「ヨーロッパにテック株ってあるの?」
そう思った方にこそ読んでほしい──。
近年、ヨーロッパ発のテクノロジー企業が静かに、しかし確実に存在感を強めています。米国のGAFAMのような巨大ブランドこそ少ないものの、半導体・AI・グリーンテック・バイオテックなど、分野ごとに世界をリードする企業が多数存在しています。
この記事では、2025年に注目すべきヨーロッパのテック株を10社厳選し、それぞれの強みや将来性、投資視点でのポイントまで詳しく解説します。
なぜ今、ヨーロッパのテック株なのか?
米国偏重ポートフォリオのリスクと限界
多くの個人投資家が「アメリカ株こそ最強」と信じ、ポートフォリオの大部分を米国株で占めているのが現状です。たしかに、GAFAMを筆頭に高い成長率を誇る企業が集中しているアメリカ市場は魅力的です。しかしその一方で、米国経済・政策・金利動向に過度に依存した投資構造になってしまっているリスクも見逃せません。
たとえば、2022〜2023年にかけての米国利上げ局面では、ナスダックのハイテク銘柄が大きく下落し、多くの個人投資家が資産を減らしました。でも、ヨーロッパ株を組み込むことで通貨や政策リスクを分散し、よりバランスのとれた中長期的な資産形成をすることは可能なんです。

欧州企業の“堅実成長×イノベーション”という魅力
「ヨーロッパにイノベーション企業ってあるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。しかし実際には、ASML(オランダ)やSAP(ドイツ)をはじめ、世界を技術面で支えるテクノロジー企業が多数存在しています。
米国企業のような爆発的成長は少ないものの、堅実なビジネスモデルと長期的な収益力を両立する企業が多いのが欧州企業の特徴です。特に、製造業やエネルギーといった既存産業とテクノロジーの融合が進むことで、ユニークな技術革新が生まれやすい土壌が整っています。
「グリーンディール」など政策面の追い風
もうひとつ注目すべきは、EUの政策的支援によるテクノロジー分野の加速です。
たとえば「欧州グリーンディール」では、2050年のカーボンニュートラル実現を目指して、再生可能エネルギーやEV、クリーンテック分野への巨額投資が進んでいます。これにより、グリーンテクノロジー企業や環境ソリューションを提供するスタートアップが急成長しています。
また、EUは「デジタル戦略」でもデータ保護やAI、サイバーセキュリティなどを重点テーマに掲げており、今後10年で世界のテクノロジー競争において独自の存在感を発揮する可能性も十分あります。

ヨーロッパの注目テクノロジー分野とは?
テクノロジー投資といえば米国を連想しがちですが、ヨーロッパにも世界をリードする技術と、持続可能な成長を支える政策が整いつつあります。ここでは、2025年以降の成長が期待される4つの注目分野を紹介します。
世界最先端の半導体技術(ASMLなど)
ヨーロッパ最大のテクノロジー企業とも言えるのが、オランダのASML(エーエスエムエル)です。
同社はEUV露光装置という最先端の半導体製造技術で世界をリードしており、サムスン、TSMC、インテルなどのグローバル半導体メーカーにとって“なくてはならない存在”です。
このように、製造装置やインフラ技術に強い企業が多いのが欧州の特徴。アメリカやアジアの企業が競争を繰り広げる中、ヨーロッパは“技術を支える裏方”として安定した地位を築いています。
ESG×テック:グリーンテックの成長性
ヨーロッパは世界でも最も環境意識が高い地域として知られています。
その中で注目されているのが、「グリーンテクノロジー(Greentech)」と呼ばれる分野。再生可能エネルギー、電気自動車(EV)、水素技術、循環型インフラなどが含まれます。
特にEUでは、「欧州グリーンディール」や「Fit for 55」などの政策パッケージにより、グリーン分野への投資が加速しています。これに伴い、環境配慮型テクノロジーを扱う企業への資金流入も活発です。

