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イタリア編:地中海の宝を発掘せよ!成長銘柄5選

地中海の宝を発掘せよ! 成長銘柄5選

イタリア株と聞いて、あなたはどう思いますか?
「EUのお荷物」「経済成長が鈍い」「政治が不安定」──そう感じる投資家も多いかもしれません。実際、イタリア全体に連動するETFや指数(FTSE MIBなど)は、欧州の中でも冴えないパフォーマンスが続いています。

しかし、そんな“地中海の問題児”の中にも、世界をリードする隠れた成長企業が確かに存在しているのです。キーワードは、ブランド力・ニッチな強み・高収益モデル。イタリア市場は「面で攻める」のではなく、「点で狙い撃つ」のが鉄則です。

この記事では、ETFでは決して拾えない“地中海の宝”とも言えるイタリア株5選を、個人投資家目線で厳選してご紹介します。


目次

イタリア株、なぜ「指数」では勝てないのか

FTSE MIB指数の停滞とその背景

イタリアの株式市場を代表するFTSE MIB指数(ミラノ株式指数)は、長年にわたって欧州主要国の中でも特に低調なパフォーマンスが続いています。
過去10年間のリターンを比較してみても、ドイツのDAXやフランスのCAC40、さらにはEU平均のStoxx Europe 600を大きく下回る状況が続いており、「指数=イタリア株全体は買いづらい」という評価に繋がっています。

その原因のひとつが、FTSE MIBの構成銘柄の偏りです。銀行・公益・エネルギーといった景気連動性が強く、成長性に乏しいセクターが重く、ITやヘルスケアなどの成長ドライバーが乏しい構造になっています。
さらに、イタリア固有の問題──政治の不安定さ、財政赤字、EU内での信頼性の低さなども投資家心理に影を落としており、指数そのものの伸び悩みの要因となっています。

※このチャートは招待リンク付きで表示しています

ETFでは見えない“成長の原石”たち

一方で、「イタリア株=冴えない」と一括りにしてしまうのはもったいない誤解でもあります。実際には、グローバルに活躍する成長企業や、ブランド力を武器にした高収益企業がイタリアには数多く存在します。

たとえば、高級車で世界的に有名なフェラーリ(Ferrari)や、プレミアムアパレルのモンクレール(Moncler)、再エネ推進で注目されるENELなどは、指数では目立たないが世界市場で評価されている“地中海の宝”と言える存在です。

こうした銘柄は、FTSE MIB指数の一部ではあっても構成比が低く、ETFを通じての投資では十分なリターンを得にくいのが現実です。
だからこそ、イタリア株は「面(指数)ではなく、点(個別銘柄)」で狙う戦略が必要なのです。


イタリア市場の3つの強みとは?

イタリア経済全体が停滞気味とはいえ、投資家にとって注目すべき“強み”が確実に存在します。とりわけ、個別株投資を前提とした場合、以下の3つの要素がイタリア株の魅力として際立っています。


世界に誇る“ブランド力”

イタリアは世界有数のブランド国家です。フェラーリ、グッチ、プラダ、モンクレール──これらの名前は、単なる企業名ではなく、「高価格でも売れる」価格支配力=無形資産の象徴です。

こうしたラグジュアリーブランドは、高利益率・高リピート率のビジネスモデルを持ち、不況耐性にも優れています。
実際、フェラーリ(RACE)の営業利益率は25%超と、製造業では異例の高さ。ブランド力を収益に直結させられる企業は、長期投資のコア銘柄として十分な価値があります。


エネルギー・金融・観光など地中海経済の柱

イタリア経済は伝統産業と地域密着型セクターが強く、地中海エリアならではの強みがあります。
具体的には、以下の3業種が安定した収益源として機能しています。

  • エネルギー: ENI(石油ガス)、ENEL(再エネ・電力)など、世界展開するインフラ系企業が存在。欧州グリーンディールの波に乗る再エネ分野も強化中。
  • 金融: FinecoBankやUnicreditといったデジタルバンキング、伝統的メガバンクの両方を保有。金利上昇局面では特に注目。
  • 観光: 世界有数の観光大国であり、間接的に航空・ホスピタリティ・交通関連株にも影響あり。

