイントを解説します。
ヨーロッパ株ETFはどこで買える?おすすめ証券口座
どんなに優れたヨーロッパ株ETFを見つけても、それを買えなければ意味がありません。
日本国内の証券会社では取り扱い銘柄に差があり、「ヨーロッパ株ETFをどこで買うか」は非常に重要なポイントです。
ここでは、海外ETFに対応したおすすめ証券口座と、その選び方のコツを紹介します。
👉 ヨーロッパ株投資全般の証券口座比較についてはこちらも参考に:
▶ ヨーロッパ株投資におすすめの証券口座
海外ETFに強い証券口座の選び方
ヨーロッパ株ETFを取り扱っている主要な証券会社には以下のような選択肢があります:
証券会社 | 取扱ETF数 | 為替手数料 | 特徴 |
---|---|---|---|
サクソバンク証券 | 多い(欧州銘柄◎) | 業界最安水準 | 外国株・ETFに特化。ヨーロッパ株に強い。 |
SBI証券 | やや限定的 | 片道25銭 | 日本語サポート&人気No.1 |
楽天証券 | 限定的 | 片道25銭 | ポイント投資との併用が可能 |
ETFを選ぶ際には、「米国上場の欧州ETFに対応しているか」「ユーロ建てETFも扱っているか」を事前にチェックしましょう。
サクソバンク証券のメリット・購入手順
特におすすめなのが、サクソバンク証券です。
欧州に本拠を持つグローバル証券で、日本国内でも金融庁の登録済み。海外ETFの取り扱いが豊富で、ヨーロッパ株投資には最適です。
サクソバンク証券の主なメリット:
- ✅ VGK・IDV・EZUなど主要なヨーロッパ株ETFを網羅
- ✅ 為替コストが安く、取引手数料も明瞭
- ✅ ユーロ建てETFや欧州個別株にも対応
- ✅ 高機能プラットフォーム「SaxoTraderGO」搭載
ETF購入の流れ(例:VGKを購入):
- サクソバンク証券に口座開設(無料)
- 米ドルを入金(日本円から自動両替も可能)
- 「VGK」で検索し、株数を指定して買付
海外ETFがはじめてでも、取引画面は直感的で迷うことはありません。
為替手数料・取扱銘柄にも注意
ETF投資では、「為替手数料」と「取扱銘柄数」のチェックも忘れてはいけません。
- 🔸 為替コストの差は、長期投資で大きな差に
- 🔸 せっかく調べたETFが「取り扱いなし」だった、というケースも多い
- 🔸 一部ETF(例:VGK)はドル建て、ユーロ建ての両方存在することも
できれば、低コストかつ欧州ETFに強い証券会社をメインに据えつつ、SBIや楽天などと併用して柔軟に使い分けるのがおすすめです。
証券口座選びは、ヨーロッパ株ETF投資の土台作り。
ここで手を抜かず、最適な環境を整えることで、将来的なパフォーマンスに大きく差が出ます。
まとめ|2025年、ヨーロッパ株ETFで資産の新たな軸を築こう
米国株が一強だった時代に、ヨーロッパ株は埋もれた存在だったかもしれません。
しかし、高配当・ESG・グローバル分散という観点から、ヨーロッパ株ETFは2025年以降の資産運用において、確かな存在感を放ち始めています。
この記事では、以下のような視点からヨーロッパ株ETFを徹底解説しました:
- ヨーロッパ株ETFの基本と魅力
- 欧州経済・政策による追い風
- 投資スタイル別のおすすめETF7選
- 最適な証券口座の選び方と注意点
ETFを活用すれば、たった1本で欧州の優良企業群に分散投資でき、長期的なリターンとリスクヘッジの両立が狙えます。
✅「高配当で安定収入を得たい」
✅「ESG・再エネなど未来志向のテーマに乗りたい」
✅「米国株に偏ったポートフォリオを整えたい」
そんなあなたにこそ、ヨーロッパ株ETFは最適な選択肢です。ヨーロッパ株ETFをポートフォリオの“第二の柱”として組み入れることで、資産形成の地盤をより強固なものにしていきましょう!
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