フィンテック、AI、バイオテクノロジーの台頭
ヨーロッパではここ数年、スタートアップの急成長が目立つ分野として、以下が挙げられます。
- フィンテック:オランダのAdyen、スウェーデンのKlarnaなど、キャッシュレスや決済関連企業が続々と成長中。
- AI関連:イギリスのDeepMind(Google傘下)をはじめ、ヘルスケアやセキュリティ分野に強みを持つAI企業が多数存在。
- バイオテクノロジー:パンデミック以降、欧州のバイオベンチャーが世界から注目を集めるように。ドイツのBioNTechはその代表例です。
これらの分野は“高リスク・高リターン”の色合いが強いものの、グローバルな競争を勝ち抜く力を持つ企業も多く、成長株投資としての妙味があります。
各国のイノベーション戦略と企業動向
ヨーロッパは「EU」という共通経済圏でありながら、国ごとに異なるテクノロジー戦略と強みを持っています。
- ドイツ:製造業と自動車における“スマートファクトリー”化(例:SAP、Infineon)
- フランス:航空・宇宙・3D設計技術で世界的プレゼンス(例:Dassault Systèmes)
- イタリア:ヘルスケア×高齢化社会という視点でのバイオベンチャー育成
- スペイン:再エネスタートアップやデジタル行政支援企業が台頭中
このように、単一企業だけでなく“国単位の戦略”を踏まえた分析が重要です。
国別の詳細については、以下の記事でも詳しく解説しています。
🔗 [フランス編:ラグジュアリー×安定配当の二刀流投資]
🔗 [ドイツ編:自動車・薬・化学…王道投資で勝てる国]
🔗 [イタリア編:地中海の宝を発掘せよ!成長銘柄5選]
🔗 [スペイン編:再エネと金融で伸びる情熱の国]
ヨーロッパの注目テック株10選(2025年版)
ここでは、2025年時点で注目すべきヨーロッパのテクノロジー企業を10社厳選し、それぞれの強みや将来性、投資家として注目すべき理由を解説します。国・業種の分散も意識しており、成長株投資・テーマ投資の両面で活用可能なラインナップです。
【ASML】半導体製造装置で世界を制す(オランダ)

ASML(アーエスエムエル)は、オランダ・フェルドホーフェンに本社を置く半導体製造装置メーカーで、世界で唯一、最先端のEUV(極端紫外線)リソグラフィ装置を製造・販売しています。この技術は、5nmや2nmといった微細なプロセスノードでの半導体製造に不可欠であり、ASMLは半導体業界において極めて重要な存在となっています。
EUVリソグラフィ装置とは?半導体の未来を支える“超高精度プリンター”
半導体チップを製造する際に不可欠な技術が「リソグラフィ(露光)」です。
これは、シリコンウェハーの上に極めて微細な電子回路パターンを光で焼き付ける工程であり、チップの性能や消費電力を左右する重要なプロセスです。従来は“深紫外線(DUV)”と呼ばれる波長の長い光が使われていましたが、回路の微細化が限界に近づいたことで、より短い波長=13.5ナノメートルの“極端紫外線(EUV)”が導入されるようになりました。
このEUVを用いたリソグラフィ装置が、いわば次世代の超高精度プリンターとも言える存在です。
この最先端技術を唯一製造・供給しているのが、オランダのASMLです。
EUVリソグラフィ装置は1台あたり約2億ドルという高額ながら、インテルやTSMC、サムスンといった世界の主要半導体メーカーからの需要が殺到しており、今後10年以上にわたりASMLの成長を支えるコア技術と見なされています。