これらの産業は、地中海という地域的特性とEU経済の回復に連動しやすく、景気循環を読みやすい投資対象として機能します。


割安&高配当のバリュー銘柄の宝庫

イタリア市場のもう一つの特徴は、“過小評価されている”優良銘柄が多いという点です。
欧州全体でも配当利回りの高い国に数えられ、銀行・エネルギー・通信インフラを中心に5〜7%の利回りを誇る企業がゴロゴロしています。

さらに、成長性にやや劣る分、株価が抑えられておりPBRやPERで見ても割安な水準が多いのが魅力。これはインカムゲイン投資家にとって絶好の狙い目と言えます。

イタリア市場は一見地味ですが、個別株の“成長力・配当力・ブランド力”に着目すれば、分散投資におけるスパイスとして非常に有効です。
次章では、そうした“光る銘柄”を5つ厳選してご紹介します。


注目すべきイタリアの成長銘柄5選

イタリア市場には、指数では目立たないものの確かな成長力と国際競争力を兼ね備えた個別株が存在します。ここでは、ブランド力・事業モデル・市場性を基準に、長期投資に適した“地中海の宝”5銘柄を紹介します。


【Ferrari(RACE)】ラグジュアリー×高収益の象徴


イタリアを代表するスーパーカーメーカーフェラーリは、もはや「自動車株」ではなくラグジュアリーブランド株として評価されています。
生産台数をあえて抑える戦略により、営業利益率25%超・ブランド価値世界TOP10常連という圧倒的な収益モデルを誇ります。

さらに、EV転換にも柔軟に対応しており、環境対応と高級ブランドを両立させた稀有な存在として中長期の成長が見込まれます。

事業概要と上場市場

  • 上場市場
    • 米国ニューヨーク証券取引所(NYSE)
    • イタリア・ミラノ証券取引所(Borsa Italiana)
  • 事業内容
    • 高級スポーツカーの製造・販売
    • ブランドライセンス事業(アパレル、アクセサリーなど)
    • モータースポーツ活動(F1を含む)

ビジネスモデルの強み

  • 限定生産戦略
    • 年間生産台数を意図的に制限し、希少性とブランド価値を維持
  • 高価格帯製品
    • 高単価の車両販売により、少量生産でも高収益を実現
  • ブランドライセンス収益
    • アパレルやアクセサリーなどのライセンス商品からの収益が全体の約50%を占める
  • モータースポーツとの連携
    • F1などのレース活動を通じてブランドイメージを強化し、販売促進に寄与

グローバル展開と地域バランス

  • 地域別売上構成
    • 欧州・中東・アフリカ(EMEA):約48%
    • アメリカ大陸:28%
    • 中国:12%
    • その他アジア:12%
  • 多様な市場への展開
    • 新興市場への進出と既存市場での深耕を両立し、リスク分散を図る

注目される中長期テーマ

  • 電動化への取り組み
    • ハイブリッド車の導入と完全電動モデルの開発を進行中
      • 2019年にハイブリッドモデルを導入し、2024年にはハイブリッド車が販売の51%を占めるまでに成長
      • 2025年10月9日に初の完全電動モデル「Ferrari Elettrica」を発表予定 (参考:ITALPASSION )
      • マラネッロに新設された「e-building」で、電動パワートレインの開発・製造を内製化し、柔軟な生産体制を構築
  • サステナビリティ戦略
    • 2030年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げ、再生可能エネルギーの活用や製造プロセスの見直しを実施
  • ブランドの多角化
    • 高級ファッションやライフスタイル商品への展開を強化し、新たな収益源を開拓

リスクと注意点

  • 高価格帯による景気感応度
    • 世界的な経済不況時には高級車需要が減少する可能性
  • 電動化競争の激化
    • 他の高級車メーカーとのEV市場での競争が激しく、技術革新の遅れがリスクとなる
  • 規制強化への対応
    • 環境規制や安全基準の強化に迅速に対応する必要性

この銘柄に向いている投資家タイプ

  • ブランド価値を重視する長期投資家
    • 高級ブランドへの信頼と長期的な成長性を重視する投資家
  • 景気変動に強いポートフォリオを構築したい投資家
    • 高収益性とブランド力により、景気変動の影響を受けにくい銘柄を求める投資家
  • サステナビリティと成長性の両立を目指す投資家
    • ESG要素と収益性のバランスを重視する投資家
※このチャートは招待リンク付きで表示しています