企業概要
- 正式名称:ASML Holding N.V.
- 設立年:1984年(ASMとPhilipsの合弁として設立)
- 本社所在地:オランダ・フェルドホーフェン
- 従業員数:約43,000人(2024年時点)
- 上場市場:NASDAQ(ティッカー:ASML)、アムステルダム証券取引所(AEX)
- 公式サイト(日本語):https://www.asml.com/ja-jp
事業内容と技術的優位性
ASMLは、半導体製造におけるリソグラフィ装置の開発・製造・販売を手がけています。特に、EUVリソグラフィ装置では世界で唯一の供給者であり、最先端の半導体チップ製造に不可欠な技術を提供しています。この装置は、13.5nmの波長を持つ光を使用し、微細な回路パターンをシリコンウェハーに転写することで、より小型で高性能なチップの製造を可能にします。
ASMLの主力製品であるTWINSCAN NXE:3600Dは、1台あたり約2億ドルの価格で販売されており、インテル、TSMC、サムスンなどの主要な半導体メーカーが顧客となっています。さらに、次世代のHigh-NA EUV装置も開発中で、解像度の向上と生産性の向上が期待されています。
投資家にとっての魅力
1. 独占的な市場ポジション
ASMLは、EUVリソグラフィ装置において世界で唯一の供給者であり、競合他社が存在しない独占的な市場ポジションを築いています。この技術は、最先端の半導体製造に不可欠であり、今後も需要の増加が見込まれます。
2. 堅調な財務実績
2023年の売上高は約276億ユーロ、純利益は78億ユーロに達し、過去5年間で売上高は2倍以上に成長しています。また、2025年には売上高が570億ユーロに達するとの予測もあり、今後の成長が期待されています。
3. 高い利益率
ASMLの製品は高価格でありながら、需要が高いため、利益率も高水準を維持しています。2023年の粗利益率は約51%であり、今後も高い利益率が続くと見込まれています。
なぜ今、ASMLに投資すべきか?
- 半導体需要の増加:AI、5G、自動運転、IoTなどの分野で半導体の需要が急増しており、ASMLの装置への需要も高まっています。
- 技術的な参入障壁:EUVリソグラフィ装置の開発には莫大な資金と時間が必要であり、新規参入が極めて困難です。
- 地政学的リスクの回避:ASMLは欧州企業であり、米中貿易摩擦の影響を受けにくいポジションにあります。
【SAP】企業向けソリューションの巨人(ドイツ)

世界有数のERPソフトウェア企業で、グローバル企業の業務管理を支える中枢。
クラウド化の遅れが指摘されていましたが、近年は積極投資で再加速しています。
安定収益と堅実配当を重視する投資家に人気です。
企業概要
- 正式名称:SAP SE
- 設立年:1972年
- 本社所在地:ドイツ・ヴァルドルフ
- 従業員数:約109,000人(2024年時点)
- 上場市場:フランクフルト証券取引所(ティッカー:SAP)、ニューヨーク証券取引所(ティッカー:SAP)
- 公式サイト:https://www.sap.com/
事業内容と技術的優位性
SAPは、企業向けのエンタープライズアプリケーションおよびビジネスAIの分野で世界的なリーダーです。同社のソフトウェアは、財務、調達、人事、サプライチェーン、顧客体験など、ビジネスの重要なオペレーションを統合し、企業の効率化と成長を支援します。
主力製品には、クラウドベースのERPソリューション「SAP S/4HANA Cloud」や、データ統合と分析を可能にする「SAP Business Technology Platform」などがあります。これらの製品は、企業がリアルタイムで意思決定を行い、迅速に市場の変化に対応することを可能にします。
投資家にとっての魅力
- クラウドおよびAI分野での成長:SAPは、クラウドサービスとAI技術への移行を積極的に進めており、2025年の第1四半期には、調整後営業利益が前年同期比で大幅に増加し、アナリスト予想を上回りました。
- 堅調な財務実績:2024年の総収益は340億ユーロを超え、世界157カ国で事業を展開しています。
- 市場での高い評価:SAPは、ヨーロッパで最も価値のある企業の一つとして位置づけられており、クラウドサービスとAI技術への注力が評価されています。
なぜ今、SAPに投資すべきか?
- デジタルトランスフォーメーションの推進:企業のデジタル化が進む中、SAPのクラウドベースのソリューションは、そのニーズに応える形で成長しています。
- AI技術の統合:SAPは、AI技術を製品に統合することで、企業の業務効率化と意思決定の迅速化を支援しています。
- グローバルな市場展開:SAPは、世界中の多様な業界と地域で事業を展開しており、安定した収益基盤を持っています。
【Infineon Technologies】EV・AI向け半導体の中心(ドイツ)

車載用・産業用半導体で欧州トップ。
特にEVや自動運転向けのパワー半導体分野で急成長中の企業です。
ESGや脱炭素トレンドの恩恵を受ける企業としても注目されています。
企業概要
- 正式名称:Infineon Technologies AG
- 設立年:1999年(Siemens AGからのスピンオフ)
- 本社所在地:ドイツ・ノイビーベルク
- 従業員数:約58,000人(2024年時点)
- 上場市場:フランクフルト証券取引所(ティッカー:IFX)
- 公式サイト:https://www.infineon.com/
事業内容と技術的優位性
Infineon Technologiesは、パワー半導体およびIoT向けソリューションの分野で世界的なリーダーです。同社は、エネルギー効率の高い、クリーンで安全なモビリティ、スマートでセキュアなIoTの実現を支援しています。
主な事業分野には以下が含まれます:
- 自動車:EVや自動運転車向けのパワー半導体、マイクロコントローラー、センサーなど。
- グリーン産業パワー:再生可能エネルギーや産業用途向けのパワー半導体。
- パワー&センサーシステム:電力管理や高周波アプリケーション向けの半導体コンポーネント。
- コネクテッドセキュアシステム:IoTデバイスやセキュリティチップなど。
投資家にとっての魅力
- EVおよびAI市場での成長:Infineonは、EVやAI向けの半導体市場での需要増加に対応するため、製品ラインナップを拡充しています。
- 堅調な財務実績:2024年の売上高は約149億ユーロで、世界的な半導体メーカーとしての地位を確立しています。
- 戦略的パートナーシップ:自動車メーカーStellantisとの協力により、次世代車両向けのパワーアーキテクチャを共同開発しています。
なぜ今、Infineonに投資すべきか?
- EV市場の拡大:世界的な電動化の流れにより、EV向け半導体の需要が急増しており、Infineonの製品がその中心を担っています。
- AI技術への対応:AIアプリケーション向けの高性能でエネルギー効率の高い半導体製品を提供しており、今後の成長が期待されます。
- グローバルな展開:世界中に製造拠点と研究開発センターを持ち、多様な市場ニーズに対応しています。
【Dassault Systèmes】3D設計で次世代産業を支える(フランス)

3D設計・シミュレーションソフトのパイオニア。
航空・医療・製造など多業種に対応するB2Bの強みがあり、景気の波に強い企業です。
サステナブルな開発支援という点でも評価されています。
企業概要
- 正式名称:Dassault Systèmes SE
- 設立年:1981年
- 本社所在地:フランス・ヴェリジー=ヴィラクブレ
- 従業員数:約23,800人(2023年時点)
- 上場市場:ユーロネクスト・パリ(ティッカー:DSY)
- 公式サイト:https://www.3ds.com/
事業内容と技術的優位性
Dassault Systèmes(ダッソー・システムズ)は、3D設計、シミュレーション、製造、製品ライフサイクル管理(PLM)ソフトウェアを提供するフランスの多国籍ソフトウェア企業です。同社の主力製品である3DEXPERIENCEプラットフォームは、企業のエコシステム全体—人、アイデア、データ、プロセス—を単一の統合環境で接続し、リアルタイムのコラボレーションと革新的な製品開発を可能にしています。
CATIA(3D CAD)、SOLIDWORKS(3D設計)、ENOVIA(PLM)、DELMIA(製造オペレーション)、SIMULIA(シミュレーション)など、多岐にわたるブランドを展開しており、航空宇宙、自動車、ライフサイエンス、建設など、さまざまな産業分野で利用されています。
投資家にとっての魅力
- 堅調な財務実績:2024年の総収益は62億1,000万ユーロで、ソフトウェア収益は前年比6%増加し、希薄化後EPSは9%増加しました。
- 3DEXPERIENCEプラットフォームの成長:2024年第4四半期には、3DEXPERIENCEソフトウェアの収益が前年比22%増加し、新規ビジネスの成長が13%に達しました。
- 多様な産業への展開:Dassault Systèmesは、航空宇宙、自動車、ライフサイエンス、建設など、さまざまな産業分野でソリューションを提供しており、特定の業界に依存しない安定した収益基盤を持っています。
なぜ今、Dassault Systèmesに投資すべきか?
- デジタルツインとバーチャルツインの需要増加:製品開発や製造プロセスの最適化において、デジタルツイン技術の重要性が高まっており、Dassault Systèmesのソリューションが注目されています。
- クラウドベースの3DEXPERIENCEプラットフォーム:クラウド上での設計、シミュレーション、コラボレーションを可能にする3DEXPERIENCEプラットフォームは、リモートワークや分散チームのニーズに対応し、企業のデジタルトランスフォーメーションを支援します。
- 持続可能なイノベーションの推進:Dassault Systèmesは、サステナビリティを重視した製品開発を支援するツールを提供しており、環境への配慮が求められる現代のビジネスにおいて価値あるパートナーとなっています。
【Klarna】北欧発フィンテック革命(スウェーデン)