【Moncler(MONC)】プレミアムファッションで世界展開

ダウンジャケットの代名詞として知られるMoncler(モンクレール)は、イタリア発のプレミアムアパレルブランド。高価格帯でも世界中で支持されており、コロナ後の観光回復とも相性が良好です。

M&A戦略にも積極的で、ストーンアイランド買収などにより若年層・ストリートファッション層の取り込みにも成功。今後のグローバル展開がさらに加速する期待が高まっています。

事業概要と上場市場

  • 上場市場:イタリア・ミラノ証券取引所(Borsa Italiana)に上場
  • 創業年・本社:1952年、フランスのグルノーブルで創業、現在の本社はイタリア・ミラノ
  • 主力事業
    • 高級ダウンジャケットを中心としたアウターウェアの製造・販売
    • メンズ・ウィメンズ・キッズ向けのファッションライン
    • 靴、バッグ、アクセサリー、限定コラボ商品などの展開も強化中
  • グループ構成
    • 2021年に同じくイタリアの高級ブランド「Stone Island」を買収し、マルチブランド戦略を推進中

ビジネスモデルの強み

  • 高価格・高収益モデル
    • 価格帯はアウター1着で20万円以上が主流。原価率は低く、ブランド力によるマージンの厚さが魅力
  • 直営店中心の販売戦略
    • 卸売より直営比率を高め、ブランディングと利益率の両立を実現
  • シーズン限定・数量限定戦略
    • 限定モデルやシーズンごとのカプセルコレクション(MONCLER GENIUSなど)で話題性と顧客ロイヤルティを創出
  • ストリート&若年層への浸透
    • アーティストやデザイナーとの協業を通じて、若年層のファッション感度の高い層への浸透に成功

グローバル展開と地域バランス

  • 売上構成比(概略)
    • APAC(主に中国):売上の約4割
    • EMEA(欧州・中東・アフリカ):約3割
    • アメリカ:約2割強
  • アジアの比率が高いのが特徴で、特に中国本土・香港・韓国に強み
  • 今後はアメリカ市場の拡大とeコマース強化が重点戦略となっている

注目される中長期テーマ

  • マルチブランド戦略の深化
    • Stone Island買収により、ストリート色の強いミリタリーブランドを獲得。従来のラグジュアリーとは異なる層へのアプローチを展開
  • ESGとサステナビリティへの対応
    • 環境配慮素材(リサイクルダウンなど)を使用。2030年までにCO₂排出量を大幅削減目標を掲げている
  • D2Cとデジタル展開の強化
    • 直営ECサイトの強化、ライブ配信、バーチャルファッションなどデジタル領域でも先進的な取り組みを継続中
  • アウターから“ライフスタイルブランド”への拡張
    • フットウェア・アクセサリー・インテリア分野への展開も検討されており、成長余地はまだ大きい

リスクと注意点

  • 季節性が強い
    • 冬物比率が高いため、暖冬や異常気象による需要減が業績に影響しやすい
  • 中国依存度の高さ
    • 中国市場の売上比率が大きく、同国の経済情勢や政策次第でボラティリティが生じやすい
  • ブランド価値の維持が前提
    • 高価格帯である以上、「飽き」や「ブランドの疲弊」が起きると成長が止まりやすい
  • ファッション業界特有の流行リスク
    • 競合ブランドやトレンドの急変により、一時的に売上や人気がブレる可能性あり

この銘柄に向いている投資家タイプ

  • ブランド価値を信じて長期で持てる人
    → ファッションブランドのライフサイクルとマネジメント力を評価できる投資家
  • 中国やグローバル消費の回復に賭けたい人
    → 高所得層向けの消費回復テーマに敏感な方
  • ストリート×ラグジュアリーに未来を見出す人
    → ブランド進化とファッションの融合に可能性を感じる中長期目線の投資家
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【FinecoBank(FBK)】デジタル×アドバイザーで成長するフィンテック銀行

FinecoBankは、イタリア国内で急成長中のオンライン専業銀行。従来型の銀行が抱えるコスト構造やサービスの遅れを逆手に取り、低コスト・高利便性のネット金融として若年層を中心に支持を集めています。

証券取引や投資信託サービスも統合されており、資産運用型銀行=フィンテックバンクとして注目度は上昇中。欧州全域への拡大も視野に入れており、イタリア発グローバル金融株として成長期待がかかります。