「Buy Now Pay Later(後払い決済)」の世界的先駆者。
近年はアメリカ市場への拡大も進行中。
IPO後に注目される可能性大のスタートアップ枠です(未上場のため間接的な投資対象)。
企業概要
- 正式名称:Klarna Group plc
- 設立年:2005年
- 本社所在地:スウェーデン・ストックホルム
- 従業員数:約3,422人(2024年時点)
- 上場市場:未上場(2025年4月に米国でのIPOを予定)
- 公式サイト:https://www.klarna.com/
事業内容と技術的優位性
Klarnaは、オンライン決済サービスを提供するスウェーデン発のフィンテック企業で、特に「今買って後で払う(BNPL)」モデルの先駆者として知られています。同社は、eコマース業界向けに決済処理サービスを提供し、店舗の請求と顧客の支払いを管理しています。
Klarnaの主なサービスには、即時支払い、商品到着後の支払い、分割払いなどがあり、消費者に柔軟な支払いオプションを提供しています。また、Klarnaアプリを通じて、パーソナライズされたショッピング体験や報酬プログラムを提供し、ユーザーエンゲージメントを高めています。
投資家にとっての魅力
- 戦略的パートナーシップ:Klarnaは、Sephora、Nike、Airbnbなどの主要ブランドと提携し、グローバルな展開を強化しています。
- 堅調な財務実績:2024年、Klarnaは売上高28.1億ドルを記録し、前年の22.8億ドルから24%増加しました。また、同年には2,100万ドルの純利益を計上し、前年の2億4,400万ドルの損失から大きく改善しました。
- 市場での高い評価:Klarnaは、ヨーロッパのBNPL市場で大きなシェアを占めており、2025年には同市場が1,913億ドルに達すると予測されています。
なぜ今、Klarnaに投資すべきか?
- IPOによる成長機会:Klarnaは2025年4月に米国でのIPOを予定しており、約150億ドルの評価額が見込まれています。
- AI技術の活用:Klarnaは、AIを活用して顧客サービスの効率化を図っており、2024年にはAIアシスタントがカスタマーサービスチャットの3分の2を処理しました。
- 多様なサービス展開:Klarnaは、BNPLサービスに加えて、貯蓄口座や株式取引サービスなど、金融サービスの多角化を進めています。
【Adyen】欧州のStripeとも称される決済企業(オランダ)