事業概要と上場市場

  • 上場市場:​イタリア・ミラノ証券取引所(Borsa Italiana)、FTSE MIB構成銘柄
  • 創業年・本社:​1999年創業、イタリア・ミラノに本社を構える
  • 主力事業
    • 銀行業務(マルチカレンシー口座、カード、ローンなど)
    • オンライン証券取引(株式、債券、ETF、先物など)
    • 投資・資産運用(Fineco Asset Managementを通じたファンド提供)
    • 金融アドバイザーによるコンサルティングサービス

ビジネスモデルの強み

  • 統合プラットフォーム:​銀行、証券、投資サービスを単一のアカウントで提供し、ユーザーの利便性を高めている
  • 独自開発のテクノロジー:​取引・アドバイザリープラットフォームを自社開発し、迅速なサービス展開とコスト効率を実現
  • 広範なアドバイザーネットワーク:​イタリア国内に約3,000人の金融アドバイザーを擁し、対面とオンラインのハイブリッド戦略を展開
  • 低コスト構造:​2024年のコストインカムレシオは25.2%と、業界平均を大きく下回る効率的な運営を実現 ​

グローバル展開と地域バランス

  • 主要市場:​イタリアを中心に、英国市場への進出も果たしており、国際的なプレゼンスを拡大中
  • 顧客基盤:​2024年末時点で約140万人の顧客を有し、特にプライベートバンキング分野での成長が顕著
  • 資産構成:​2024年の総顧客資産(TFA)は約1,400億ユーロに達し、うちプライベートバンキングセグメントが約680億ユーロを占める

注目される中長期テーマ

  • 資産運用の拡大:​Fineco Asset Managementを通じて、グローバルメガトレンドに投資するファンドを提供し、顧客の多様なニーズに対応
  • ESG戦略の強化:​SustainalyticsによるESGリスク評価で「低リスク(12.1)」と評価され、持続可能な投資への取り組みを強化
  • AIとデジタル化の推進:​AI技術を活用したマーケティングや顧客対応の効率化を図り、さらなる成長を目指す ​

リスクと注意点

  • 金利変動の影響:​金利の変動が預金収益や投資商品の利回りに影響を及ぼす可能性がある
  • 競争激化:​フィンテック業界の競争が激化しており、差別化戦略の維持が課題
  • 規制リスク:​金融規制の変更や強化が、業務運営や収益構造に影響を与える可能性がある​

この銘柄に向いている投資家タイプ

  • フィンテック分野に注目する投資家:​デジタルバンキングやオンライン証券取引の成長性に期待する投資家
  • 安定した収益基盤を求める投資家:​低コスト構造と多様な収益源を持つ企業に投資したい投資家
  • ESG投資を重視する投資家:​持続可能な経営と社会的責任を重視する企業への投資を検討する投資家​
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【ENEL(ENEL)】再エネシフトを牽引する電力大手

ENELはイタリア最大の電力会社であり、再生可能エネルギーへの転換に最も積極的な欧州エネルギー企業のひとつです。
風力・太陽光などの再エネ発電容量は欧州トップクラスで、EUのグリーンディール政策やCBAM導入の追い風を受ける構造になっています。

インフラ性を活かした安定的なキャッシュフローと高配当(5%超)も魅力。ESG・再エネ銘柄として、長期保有に向いた銘柄です。

事業概要と上場市場

  • 上場市場:​イタリア・ミラノ証券取引所(Borsa Italiana)に上場し、FTSE MIB指数の構成銘柄
  • 設立年・本社:​1962年に設立され、現在の本社はイタリア・ローマに所在
  • 主な事業内容
    • 電力の発電、送電、配電、販売
    • 再生可能エネルギーの開発・運用(Enel Green Power)
    • スマートグリッドや電動モビリティなどの革新的ソリューション(Enel X)
  • 顧客基盤:​世界70カ国以上で6,100万人以上の顧客にサービスを提供​

ビジネスモデルの強み

  • 垂直統合型モデル:​発電から配電、販売までを一貫して行うことで、コスト効率とサービス品質を最適化
  • 再生可能エネルギーへの注力:​総発電容量の約64GWを再生可能エネルギーが占め、世界有数のクリーンエネルギー企業
  • グローバルなプレゼンス:​ヨーロッパ、ラテンアメリカ、北アメリカなど多地域での事業展開により、地域リスクを分散
  • イノベーション推進:​Enel Xを通じて、スマートシティ、電動モビリティ、エネルギー効率化などの先進的なソリューションを提供​