決済プラットフォームをグローバル展開し、Amazon・Spotifyなど大手が顧客。
収益性が高く、アメリカのStripeに匹敵する評価も。
今後の世界展開と収益成長が期待できる有望グロース株です。
企業概要
- 正式名称:Adyen N.V.
- 設立年:2006年
- 本社所在地:オランダ・アムステルダム
- 従業員数:約4,345人(2024年時点)
- 上場市場:ユーロネクスト・アムステルダム(ティッカー:ADYEN)
- 公式サイト:https://www.adyen.com/
事業内容と技術的優位性
Adyenは、オンライン、モバイル、POS(対面)決済を単一のプラットフォームで提供するフィンテック企業です。同社は、企業が複数の決済手段や通貨を一元的に処理できるソリューションを提供し、グローバルなビジネス展開を支援しています。
Adyenのプラットフォームは、決済ゲートウェイ、決済処理、リスク管理、データ分析などの機能を統合しており、企業はこれらのサービスを一括して利用できます。この統合型アプローチにより、企業は複雑な決済インフラを簡素化し、効率的な運用が可能となります。
また、Adyenは自社で銀行ライセンスを取得しており、これにより決済処理から資金の清算までを自社で完結できる体制を整えています。これにより、取引のスピードと信頼性が向上し、企業と顧客の双方にとって利便性の高いサービスを提供しています。
投資家にとっての魅力
- 主要企業とのパートナーシップ:Adyenは、Meta、Uber、Spotify、Adobeなどの主要企業と提携しており、これらの企業のグローバルな決済ニーズに対応しています。
- 堅調な財務実績:2024年、Adyenの純収益は前年比23%増の約20億ユーロに達し、EBITDAは34%増の約9億9,230万ユーロとなりました。これにより、EBITDAマージンは50%に達し、収益性の高さを示しています。
- グローバルな展開:Adyenは、ヨーロッパ、中東、アフリカ、北米、アジア太平洋、ラテンアメリカなど、世界中で事業を展開しており、地域ごとの成長機会を活用しています。
なぜ今、Adyenに投資すべきか?
- デジタル決済の成長:世界的なデジタル化の進展により、オンラインおよびモバイル決済の需要が増加しており、Adyenのサービスへの需要も高まっています。
- 統合型プラットフォームの強み:Adyenの統合型決済プラットフォームは、企業にとって運用の簡素化と効率化を実現し、競争力のあるサービスを提供しています。
- 持続可能な成長戦略:Adyenは、堅実な財務運営と戦略的な投資により、持続可能な成長を目指しており、長期的な投資先としての魅力があります。
【Spotify】音楽だけじゃない、音声の未来へ(スウェーデン)

Spotifyは世界最大の音楽ストリーミングサービス企業です。
ポッドキャスト・オーディオ広告など音声領域の収益多角化が進行中。
ユーザー基盤の大きさは今後のビジネス拡張の武器になるでしょう。
企業概要
- 正式名称:Spotify Technology S.A.
- 設立年:2006年
- 本社所在地:スウェーデン・ストックホルム(運営拠点)、ルクセンブルク(登記上の本社)
- 従業員数:約7,261人(2024年12月時点)
- 上場市場:ニューヨーク証券取引所(ティッカー:SPOT)
- 公式サイト:https://www.spotify.com/
事業内容と技術的優位性
Spotifyは、音楽、ポッドキャスト、オーディオブックを提供する世界最大の音声ストリーミングサービスです。2024年末時点で、月間アクティブユーザー数は6億7,500万人、うち有料会員数は2億6,300万人に達しています。
同社は、AIを活用したパーソナライズ機能や、プレイリスト作成、オフライン再生、ソーシャル機能など、ユーザー体験を向上させる多様な機能を提供しています。また、2023年にはオーディオブック市場に本格参入し、英語圏のカタログを15万冊から40万冊に拡充しました。
投資家にとっての魅力
- 初の通年黒字達成:Spotifyは2024年に初めて通年で黒字を達成し、純利益は11億4,000万ユーロに達しました。
- 売上高の増加:2024年の総売上高は156億ユーロで、前年比で増加しました。
- オーディオブック市場への拡大:Spotifyはオーディオブック市場への参入を強化しており、2025年にはドイツ、オーストリア、スイス、リヒテンシュタインへの展開を開始しました。
なぜ今、Spotifyに投資すべきか?
- 多様な音声コンテンツの提供:音楽、ポッドキャスト、オーディオブックといった多様な音声コンテンツを一つのプラットフォームで提供しており、ユーザーのニーズに幅広く対応しています。
- グローバルな市場展開:Spotifyは180以上の市場でサービスを展開しており、国際的な成長が期待されます。
- 技術革新とユーザー体験の向上:AIを活用したパーソナライズ機能や新機能の導入により、ユーザー体験の向上を図っています。
【STMicroelectronics】自動車・IoTで需要拡大中(スイス)