グローバル展開と地域バランス

  • 主要市場
    • イタリア、スペイン、ブラジル、チリ、コロンビア、アメリカなど
  • 顧客数:​世界中で6,100万人以上の顧客にサービスを提供
  • 発電容量:​総発電容量は約88GWで、そのうち再生可能エネルギーが約64GWを占める
  • 送電網:​全世界で220万km以上の送電網を管理​

注目される中長期テーマ

  • 再生可能エネルギーの拡大:​2025年までに再生可能エネルギーの発電容量を21GW追加する計画
  • ネットゼロ目標:​2040年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指す
  • 送電網の近代化:​2025年から2027年にかけて、送電網の近代化に260億ユーロを投資予定
  • デジタル化とスマートグリッド:​スマートメーターの導入やAIを活用したエネルギー管理システムの開発を推進​

リスクと注意点

  • 規制リスク:​各国のエネルギー政策や規制の変更が事業に影響を与える可能性
  • 市場価格の変動:​電力価格の変動が収益に影響を及ぼす可能性
  • 資本コストの上昇:​金利の上昇が新規プロジェクトの資金調達コストを増加させる可能性
  • 地政学的リスク:​特定地域での政治的不安定性が事業運営に影響を与える可能性​

この銘柄に向いている投資家タイプ

  • ESG投資を重視する投資家:​再生可能エネルギーへの注力やネットゼロ目標など、持続可能性を重視する投資家
  • 安定した配当を求める投資家:​安定したキャッシュフローと配当政策を評価する投資家
  • 長期的な成長を期待する投資家:​再生可能エネルギー市場の成長性に注目する長期投資家
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【Amplifon(AMP)】ヘルスケア×高齢化社会の追い風

Amplifonは補聴器の販売・サービスを手がけるグローバル企業。高齢化が進む欧州全体での需要拡大を背景に、ヘルスケア×高齢者市場という巨大テーマを押さえた企業です。

特筆すべきは、徹底した直営店戦略と、サービス品質の高さ。顧客との対面接点を活かして、ブランドロイヤルティとリピート収益を確保するモデルが成功しています。

米国・アジアへの進出も進んでおり、世界の高齢化を味方につける“静かな成長株”です。

事業概要と上場市場

  • 上場市場:​イタリア・ミラノ証券取引所(Euronext Milan)に上場し、FTSE MIB指数の構成銘柄
  • 設立年・本社:​1950年設立、本社はイタリア・ミラノ
  • 主な事業内容
    • 補聴器の販売およびフィッティングサービス
    • 聴力検査やアフターケアなどの聴覚関連サービス
    • 関連アクセサリーや消耗品の販売
  • グローバル展開:​世界26カ国で10,000以上の販売拠点を展開 ​

ビジネスモデルの強み

  • 垂直統合型モデル:​製品の販売からアフターサービスまで一貫して提供し、顧客満足度を高めている
  • ブランド力と信頼性:​長年の実績と高品質なサービスにより、顧客からの信頼を獲得
  • デジタル化の推進:​オンライン予約やリモートフィッティングなど、デジタル技術を活用したサービス提供
  • M&A戦略:​地域の有力企業を買収し、グローバルな市場シェアを拡大 ​

グローバル展開と地域バランス

  • 主要市場
    • EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)
    • アジア太平洋地域(特に中国とオーストラリア)
    • アメリカ大陸
  • 中国市場の拡大:​2024年に中国で370店舗を新たに取得し、同国の店舗数は500を超える
  • オーストラリア市場:​メルボルン、シドニー、ブリスベン、アデレード、パースなどに300以上の店舗を展開 ​

注目される中長期テーマ

  • 高齢化社会の進展:​世界的な高齢化に伴い、聴覚ケアの需要が増加
  • デジタル技術の活用:​AIやデータ分析を活用したパーソナライズドサービスの提供
  • ESGへの取り組み:​環境・社会・ガバナンスの観点から持続可能な経営を推進
  • 新興市場への進出:​新興国市場での需要拡大を見据えた戦略的展開​

リスクと注意点

  • 規制リスク:​各国の医療機器に関する規制変更が事業に影響を及ぼす可能性
  • 競争の激化:​新規参入企業や既存競合との価格競争やサービス競争
  • 技術革新の速さ:​技術の進化に迅速に対応できない場合、競争力を失うリスク
  • 市場依存度:​特定地域への依存度が高い場合、地域経済の変動が業績に影響​