マイコンやセンサーに強みを持つ、汎用半導体メーカー。
特に自動車用・産業用向けに安定した需要を持ち、堅実な利益体質を誇ります。
欧州の“地味だが強い”優良テック株の代表格です。
企業概要
- 正式名称:STMicroelectronics N.V.
- 設立年:1987年(イタリアのSGS MicroelettronicaとフランスのThomson Semiconducteursの合併により誕生)
- 本社所在地:スイス・ジュネーブ州プラン・レ・ウアト
- 従業員数:約49,600人(2024年時点)
- 上場市場:ユーロネクスト・パリ、ボルサ・イタリアーナ、ニューヨーク証券取引所(ティッカー:STM)
- 公式サイト:https://www.st.com/
事業内容と技術的優位性
STMicroelectronics(以下、ST)は、アナログIC、マイクロコントローラー、MEMSセンサー、パワー半導体など、多岐にわたる半導体製品を提供する欧州最大級の半導体メーカーです。特に自動車、産業機器、IoT分野に強みを持ち、世界中の約20万社の顧客に製品を供給しています。
IoT向けの包括的な製品ポートフォリオを提供しており、スマートホーム、スマートシティ、産業機器など、さまざまな分野での接続性と効率性を実現しています。
投資家にとっての魅力
- 堅実な財務実績:2024年の年間売上高は132.7億ドル、純利益は15.6億ドルを記録しました。
- 自動車・IoT分野での強み:STは、自動車およびIoT市場向けの精密な位置情報ソリューションを提供するため、Trimbleと提携しています。
- 革新的な製品開発:STは、自動車市場向けに最小のビットセルを持つ次世代メモリ技術「Stellar with xMemory」を開発し、コスト効率の高い車載アーキテクチャの実現を目指しています。
なぜ今、STMicroelectronicsに投資すべきか?
- 成長市場への対応:自動車およびIoT市場の拡大に伴い、STの製品への需要が増加しています。
- 技術革新とパートナーシップ:Trimbleとの提携など、戦略的なパートナーシップを通じて、革新的な製品を市場に提供しています。
- 持続可能な成長戦略:持続可能な世界を支援する製品、ソリューション、エコシステムの設計と構築に取り組んでおり、長期的な成長が期待されます。
【Arm Holdings】英国のチップ設計リーダー(イギリス)

Armは低消費電力で高性能なプロセッサの設計とライセンス供与を行う企業であり、スマートフォンから自動車、データセンターまで、幅広い分野でその技術が採用されています。
NVIDIAによる買収話は破談したものの、IPO再上場で再評価が進行中。AI・IoT・モバイルの恩恵をフルに受けられる企業です。
企業概要
- 正式名称:Arm Holdings plc
- 設立年:1990年(Acorn Computers、Apple、VLSI Technologyの合弁により設立)
- 本社所在地:イギリス・ケンブリッジ
- 従業員数:約5,963人(2023年時点)
- 上場市場:ナスダック(ティッカー:ARM)
- 公式サイト:https://www.arm.com/
事業内容と技術的優位性
低消費電力で高性能なプロセッサIP(Intellectual Property)の設計とライセンス供与を行う企業です。同社のアーキテクチャは、スマートフォン、タブレット、IoTデバイス、自動車、データセンターなど、幅広い分野で採用されています。特に、スマートフォン市場では、99%以上のシェアを占めるとされています。
Armは自社で半導体を製造せず、設計したIPをライセンス供与する「ファブレス」モデルを採用しています。これにより、Apple、Samsung、Qualcomm、NVIDIAなど、多くの企業がArmの技術を基に独自のプロセッサを開発しています。
投資家にとっての魅力
- 堅調な財務実績:2024年度の売上高は32.3億ドルで、前年から21%増加しました。ただし、純利益は3億600万ドルで、前年から42%減少しました。
- AI分野への進出:Armは、AI処理に適したプロセッサの開発を進めており、特に自動車分野でのAI活用に注力しています。2024年には、AI対応車両の開発を加速する新しい自動車向け技術を発表しました。 Arm Newsroom
- IPOによる資金調達:2023年9月、Armはナスダックに上場し、約545億ドルの評価額を得ました。これは、2021年以降最大の米国IPOとなりました。
なぜ今、Arm Holdingsに投資すべきか?
- AIと自動車分野の成長:Armは、AI処理に適したプロセッサの開発を進めており、自動車分野でのAI活用に注力しています。これにより、今後の成長が期待されます。
- 広範なエコシステム:Armの技術は、多くの企業に採用されており、広範なエコシステムを形成しています。これにより、安定した収益が期待できます。
- 持続可能な成長戦略:Armは、低消費電力で高性能なプロセッサの開発を通じて、持続可能な成長を目指しています。これにより、長期的な投資先としての魅力が高まっています。
【Darktrace】サイバーセキュリティの新星(イギリス)

Darktraceは、AIを活用した革新的なサイバーセキュリティソリューションを提供する企業であり、サイバー脅威の高度化に対応するための重要なプレイヤーです。今後の市場拡大と技術革新を背景に、投資先としての魅力が高まっています。
企業概要
- 正式名称:Darktrace Holdings Ltd
- 設立年:2013年
- 本社所在地:イギリス・ケンブリッジ
- 従業員数:約2,269人(2023年時点)
- 上場市場:ロンドン証券取引所(ティッカー:DARK)※2024年10月、米投資会社Thoma Bravoにより買収
- 公式サイト:https://darktrace.com/
事業内容と技術的優位性
Darktraceは、AIを活用したサイバーセキュリティソリューションを提供する企業です。同社の「Enterprise Immune System」は、機械学習を用いてネットワーク内の通常の挙動を学習し、異常をリアルタイムで検知・対応します。また、Antigenaと呼ばれる自律型レスポンス技術により、進行中のサイバー攻撃に自動で対処することが可能です。 Darktraceの製品は、ネットワーク、クラウド、エンドポイント、OT(Operational Technology)など、企業のデジタルエコシステム全体にわたって脅威を検出し、対応する能力を備えています。
投資家にとっての魅力
- 堅調な財務実績:2024年6月時点での年間経常収益(ARR)は7億8,220万ドルで、前年同期比22.7%の成長を記録しました。
- AI技術の革新性:Darktraceは、自己学習型AIを活用しており、未知の脅威やゼロデイ攻撃にも対応可能です。この技術は、従来のシグネチャベースのセキュリティ対策とは一線を画しています。
- グローバルな顧客基盤:同社は、世界中で1万社以上の顧客を持ち、多様な業種・業界にサービスを提供しています。
なぜ今、Darktraceに投資すべきか?
- サイバー脅威の高度化:ランサムウェアやゼロデイ攻撃など、サイバー脅威が高度化・巧妙化する中、AIを活用した自動検知・対応の重要性が増しています。
- 市場の成長性:サイバーセキュリティ市場は今後も拡大が予想されており、特にAIを活用したソリューションへの需要が高まっています。
- 技術革新と実績:Darktraceは、AIを活用したサイバーセキュリティ分野での先駆者として、技術革新と実績を積み重ねており、今後の成長が期待されます。
まとめ:ヨーロッパテック株で未来の成長に乗る
「米国以外に分散するなら、いまが好機」
これまで多くの投資家がアメリカ株に集中してきましたが、世界経済は明らかに多極化の時代に入っています。
特にヨーロッパは、政策支援・ESG推進・老舗テック企業の進化など、成長の芽が数多く存在します。
米国株だけに頼ったポートフォリオは、ある意味「偏った投資」。
真の分散投資を実現するためには、ヨーロッパ株という選択肢を避けて通れません。
投資初心者にもおすすめの欧州テック株とは?
「ヨーロッパ株は難しそう」と思う方でも、ETFを活用したテック分野への分散投資なら始めやすいのが特徴です。
また、今回紹介した企業の多くは、上場先が米国(ADR)やグローバル市場対応済みのため、日本の証券口座からでも購入可能です。
とくに、ASML、SAP、Adyenなどは初心者にも理解しやすいビジネスモデルで、堅実な成長を期待できます。
迷ったらまずはこれらの銘柄を軸に、ヨーロッパテック株の世界に足を踏み入れてみましょう。

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