この銘柄に向いている投資家タイプ

  • ヘルスケア分野に注目する投資家:​高齢化社会の進展に伴う需要増加を見込む投資家
  • 安定した収益を求める投資家:​継続的なサービス提供による安定収益を重視する投資家
  • ESG投資を重視する投資家:​持続可能な経営を推進する企業への投資を検討する投資家​
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イタリア株投資の注意点と戦略

イタリアには魅力的な個別株が揃っているとはいえ、当然ながらリスクは存在します。ここでは、実際に投資する前に押さえておきたい3つのポイントを解説します。


政治・財政リスクへの備え方

イタリアはEU内でも政治的な不安定さが目立つ国であり、政権交代が頻繁、また国家債務もGDP比で140%超と高水準です。これらは株式市場において以下のような影響を与える可能性があります:

  • 政策変更によりエネルギー・金融セクターの株価が急変動するリスク
  • EUとの財政対立が市場全体の投資マインドを悪化させる恐れ
  • 格下げや国債金利の上昇が信用不安につながる懸念

したがって、イタリア株をポートフォリオに組み込む際には、「国リスク」を想定したリスク管理と情報収集が必須です。
特に、個別株ごとにグローバル売上比率が高いか(=イタリア国内依存が低いか)をチェックすることが重要です。


為替ヘッジと分散投資の重要性

日本人投資家がイタリア株を購入する場合、為替リスクも無視できません。ユーロと円の為替は金融政策や地政学リスクによって大きく変動し、投資リターンに直接影響します。

たとえば、株価が横ばいでもユーロ安が進行すれば、円ベースでは損失になる可能性があります。これを避けるためには:

  • 外貨建て資産の割合をポートフォリオ全体でコントロール
  • 米ドル・ユーロ・円のバランスを意識した分散投資
  • ETFや為替ヘッジ付き商品との組み合わせも検討

また、イタリア株に集中しすぎず、ドイツ・フランス・北欧などの欧州株を組み合わせることで、国単位のリスクを薄める戦略も有効です。


サクソバンク証券での購入方法と実例紹介

イタリア株への投資は、日本国内の主要ネット証券では対応していないことも多く、証券口座の選定が最初のハードルになります。
そこでおすすめなのが、サクソバンク証券です。

サクソバンク証券なら:

  • イタリア株を含む欧州株を1000銘柄以上取引可能
  • 日本語サポートがあり、初心者にも使いやすいUI
  • 米ドル・ユーロ・英ポンド建てに対応し、通貨分散もスムーズ
  • 最低手数料が低く、個別株の分散投資に適している

実際に筆者も、サクソバンク証券を利用してFerrari(RACE)やENELなどの銘柄に投資しています。リアルタイムで欧州市場にアクセスできる点は、情報格差を埋める武器になります。


まとめ:ETFでは拾えない“宝石銘柄”を掘り起こせ

イタリア市場は個別株で光る

ここまで見てきた通り、イタリア株は一括りに語れる市場ではありません。指数やETFで広く分散するだけでは、真に魅力的な銘柄にアクセスできないのが現実です。
なぜなら、イタリア市場の真価は「個別企業のブランド力と収益モデル」にこそあるからです。

  • フェラーリのような高収益ブランド株
  • Monclerのように国際展開するグロース株
  • ENELのように再エネ政策と連動するインフラ銘柄

これらの企業は、業種・ビジネスモデル・収益源が明確であり、外的環境の変化にも対応しやすい設計になっています。
だからこそ、ETFでは拾えない“宝石銘柄”をピンポイントで掘り出す個別株戦略が、イタリア市場においては有効なのです。

イタリア株は、“地中海の宝”とも言える企業群を擁する魅力的な市場です。ETFでは出会えない、“知る人ぞ知る銘柄”を掘り起こし、あなたのポートフォリオに一石を投じてみてはいかがでしょうか。

Kawa
サイドFIRE生活中
ヨーロッパ在住30代。兼業投資家として株式投資、FX、不動産投資を行う。株式投資やFX取引では、ダウ理論とグランビルの法則を用いたテクニカル分析メインで、ファンダメンタルズ分析も組み合わせて投資判断を行う。欧州の不動産市場にも注力し、賃貸収入やキャピタルゲインを狙った長期的な投資を狙う。夢はボルゾイを飼うこと。
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